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BL編集者体験レビュー 序章
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(んー、最近肉も野菜も高いなぁ…。)
スーパーのレシートを見て、つい溜息をついてしまう。
コーヒーショップの給料は上がらないし、フリーのwebライターのマサトの稼ぎも不安定だ。一応、二人馬力とはいえ、将来への不安要素はつきない。
マサトは俺が無理しすぎないようにって頑張って稼いでくれてはいるが、それ故に変な仕事を請け負ってきてしまう事もある。(前回のAVの仕事とか…)
それに、最近取材旅行も増え、今も観光案件で長期で出張だ。
(うーん、俺もなんか収入増やせる事ないかなぁ?試しに、副業ってやつ、俺もやってみるか?)
そう思い、webの求人サイトを見てみると、おもしろそうな求人が目に入る。
『本の編集者募集!未経験歓迎!短期OK!副業OK!正社員雇用あり。男性急募』
マサトがライターをしている為、実は前々から編集業務に興味があったのだ。俺が編集作業を覚えたら、ゆくゆくマサトと2人で仕事ができるかも♡なんて考えていたのだ。
マサトと俺の小さな出版社なんてのも憧れてしまうのだ。
(そ、そしたら24時間マサトと一緒にいられちゃうし、仕事中にイチャイチャもできちゃうな…♡)
頭の中に、会社のデスクでイチャイチャする俺たちの姿が浮かび上がる。コーヒータイムにこっそりとキスしたり、夜は仕事が終わった瞬間に応接室のソファに押し倒されたり…♡♡♡
『ゆうや…もう仕事終わった?なぁ、ちょっとくらいいいだろ?』
『あっ…マサトぉ♡だめだよ…、まだ、外明るい…。』
『関係ないね。その方がゆうやの可愛いところが良くみえる。ほら、脚開いて…』
『ああン♡もう、マサトったらぁ♡♡』
(いや、待て待てーーー!妄想ストーップ!!)
どんどん広がってしまう妄想を強制ストップし、もう一度サイトをみた。
会社名は俺も知ってるくらい有名だし、何より未経験でも大丈夫というところが魅力的だ。
こういう条件の良い求人はすぐ募集枠が埋まってしまうものだ!俺は、職業履歴などを記入し、速攻面接の申し込みをしたのだった。
****
数日後、なんとその会社から面接可能の通知が届いた。人気求人と記載されていたので、書類選考に通っただけでも運がいい。
俺は、意気揚々と面接に挑んだのだ。
「いやー!ゆうや君!君みたいな子を求めてたんだよーー!良かった、いい子が見つかって!うん、採用!!」
「…へ?」
あっけない程簡単に採用が決まった。
志望動機も所有資格も、全然何も聞かれなかった。
顔をジロジロ見られて、年を聞かれて、彼女がいるか聞かれたから、居ないって答えた。それだけだ。
まぁ、マサトは彼女じゃないから、嘘はついていない。ゲイ夫婦である事は説明が面倒なので、取立てて言わないでおいた。
他に面接者が居た様子もなく、ほぼ決め打ちで面接に呼ばれたような印象だった。
俺なんて大した学校も出てないし、今の仕事も出版と全然関係ないカフェ店員だし…。何が採用の決め手になったのか全然分からないのだが…。
「じゃあ、ゆうや君、明日から来てくれる?もう担当お願いする先生決まっているから」
「えっ!もう担当付くんですか?!俺、何も分からないんですけど…」
「大丈夫!教育係付けるし、原稿遅れないきっちりした先生だから!先生のご機嫌とって、気持ちよく原稿書いてもらえば十分だから!!」
おそらく上司になるであろう面接官が必死に説明してくれる。確かに簡単なように聞こえるが、果たして本当であろうか??
「あ、そうだ!これ、ゆうや君に担当してもらう作家さんの本!今業界が大注目する新進気鋭の作家なんだ!」
俺は何冊か強引に手渡され、豪華なクッキーセットまでお土産に持たされ家路についたのだ。
***
(ええーーー!担当するのって、BL小説の先生なのーーーっ!!)
俺は、家に帰り、早速手渡された本を読んで驚いた。それは全てR指定のBL本で、エロシーン中心のドギツイやつだったのだ。
俺はその手の小説は始めてで、ゲイとBLは全く別物だと認識はしているが、その先生の性描写はリアルで男の俺が読んでもドキドキしてしまうものだった。
(SMとか陵辱ものが多い…、そ、それになんか……)
その本で、一点気付いた事がある。
それは表紙絵に描かれている受けの男の顔が、全て俺に似ていたのである。作中に書かれている彼の描写も、押しに弱く流されやすい俺にそっくりだ…。
(もしかして、俺が採用されたのって…)
一抹の不安を抱きながら、翌日その会社に出向いた。
教育係の先輩から、色々とレクチャーを受けた。
そこで分かったのは…
①業界中が取り合うほどの売れっ子先生であり、出す作品全てが大ヒット。
②気難しく、機嫌を損ねると書いてもらえなくなる。今、次の作品を書いてもらえるかの瀬戸際。
…とにかく作家先生のご機嫌を取りまくるのが俺の仕事という事だった。
納期などのスケジュールや複雑な事は始めは先輩が管理するので、とりあえず俺は数日ごとに先生の家に行き、ご機嫌伺いをして、先生との関係を築きあげて欲しいとの事だった。
俺は接客業も長いし、人当たりも良いと言われる事が多いので問題ないだろう。
「よし、ゆうや君、概要が掴めたら早速先生のお宅に挨拶に伺おう。とにかく先生の機嫌を損ねないように、笑顔だよ!」
そう釘を刺されて、俺たちは先生のお宅に菓子折りを持って伺ったのだ。
「やぁ、いらっしゃい。待ってたよ。君が新担当のゆうや君だね♡」
爽やかに部屋に招き入れてくれた先生の顔を見て驚いた…。
俳優にでもなれそうなイケメンだったのだ…。
「初めまして♡BL作家の落合 光(ひかる)です♡」
(ええ~~!BL作家なのに男の人なの~~!!ん?でも、なんか苗字がひっかかるけど、…偶然だよな。よくある苗字だし!)
俺は一抹の不安を感じながらも、先生に菓子折りを手渡したのだ…。
☆☆☆☆☆☆☆☆
新章です!!
って、マサトがあんまり出てこなそうな予感…。すまん。そして名前が不穏!!
全然更新できないままBL大賞が終わってしまう…。投票よろしくお願いします。
あと、新作の淫紋魔術師の方は、陵辱エロターンに入りました!読んでねー
スーパーのレシートを見て、つい溜息をついてしまう。
コーヒーショップの給料は上がらないし、フリーのwebライターのマサトの稼ぎも不安定だ。一応、二人馬力とはいえ、将来への不安要素はつきない。
マサトは俺が無理しすぎないようにって頑張って稼いでくれてはいるが、それ故に変な仕事を請け負ってきてしまう事もある。(前回のAVの仕事とか…)
それに、最近取材旅行も増え、今も観光案件で長期で出張だ。
(うーん、俺もなんか収入増やせる事ないかなぁ?試しに、副業ってやつ、俺もやってみるか?)
そう思い、webの求人サイトを見てみると、おもしろそうな求人が目に入る。
『本の編集者募集!未経験歓迎!短期OK!副業OK!正社員雇用あり。男性急募』
マサトがライターをしている為、実は前々から編集業務に興味があったのだ。俺が編集作業を覚えたら、ゆくゆくマサトと2人で仕事ができるかも♡なんて考えていたのだ。
マサトと俺の小さな出版社なんてのも憧れてしまうのだ。
(そ、そしたら24時間マサトと一緒にいられちゃうし、仕事中にイチャイチャもできちゃうな…♡)
頭の中に、会社のデスクでイチャイチャする俺たちの姿が浮かび上がる。コーヒータイムにこっそりとキスしたり、夜は仕事が終わった瞬間に応接室のソファに押し倒されたり…♡♡♡
『ゆうや…もう仕事終わった?なぁ、ちょっとくらいいいだろ?』
『あっ…マサトぉ♡だめだよ…、まだ、外明るい…。』
『関係ないね。その方がゆうやの可愛いところが良くみえる。ほら、脚開いて…』
『ああン♡もう、マサトったらぁ♡♡』
(いや、待て待てーーー!妄想ストーップ!!)
どんどん広がってしまう妄想を強制ストップし、もう一度サイトをみた。
会社名は俺も知ってるくらい有名だし、何より未経験でも大丈夫というところが魅力的だ。
こういう条件の良い求人はすぐ募集枠が埋まってしまうものだ!俺は、職業履歴などを記入し、速攻面接の申し込みをしたのだった。
****
数日後、なんとその会社から面接可能の通知が届いた。人気求人と記載されていたので、書類選考に通っただけでも運がいい。
俺は、意気揚々と面接に挑んだのだ。
「いやー!ゆうや君!君みたいな子を求めてたんだよーー!良かった、いい子が見つかって!うん、採用!!」
「…へ?」
あっけない程簡単に採用が決まった。
志望動機も所有資格も、全然何も聞かれなかった。
顔をジロジロ見られて、年を聞かれて、彼女がいるか聞かれたから、居ないって答えた。それだけだ。
まぁ、マサトは彼女じゃないから、嘘はついていない。ゲイ夫婦である事は説明が面倒なので、取立てて言わないでおいた。
他に面接者が居た様子もなく、ほぼ決め打ちで面接に呼ばれたような印象だった。
俺なんて大した学校も出てないし、今の仕事も出版と全然関係ないカフェ店員だし…。何が採用の決め手になったのか全然分からないのだが…。
「じゃあ、ゆうや君、明日から来てくれる?もう担当お願いする先生決まっているから」
「えっ!もう担当付くんですか?!俺、何も分からないんですけど…」
「大丈夫!教育係付けるし、原稿遅れないきっちりした先生だから!先生のご機嫌とって、気持ちよく原稿書いてもらえば十分だから!!」
おそらく上司になるであろう面接官が必死に説明してくれる。確かに簡単なように聞こえるが、果たして本当であろうか??
「あ、そうだ!これ、ゆうや君に担当してもらう作家さんの本!今業界が大注目する新進気鋭の作家なんだ!」
俺は何冊か強引に手渡され、豪華なクッキーセットまでお土産に持たされ家路についたのだ。
***
(ええーーー!担当するのって、BL小説の先生なのーーーっ!!)
俺は、家に帰り、早速手渡された本を読んで驚いた。それは全てR指定のBL本で、エロシーン中心のドギツイやつだったのだ。
俺はその手の小説は始めてで、ゲイとBLは全く別物だと認識はしているが、その先生の性描写はリアルで男の俺が読んでもドキドキしてしまうものだった。
(SMとか陵辱ものが多い…、そ、それになんか……)
その本で、一点気付いた事がある。
それは表紙絵に描かれている受けの男の顔が、全て俺に似ていたのである。作中に書かれている彼の描写も、押しに弱く流されやすい俺にそっくりだ…。
(もしかして、俺が採用されたのって…)
一抹の不安を抱きながら、翌日その会社に出向いた。
教育係の先輩から、色々とレクチャーを受けた。
そこで分かったのは…
①業界中が取り合うほどの売れっ子先生であり、出す作品全てが大ヒット。
②気難しく、機嫌を損ねると書いてもらえなくなる。今、次の作品を書いてもらえるかの瀬戸際。
…とにかく作家先生のご機嫌を取りまくるのが俺の仕事という事だった。
納期などのスケジュールや複雑な事は始めは先輩が管理するので、とりあえず俺は数日ごとに先生の家に行き、ご機嫌伺いをして、先生との関係を築きあげて欲しいとの事だった。
俺は接客業も長いし、人当たりも良いと言われる事が多いので問題ないだろう。
「よし、ゆうや君、概要が掴めたら早速先生のお宅に挨拶に伺おう。とにかく先生の機嫌を損ねないように、笑顔だよ!」
そう釘を刺されて、俺たちは先生のお宅に菓子折りを持って伺ったのだ。
「やぁ、いらっしゃい。待ってたよ。君が新担当のゆうや君だね♡」
爽やかに部屋に招き入れてくれた先生の顔を見て驚いた…。
俳優にでもなれそうなイケメンだったのだ…。
「初めまして♡BL作家の落合 光(ひかる)です♡」
(ええ~~!BL作家なのに男の人なの~~!!ん?でも、なんか苗字がひっかかるけど、…偶然だよな。よくある苗字だし!)
俺は一抹の不安を感じながらも、先生に菓子折りを手渡したのだ…。
☆☆☆☆☆☆☆☆
新章です!!
って、マサトがあんまり出てこなそうな予感…。すまん。そして名前が不穏!!
全然更新できないままBL大賞が終わってしまう…。投票よろしくお願いします。
あと、新作の淫紋魔術師の方は、陵辱エロターンに入りました!読んでねー
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