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「え、あの、本当にいいんですか?」

「構わないよ。父君も呼んで来なさい」

そう言われて、私はためらいがちにうなずいた。

なんとまあ、城に泊めてくれるらしい。

ちょうど明日から休暇(2日)だし、屋敷が立つまでは、と。

ありがたいが、ひどく恐ろしい。

なんつったって、城ですよ、城。

王様が住んでいるのに・・・

そんなことに比べたら殿下に近づきたくないという願望なんて望みにもならない。

お父さまは嬉しそうに馬車で先に向かっていく。

・・・心配だな。

騒ぎを起こさないでくれるとありがたいけれど。

殿下はこちらに手を伸ばした。

「おいで」

私はためらいがちにもその手を取る。

殿下はにこりとして馬車へ乗る。

・・・私は、前世のことがあって男が嫌いだ。

それでもなぜだろう。

日に日に殿下への嫌悪感は薄れている。

不思議に思いながらも馬車へ乗った。

「あの、殿下、こんな広い部屋はさすがに・・・」

与えられた部屋を見て驚く。

私の屋敷でさえ広く感じたのに、それの倍以上。

「大丈夫だよ。ああ、夕食は外で食べようか。俺と二人でもいい?」

なぜそうなったのだろう。

「外の方が荷が下がるだろうし気がまぎれるだろうからね。父君は自室で食事をとってもらうことになっている。父上も歓迎していたよ。時期婚約者候補として」

ああそうだった。

私って候補なんだっけ。

私は殿下の心遣いに感謝した。

「ええと、どこで食べるんですか?」

そう聞くと殿下はにこりと笑った。

「今から行く?」

私はありがたくお供させてもらった。



「・・・おいしい」

殿下が連れてきてくれたのは高級レストラン。

でも、和風な感じですごく落ち着く。

なによりご飯がおいしい!

殿下はそんな私を微笑みながら食べている。

食べずらいな・・・だからと言って食べないわけにはいかないけれど。

「ティアラ嬢」

殿下は口を開いた。

そして、こんなことを言われた。

「君を婚約者にしようと思っているんだけれど、どう?」
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