死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

文字の大きさ
上 下
39 / 61

しおりを挟む
「つか、そんなもん見て誰にやるのよ?」

 淡い水色の巾着と桜柄の櫛を持っている繋に鳳来が聞いてくる。

「姫雛····じゃあねぇな···」

 姫雛はこんな淡い色は好まない。

「····良い子見つけた?」

「········」


 図星だった繋に鳳来はニマニマしている。
 相手は誰だと絡んで来るのは少しウザったい。


「長ぁー!!」

「ムギ?」

 慌てた様子でムギが繋達の所へ駆け寄ってくる。





 結が消えた。




        姫雛もいないと····






「····居なくなってどのくらい経つ?」

「そんなには····」

 焦る様子の二人に鳳来がどうしたのかと聞く。
 ムギが今屋敷で保護している女の子が消えた事を説明する。

「どんな子?」

「外国人!」

 鳳来が結の特徴を聞いてきて、話しかけられたムギが自分達と違う見た目の鳳来を見て一瞬たじろぐが···今は一人でも結を探してくれる人が必要だ。

「身長がこのくらいで細身の黒髪の···」



「もしかして膝丈短いスカートきたJK?」




 スカートとJKって何?



「あー···裾がここくらいの長さの黒髪の女の子ならあっち···色町の方へ走って行ったぜ」

 自分の膝をトントンと軽く叩きながら鳳来は見かけた少女の事を話せば繋とムギが顔を見合せた。



「鳳来殿恩に着る!」

「急がなきゃ!!」


 二人は鳳来に軽く挨拶をして走って行った。


「·····何か面白そうな事が起きそうだなァ」


 走って行く二人の背中を見ながら鳳来はそう呟いた。





 -------






 色町の三番町。

 一体どの辺に繋がいるのだろうか。

 心配で言いつけを破って色町の方へやって来たが、薄暗く怪しい店が建ち並ぶこの場所は少し不気味で苦手だ。

 しかし、そんな事を言ってられない。


 とにかくまずは姫雛を探そうと色町の中を走る。



「結?!」


 探す結の後ろから結を呼ぶ姫雛の声が聞こえ振り返った。


「姫雛さ「馬鹿!何でここに来たの!?」」


 勝手に後を追って来たのだ。
 怒られて当然だった。


「·······ごめんなさい」


 けれど、心配だったからと結は顔に影を落とす。
 そんな結を見て姫雛は大きな溜息をついた。


「仕方ないわね···着いてきなさい。今から長がいる療養所に行くわよ」

「···はい!」

 姫雛は結を連れて三番町に療養所へと向かった。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,422pt お気に入り:2,921

青い夜

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:10

仮面夫婦の愛息子

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

秘密宴会

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:8

短編エロ

BL / 連載中 24h.ポイント:1,519pt お気に入り:2,140

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:15,470pt お気に入り:7,991

メイドを妊娠させた夫

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,716pt お気に入り:248

朝靄に立つ牝犬

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:2

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7,525pt お気に入り:162

処理中です...