物理最強信者の落第魔法少女

あげは

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転身

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「……あれが次の階層に続く門ね」

 しばらく歩いていくと、円のような広場と大きな門が見えてきた。
 その門の左右に、二メートルを超える骨の戦士が立っている。
 左腕は小盾バックラーのように変形しており、骨で出来た長剣を地面に差し、まるで門を守る騎士のような佇まいだ。
 これまで遭遇したどのスケルトンよりも、放つ雰囲気が違う。強者の風格を感じる。

「……ねえ、あれと戦うの?」

「あれ以外にスケルトンナイトは、ここにはいないよ。当然、門を通るにはあれを倒さなくてはならないわけだが、大丈夫。アリスならできるさ」

「無茶に決まってるじゃない! 何なの、あれ!? あんなに強そうな雰囲気の骨二体と戦えるわけないでしょ! いくら強くなったって言っても、今の私じゃ無理に決まってる!」

「おや。やってもいないのに無理と決めつけるのは良くないね。無理だって言うなら、とりあえず玉砕してからでも遅くはないんじゃないかな?」

「玉砕前提で話を進めないで!!」

 相変わらずの無茶ぶり。それにしても度が過ぎてる気がする。
 帰ったら覚えてなさい。絶対にミルフィのパンケーキ盗んでやるんだからっ。

「前にも言ったと思うけど、考えてることはボクには筒抜けなんだからね。ボクのパンケーキを盗むだなんて、随分と悪いことを考えるようになってしまった。食べ物の恨みは怖いんだ。それを忘れてはいけないよ」

「う、うるさいわね。……とにかく、一体だけならどうにかなるかもしれないけど、二体同時は私じゃ無理よ。何か考えて」

「仕方ないなぁ。一体はボクと王女様たちで足止めしておくよ。それと……そろそろ魔法少女らしい戦い方を教えてあげようか」

 魔法少女らしい戦い方? 
 これまで、そんな戦い方してこなかったのに? 今さら何を。

「簡単だよ。魔力を込めて〈転身〉と唱えるだけだからね」

「? ……〈転身〉」

 ミルフィの言葉通り、魔力を込めてそう呟くと、突然私を包み込むように光が集まってきた。

「へ? な、何、これ!?」

 光は徐々に形を成し、みるみるうちに私を包み込んだ光は見知らぬ服となった。
 詰襟で横に太ももまで深いスリットの入った、見たことのない形のワンピース。
 ところどころ金糸で何かの模様が刺繍されオシャレではある。それに動きやすい。でも、体のラインは出るし、足もこんなに出して……。

「どどど、どういうこと!? は、恥ずかしいんだけど! 一体何!?」

「知らないかい? 古代王朝『中華国』における民族衣装として有名な”チャイナドレス”だよ。『中華国』においては、女性の戦闘服としても用いられていてね。それを魔法少女仕様でカスタムしたんだ。うん、良く似合っているよ。実にボク好みだ」

「ただの趣味じゃない! そうじゃなくて、どうしていきなりこんな服を着せられているのよ!」

「アリス、魔法少女として重要な要素ってなんだかわかるかい?」

 途端に真剣な眼差しでミルフィが訊ねてくる。
 そんなもの知らない、と私が答える暇もなくミルフィは言葉を続けた。

「純真無垢な心を持った少女、そして――衣装コスチュームだ! 古来より、魔法少女とは戦う直前に衣装コスチュームチェンジを行うのが作法。その衣装コスチュームが魔法少女の戦闘服であり、戦闘開始の合図となるんだ!!」

「……そういうことは、最初に言いなさいよっ!!」

「い、痛い痛い。耳を引っ張らないでおくれよ。吃驚させたかったんだ。今回は許してくれたまえ。それに……気づいているんだろう?」

 ……不服ではある。
 しかし、この衣装コスチュームを纏ってから、なんだか体が軽い。
 魔法を使っていないのに、身体強化が施されているみたいだ。
 納得はできないけど、これなら何とかなりそうな気もする。

「仕方ない。今回だけよ。次からは衣装コスチュームの相談をしましょう。――いいわね?」

「は、はは……了解だよ、マイマスター。それじゃ、戦闘開始だ!」




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