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海底洞窟
しおりを挟むリゾート地にある海の中の下級ダンジョン「海底洞窟」。
何十年も前に攻略されていて、今では海産物が豊富にとれることでリゾートにおける食料供給源となっている。……というか、洞窟型のダンジョン多すぎ。世界中にある大半は洞窟型らしい。どこ行っても洞窟ばっかりだし。
海は広く深い。その上濃密な魔素が漂っていることもあり、海の中にはダンジョンが多く発生する。
ここのような管理されていない海では、魔素が濃すぎて人が近寄れないということもしばしば。故に、未攻略もしくは未発見のダンジョンがあるかもしれないと言われている。
そういう場所にあるダンジョンは危険だが、今回はそれに当てはまらない。
既に攻略されているし、出現する”侵略者”も弱い個体が多いそうだ。
海の中でもダンジョン内では呼吸ができる上、隔離された空間だから中は陸続きになっているみたいで、地上の洞窟と大差ないという話だ。
「――つまり、今のアリスの技量なら夕飯までには探索し終えるだろう。と言うのがツバキの見解だ。時間制限付きのダンジョン探索、しかも攻略済みで探索を終えているダンジョン内で隠し通路を探せとはね。いやぁ、いい訓練になるんじゃないかい」
「いや、明らかに無茶ぶりじゃない! なんで攻略済みダンジョンで隠し通路見つけられると思ってるの!? ていうか、隠し通路ってそうそうあるものじゃないから! ミルフィがいたところがおかしいんだから!」
「そうは言っても、もう来てしまったのだから探索しないかい? あまり時間もないことだしね」
そう。私は既にダンジョンに足を踏み入れていた。
ミルフィに無理矢理海の中へ引きずり込まれ、無抵抗のままダンジョンまで連れてこられたのだ。決して、私の意志ではない。拒否権すらなかったし……。
洞窟内の壁には、魔力を感知すると発光する鉱石が埋め込まれ、私が通るたびに通路に青い灯りが灯る。
青く光る洞窟とは、かなり幻想的な光景なのだがそれを気にしている場合ではない。
早く隠し通路を見つけないと、私の夕飯がなくなってしまう可能性すらある。
私は早足で洞窟内を進んでいく。攻略済みのダンジョンであれば、罠の心配はなく灯りも保たれているから道に迷うこともない。
「……隠し通路なんて、本当にあるの?」
「さあね。もしかしたらないかもしれない。このダンジョンはどうやらかなり広いだけで一階層しかないから、探すのはそう難しくはないと思うよ」
その広さが問題なのよ。
「海底洞窟」は道標があるとは言え、いくつもの小部屋と複雑に入り組んだ通路で出来た迷路だ。
素材採取をする人たちは、入り口付近で”侵略者”を倒すだけで十分なのであまり奥まで行くことはない。
しかし、私は先生より隈なく探索しろとのお達しがあった。歩き回るだけで六時間は軽く超えるのに、隅々まで探索しなければならない。
そう考えると気が重い。はぁ……。
「……めんどくさい」
「まあまあ、元気よく行こうじゃないか。ここで獲れる魚は美味らしいからね。夕飯前の腹ごしらえと思えばいいんだ」
ミルフィが何とか励まそうとしているが、あまり気分は上がらない。
重い足取りのまま、私は探索を始めたのだった。
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