私はモブ侍女ですが!?

雨水郡

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これってR18表記した方がいいんですかね?

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「チアキ様。私、嬉しいですわ。私の為に怒ってくれるなんて」
 うっとりとした表情でチアキ様を見つめるエリザマス令嬢。そうですよね、エリザマス令嬢を悪者だと決めつけて国外追放しようとした殿下たちに物言うなんてエリザマス令嬢を守ってるように見えますもんね。

「でも私は勝手に決められたこととはいえ、国外追放を受け入れた身です。ですが他国で私一人生きていくことはできません……」
 憂いを帯びながらそう言う令嬢に心を打たれない男はいるのでしょうか?

「一体、私はどうすれば……」
 さめざめと今にも泣きだしそうなエリザマス令嬢。そう、チアキ様は明日には帰郷する。これは何ていう絶妙なタイミングなのでしょう。
 これはもう残された選択肢はただ一つ。チアキ様がエリザマス令嬢を祖国に連れていく。何ということでしょう。まるで小説のような展開です。これはもうチアキ様が「共に来ないか?」と手を差し伸べる以外の選択肢はありません!!ハラハラと見守っているとチアキ様から意外な言葉が出てきました。

「……ねぇ君さ。色々俺にそれはもう親切に教えてくれたよね」
 何のことだろうと首を傾げてしまう。チアキ様のお世話をしていたが、エリザマス令嬢とチアキ様がそんなに親密に何かを教えるところを見ていないが秘め事でもあったのでしょうか?


「俺のところに侍女にしてはやたらスキンシップが多くて色気のある女が部屋付きに来てたけど、あれ全部仕組んでたんだね」
 会場に動揺が走りました。私も初耳なのですが。あ、でも確かに思い返してみればそういった女性が多かったようにも思えます。

「彼女が全部教えてくれたよ。宰相と国王が画策してやったことなんだって」
 その言葉に会場の貴族方が一斉に王座の方へと視線を向けました。国王様と宰相、そして周りにいる数人がダラダラと冷汗をかいていました。なるほど、あの方たちがが策していたようです。でも一体何のためでしょう?


「俺の国の人間は他の国よりも強靭な肉体を持つ。その中でも特別な俺の遺伝子が欲しかったんでしょ。俺がこの国の女に惚れてそのままここに留まれば良し。留まらなくても肉体関係を持って子どもを宿せば、半分でも強い子どもが生まれるだろうしね」
 うわ~~、こんな華やかなパーティー会場でそんなお話を聞きたくなかったです。政治なら仕方ないのでしょうが条約を結んで間もない他国の重鎮に色仕掛けって御上の考えることは平民には理解できそうにないです。


「彼女はそんなの間違ってるって教えてくれたよ。国の為とはいえ人の心を弄ぶなんて最低だって」
 その言葉にエリザマス公爵令嬢が嬉しそうに顔を赤らめてチアキ様を見つめている。だけどチアキ様の顔が笑っていない。だ、大丈夫なのでしょうか。

「チアキ様……、貴方のことを誰よりも想っていますわ。親切だなんて、そんな……」
 エリザマス令嬢はチアキ様の体にそっと寄り添おうとしましたが、その前にチアキ様は彼女に冷たい言葉を放ちました。



「俺はね、そんな彼女を……心底軽蔑するよ」
 そう冷たい眼差しで彼女を見下ろすチアキ様。エリザマス令嬢は呆然としていました。てっきり味方だと思っていた人に軽蔑するなんて言われて驚かないはずがないですよね。

「へ?チ、チアキ様……?」
「まだ分からないの?君は自分の感情論で国の画策を他国に密告してるんだよ。良かったね、ここが温い国で。俺の国なら密告した時点で首を刎ねてたよ」
「そ、そんな!!私はチアキ様の力になりたいと思って……!!」
「そもそも婚約者がいるのに他国の男のところへ頻繁に会いにくるなんて非常識じゃない?まぁこの国の女や婚約者はそんな奴らばっかりなようだけど」

 チラリと殿下たちやローヒインさんを見やる。はっきりと非常識と言われて傷ついているようですが反論するように言いました。

「ですが!!先に浮気したのは殿下の方です!!私は底辺の平民に婚約者を寝取られ、偽りの罪を着せられた被害者ですよ!!最低なのは平民のローヒインと頭の悪い殿下ですわ!!」
「へェ?だから自分も浮気するって?良かったね、これで君も最低な人間の仲間入りだね」
 まァ、俺は君に1㎜も興味ないから浮気成立しないけど、とトドメを刺されてしまいました。それに追い打ちをかけるようにチアキ様が続けました。


「あと言っとくけど俺は君が散々コケにしてた平民出身なんだよね。というか現在進行形で平民だし」
 ここに来てまさかの爆弾発言です。え?チアキ様って平民出身なんですか!?この発言にはエリザマス令嬢だけでなく他の貴族たちも驚いた様子でした。

「嘘……、チアキ様は中将でしょう?ゲームで平民出身なんて設定無かったはず……」
「確かに俺は軍の中では権力を持っているけど出身はただの田舎の村人なんだよね。うちは実力主義国家だから貴族だろうが平民だろうが強さと優秀さがあればのし上がれるようになってるワケ。そのゲームとやらが何かは知らないけど」

 ニッコリとそれはもう嬉しそうに笑顔で言い放った。


「平民は願い下げなんだよね。良かった。君みたいにいつ恋愛に現を抜かして国を裏切るか分からないような人間、こっちから願い下げだよ」
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