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王立貴族学院 一年目
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鐘が鳴ると新たな授業が開始され、気を取り直しつつ、宰相くんの方へ目を向けてみる。
オーラ組中央、王子の右隣に座る宰相くんは真面目そうに見える。
乱れなく濃紫の髪を一つにまとめ、教卓の方を真っ直ぐ見つめる姿勢。
わき目を振ることなく、時折、ズレる眼鏡を人差し指と中指で押さえながらメモる様子。
うう、さすがほぼ将来の側近確定の宰相くんだよね、頭よさそう。
どう見ても知的って感じだから頭脳派と伺えるし、攻略難しそうだなぁ。
その隣の席の婚約者であるアイネさんも眼鏡を光らせながら必死に授業に集中してるし。
賢そうな二人で似合ってる気がするけど。
前世のわたしは可もなく不可もない成績で勉強よりも食い気、だった。
妹がゲーム課金などに費やしてた一方でお菓子とか買いまくってたもんね。
新作や限定を目にしてはテンションが上がり、爆買いしちゃって、ぽっちゃり街道まっしぐら。
何故だか周りもたくさん差し入れしてくれたし、共有して食べたりとか楽しんでたもん。
こんな味のコレがあったら食べてみたいとか驚かせつつも笑わせてたっけ。
今世でもパン屋の娘として産まれたのも役得だったって思える。
街外れにある小さなお店だったけど手伝いながら楽しんでた節を自覚している。
積極的にこんなパンは? と珍しいものを提案し、作ったりして試食と称してたし。
平民にも拘らず貴重なケーキにあり付けることができたのはお店やってたからといえる。
裕福じゃなかったけど食べることができたわけだし、それなりに幸せだったと思う。
そんな生活を送る中、両親が亡くなる原因となったのはパンを焼くかまどの爆発。
いつものように配達に出かけていたわたしは巻き込まれなかっただけ。
店はがれきの下。見ない方がいいと既に両親は棺に納められていて実感がわかなかった。
ショックな出来事だったけど、すぐにお爺様とやらが現れて引き取られたから。
あっという間にお世話になることになり、忙しすぎて気持ちの収拾がつかざるを得なくなったという。
何よりお爺様はお母さんたちを認めず放置していたことをものすごく後悔しててわたしより悲しんでいたからね。
お母さんと一緒にいる時間が何より長かったわたしとほとんど会えずじまいだったお爺様。
それを考えると居た堪れない気持ちになった。楽しい思い出のあるわたしは。
だからこそ、お母さん譲りのこの瞳でしっかりと見つめてお爺様を元気づけているつもりだ。
まあ、平民育ちだからやらかすことが多いのはご愛敬ってことで目をつぶってほしいけど。
決して厨房でストレス発散してるわけでなく、パンを捏ねてるだけだからね。
今日はもっちりやわらかに仕上げたベーグルをクリームチーズベースのかぼちゃサラダのサンドとマスタードの入ったレタスと生ハムのサンドにした。
ふふ、ランチが楽しみだ。お爺様の口に合えばいいけど。マリアとメアリも喜んでくれるかな?
……っていかんいかん。つい気がそがれてしまった。
わたしは宛がわれたであろう宰相くんをどうにかしないといけないんだった。
そこで再び観察し直すものの、……ただ、勤勉、真面目に尽きる、という感想しかない。
王子のそばにいる時は手帳を取り出して何か伝えてる様子だし、時間がある時は本や書類を手にしてる。
余計な私語はしないみたいで軽口をたたくことなく、あまりしゃべってるところを見たことない。
必要最低限の会話なのか婚約者のアイネさんが話しかけていても相槌か、二言三言返すだけっぽいし。
かといって勉学のことなのか先生と話している時はものすごく熱弁している感じだし。
あの様子だと何かしらの共通点がない限り、会話なんか続かないと思う。
寡黙で真面目な眼鏡男子。ビジュアル的には知的で落ち着いた雰囲気でカッコいいのは頷ける。
でも規律とか好きそうだし、自分のペースを乱されるのは苦手そうに見える。
……正直、相性が合う気がしないような。
うーん、でも、誰かを攻略しないといけない変な空気感があるんだよなぁ。
今更、王子や騎士くんという明らかな存在も選択済みっぽい中に割り込みたくない。
かといって他にいるかもしれない攻略対象をこれからすぐに探すのは大変そう。
参加するつもりないのに矢面に立たされる現状は回避不能。
よってやっぱり宰相くんをどうにかするしかない訳だ、ふう。
「……ということでテスト日程が張り出されるから確認しておくように」
終礼時にキルシェ先生が淡々と告げた。教室内が少しざわつく。
やばい、テストだ! 違うことに気を取られ過ぎて肝心な存在を忘れていたよ。
そういえば入学してから1カ月半が過ぎていた。再来週にテストが行われる。
そしてテスト結果は得点順位で名前が張り出されると交流会で教えてもらってた。
実を言えば授業は辛うじてついていってる程度。初テスト、ヤバい。
これはお爺様に心配をかけないよう、今は勉強に励まなきゃってことだ!
オーラ組中央、王子の右隣に座る宰相くんは真面目そうに見える。
乱れなく濃紫の髪を一つにまとめ、教卓の方を真っ直ぐ見つめる姿勢。
わき目を振ることなく、時折、ズレる眼鏡を人差し指と中指で押さえながらメモる様子。
うう、さすがほぼ将来の側近確定の宰相くんだよね、頭よさそう。
どう見ても知的って感じだから頭脳派と伺えるし、攻略難しそうだなぁ。
その隣の席の婚約者であるアイネさんも眼鏡を光らせながら必死に授業に集中してるし。
賢そうな二人で似合ってる気がするけど。
前世のわたしは可もなく不可もない成績で勉強よりも食い気、だった。
妹がゲーム課金などに費やしてた一方でお菓子とか買いまくってたもんね。
新作や限定を目にしてはテンションが上がり、爆買いしちゃって、ぽっちゃり街道まっしぐら。
何故だか周りもたくさん差し入れしてくれたし、共有して食べたりとか楽しんでたもん。
こんな味のコレがあったら食べてみたいとか驚かせつつも笑わせてたっけ。
今世でもパン屋の娘として産まれたのも役得だったって思える。
街外れにある小さなお店だったけど手伝いながら楽しんでた節を自覚している。
積極的にこんなパンは? と珍しいものを提案し、作ったりして試食と称してたし。
平民にも拘らず貴重なケーキにあり付けることができたのはお店やってたからといえる。
裕福じゃなかったけど食べることができたわけだし、それなりに幸せだったと思う。
そんな生活を送る中、両親が亡くなる原因となったのはパンを焼くかまどの爆発。
いつものように配達に出かけていたわたしは巻き込まれなかっただけ。
店はがれきの下。見ない方がいいと既に両親は棺に納められていて実感がわかなかった。
ショックな出来事だったけど、すぐにお爺様とやらが現れて引き取られたから。
あっという間にお世話になることになり、忙しすぎて気持ちの収拾がつかざるを得なくなったという。
何よりお爺様はお母さんたちを認めず放置していたことをものすごく後悔しててわたしより悲しんでいたからね。
お母さんと一緒にいる時間が何より長かったわたしとほとんど会えずじまいだったお爺様。
それを考えると居た堪れない気持ちになった。楽しい思い出のあるわたしは。
だからこそ、お母さん譲りのこの瞳でしっかりと見つめてお爺様を元気づけているつもりだ。
まあ、平民育ちだからやらかすことが多いのはご愛敬ってことで目をつぶってほしいけど。
決して厨房でストレス発散してるわけでなく、パンを捏ねてるだけだからね。
今日はもっちりやわらかに仕上げたベーグルをクリームチーズベースのかぼちゃサラダのサンドとマスタードの入ったレタスと生ハムのサンドにした。
ふふ、ランチが楽しみだ。お爺様の口に合えばいいけど。マリアとメアリも喜んでくれるかな?
……っていかんいかん。つい気がそがれてしまった。
わたしは宛がわれたであろう宰相くんをどうにかしないといけないんだった。
そこで再び観察し直すものの、……ただ、勤勉、真面目に尽きる、という感想しかない。
王子のそばにいる時は手帳を取り出して何か伝えてる様子だし、時間がある時は本や書類を手にしてる。
余計な私語はしないみたいで軽口をたたくことなく、あまりしゃべってるところを見たことない。
必要最低限の会話なのか婚約者のアイネさんが話しかけていても相槌か、二言三言返すだけっぽいし。
かといって勉学のことなのか先生と話している時はものすごく熱弁している感じだし。
あの様子だと何かしらの共通点がない限り、会話なんか続かないと思う。
寡黙で真面目な眼鏡男子。ビジュアル的には知的で落ち着いた雰囲気でカッコいいのは頷ける。
でも規律とか好きそうだし、自分のペースを乱されるのは苦手そうに見える。
……正直、相性が合う気がしないような。
うーん、でも、誰かを攻略しないといけない変な空気感があるんだよなぁ。
今更、王子や騎士くんという明らかな存在も選択済みっぽい中に割り込みたくない。
かといって他にいるかもしれない攻略対象をこれからすぐに探すのは大変そう。
参加するつもりないのに矢面に立たされる現状は回避不能。
よってやっぱり宰相くんをどうにかするしかない訳だ、ふう。
「……ということでテスト日程が張り出されるから確認しておくように」
終礼時にキルシェ先生が淡々と告げた。教室内が少しざわつく。
やばい、テストだ! 違うことに気を取られ過ぎて肝心な存在を忘れていたよ。
そういえば入学してから1カ月半が過ぎていた。再来週にテストが行われる。
そしてテスト結果は得点順位で名前が張り出されると交流会で教えてもらってた。
実を言えば授業は辛うじてついていってる程度。初テスト、ヤバい。
これはお爺様に心配をかけないよう、今は勉強に励まなきゃってことだ!
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