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新学期へのカウントダウン
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とうとう4月に入った。
あれからも知夏は毎日のように顔を出す。
日によっては午前中や午後のみといった感じで俺のいる教室とどこかへ行ったり来たりしていた。
丸1日居ることもあり、俺の邪魔にならないよう過ごしたり手伝ったりもした。
書き込みのみ課題に腕が疲れて腱鞘炎にならないようにとシップを用意したり、解らないところがあれば偉そうに教えたりと様々だ。
そして欠かさずお昼は弁当を用意していた。
あの懐かしい感じのするおにぎり。
俺はいつの間にかこの昼飯が楽しみになっていた。
「お前一人でよくがんばってるな」
昨日、やや安心顔の担任が現れた。
不思議なことに教師が声を掛ける夕方前には必ず知夏は姿を消した。
最初から誰もいなかったかのようにすっ……と。
なのにあくる日は当たり前のようにやってくる。
そんな繰り返しの日々だった。
課題も着々とこなし、新学期まであと少しとなった。
日が近づくにつれ、学校に出てくる奴らが増えだした。
が、誰一人教室棟に近寄る雰囲気は無く、相変わらずシン……とした空間だ。
俺と知夏のみが利用している……といっても過言じゃないかもしれない。
そして今日も弁当を持って知夏がやってきた。
「ごめん、ごめん!遅くなっちゃって……」
息を切らして慌てた様子で教室に入ってくる。
最近になってこういう状況が続き始めた。
いつものように素早く弁当を広げ、いただきますとパクつく。
「4月に入ってからね、新入生を迎えるために生徒会活動やら新部員勧誘の用事で急に忙しくなっちゃって……」
食べながら早口で説明し、俺に謝罪。
「別に無理に来る必要ねえし」
あと数日だし、どうにかなるだろう。弁当は惜しいが……。
「何言ってんの? ここで辞めるぐらいなら最初からしないわ。私は最後の最後まで付き合うって決めたの!」
また知夏のこうだと決めたら突き通す主義が始まった。
何故だかこうなると頭が上がらない。
ただの小うるさい女だってのに……。
「じゃ、午後からもがんばってね!」
食べ終わるや否やさっさと教室から出て行った。
へいへい。
夕方、担任がやってきた。
「橘川、喜べ。お前の頑張りように校長が承認された。新学期まであと2日しかないが明日からもう来なくていいぞ」
重荷が消えたという喜びの表情で声のトーンの高らげ、俺の肩をポンポンと叩く。
「短い春休みだがゆっくり休め。それじゃあ、気をつけて帰れよ」
ご丁寧に靴箱までも見送る始末。
明日から来なくていい……。
その言葉に何故だか喜べなかった。
課題もしなくていいし、高3にだってなれる。
土日も休み無しで学校に登校し続けた分も報われる。
知夏が聞いたら大喜びしそうな知らせ。
ん、待てよ……?
急遽決まった事を知らない知夏は明日教室にくるんじゃないか?
そうだ、そうに決まってるぞ。
コレを本人に知らせないとヤバくねーか?
ってことは明日、学校に、行かざるを得ない、か。
関係ないはずなのに何故だかそんな気持ちが高まっていた。
あれからも知夏は毎日のように顔を出す。
日によっては午前中や午後のみといった感じで俺のいる教室とどこかへ行ったり来たりしていた。
丸1日居ることもあり、俺の邪魔にならないよう過ごしたり手伝ったりもした。
書き込みのみ課題に腕が疲れて腱鞘炎にならないようにとシップを用意したり、解らないところがあれば偉そうに教えたりと様々だ。
そして欠かさずお昼は弁当を用意していた。
あの懐かしい感じのするおにぎり。
俺はいつの間にかこの昼飯が楽しみになっていた。
「お前一人でよくがんばってるな」
昨日、やや安心顔の担任が現れた。
不思議なことに教師が声を掛ける夕方前には必ず知夏は姿を消した。
最初から誰もいなかったかのようにすっ……と。
なのにあくる日は当たり前のようにやってくる。
そんな繰り返しの日々だった。
課題も着々とこなし、新学期まであと少しとなった。
日が近づくにつれ、学校に出てくる奴らが増えだした。
が、誰一人教室棟に近寄る雰囲気は無く、相変わらずシン……とした空間だ。
俺と知夏のみが利用している……といっても過言じゃないかもしれない。
そして今日も弁当を持って知夏がやってきた。
「ごめん、ごめん!遅くなっちゃって……」
息を切らして慌てた様子で教室に入ってくる。
最近になってこういう状況が続き始めた。
いつものように素早く弁当を広げ、いただきますとパクつく。
「4月に入ってからね、新入生を迎えるために生徒会活動やら新部員勧誘の用事で急に忙しくなっちゃって……」
食べながら早口で説明し、俺に謝罪。
「別に無理に来る必要ねえし」
あと数日だし、どうにかなるだろう。弁当は惜しいが……。
「何言ってんの? ここで辞めるぐらいなら最初からしないわ。私は最後の最後まで付き合うって決めたの!」
また知夏のこうだと決めたら突き通す主義が始まった。
何故だかこうなると頭が上がらない。
ただの小うるさい女だってのに……。
「じゃ、午後からもがんばってね!」
食べ終わるや否やさっさと教室から出て行った。
へいへい。
夕方、担任がやってきた。
「橘川、喜べ。お前の頑張りように校長が承認された。新学期まであと2日しかないが明日からもう来なくていいぞ」
重荷が消えたという喜びの表情で声のトーンの高らげ、俺の肩をポンポンと叩く。
「短い春休みだがゆっくり休め。それじゃあ、気をつけて帰れよ」
ご丁寧に靴箱までも見送る始末。
明日から来なくていい……。
その言葉に何故だか喜べなかった。
課題もしなくていいし、高3にだってなれる。
土日も休み無しで学校に登校し続けた分も報われる。
知夏が聞いたら大喜びしそうな知らせ。
ん、待てよ……?
急遽決まった事を知らない知夏は明日教室にくるんじゃないか?
そうだ、そうに決まってるぞ。
コレを本人に知らせないとヤバくねーか?
ってことは明日、学校に、行かざるを得ない、か。
関係ないはずなのに何故だかそんな気持ちが高まっていた。
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