眠り姫のキセキ

おりのめぐむ

文字の大きさ
15 / 24

禁断の領域

しおりを挟む
「橘川先生ってさ、昔すっごいラブラブな彼女がいたんだって!」

 昼休みも終わりに近づく頃。
 噂好きの女子が教室中に声を響かせた。
 誰もが驚愕し、耳を傾ける。
 興味を示した仲間が先を急かす。
 話の発信源は学年主任らしく、途中までしか聞けなかったらしい。
 だけど、駆け落ちまで考えた相手だったとか。
 今まで独身なのはその彼女のことが忘れられないからだって。

 心臓がドキドキしている。
 耳にしなければよかったのにと警告している。
 そこまで先生が好きになった相手がいたってこと。
 不意に影を作った要因だと直感する。

 先生が誰かを愛した過去。
 そのことが胸を苦しくする。
 いつの間にか目覚めていた恋心。
 蓄積された想いが悲しいほど重くなる。

 …その相手とは母のことかもしれない。
 結ばれなかった二人はそれぞれの道を歩む。
 こんな出会いが待ってるなんて想像できずに。
 そして今でも先生は…?

 解らないことだらけで頭が混乱。
 同時に胸がギュッと締め付けられる。
 いても立ってもいられなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

処理中です...