眠り姫のキセキ

おりのめぐむ

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押し殺した恋心

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 授業開始のチャイムが鳴り響く。
 先生は空に一番近い位置にいた。
 彼を捜し求めてすぐにこの場所だと思った。

「宮村の病気、事故による損傷が原因だってな」

 先生が不意に声をかけてきた。
 祖父に聞いたのだろう。
 きっと母たちのことも。

 冷たい表情は笑顔を忘れてしまったから?
 とけ込めない距離感は孤独を覚えてしまったから?
 全ては叶わなかった想いのせいなの?
 ――だったら先生は何故、別れを選んだの?

 気づかぬ間に深く刻まれていた彼への想い。
 胸が苦しくて切なくて張り裂けそう。
 それでも届けられない、見知らぬ時間がある。
 私が生まれる前からの母と先生の出会い。
 彼の長い想い、どうにかできないだろうか?

 先生と母を会わせれば奇跡が起こるかもしれない。
 王子から目覚めさせられた姫のように。
 彼の心が救われるなら諦めたっていい。
 誰かの幸せを願わずにはいられないから。
 意を決して、想いを込める。

「先生、母と会ってくれませんか?」
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