眠り姫のキセキ

おりのめぐむ

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眠りの呪縛

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「どうして? ここは私の家だよ?」

 門の向こうで先生の動きが止まった。
 …行きたい場所がある。
 何かを吹っ切るように決意したような顔。
 そう言われて先生の車に飛び乗り、辿り着いた家の前。
 ただ呆然と立ち尽くす。

 こんな偶然があるのだろうか?
 過去は先生の家。
 現在は私の家。
 ――正確には両親と住むはずだった家。
 祖父が取引先の会社から買い取った家。
 事故のせいでその夢は破れ、管理だけされたまま家。

 全身がガクガクと震えてくる。
 思い出してしまった恐怖心が全身を駆け巡る。
 再び眠らされるのでは…と不安が募る。
 不安定なのは身体、それとも精神なの?

 事故は所有者から譲り受けた日に起こった。
 詳細は覚えていない。
 ただ見送った家主の女性の顔が最後の記憶。
 笑った赤い口唇がヤケに印象的。
 幼心にぞっとするような恐ろしい表情だったから。
 以来、ここには近づいていなかった。
 近づこうとさえしなかった。

「…どうしたんだ、宮村?」

 先生の声が遠くに聞こえ、その後は覚えていない。
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