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不快な同居の始まり 2 ~蘇る特別扱い~
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「それで、どうして私の部屋がも抜けの殻になってるの?」
座卓を挟んで両親と向かい合うリビング。
落ち着きのなさそうに二人で私のことをチラチラ見てるし。
コレって一体、何なのさ!
「…聞いてるんですけど?」
なかなか切り出さない両親にしびれを切らして問いかける。
相変わらず嬉しそうに二人とも笑ってるし。
ワケがわかんないっつーの!
ようやくハハさんが私の顔を見て胸に手を当てて声を上げる。
「未来はさすが私たちの素敵な娘だわ~」
ハハさんの上気した声、何だか久しぶりに聞いた気がする。
「うんうん。立派な娘だ、なあ母さん」
チチさんまで上ずってるよ。
けど、何だかこの発言、随分と前に聞いた覚えがある。
浮き足立ってる両親の私に浴びせる称賛。
…そう、少なくとも約1年半前。
高校に入る前までの毎日。
何だか嫌な予感。
というより答えになってないし。
「…だ、か、らぁ」
的確な回答を求めようと強い口調で再度訊ねる。
「いやぁ、未来は何かやってくれると思ってたよ」
「やっぱりただじゃ転ばないのよ、天才少女だから♪」
完全に浮かれきってるこの二人。
全然、話が見えないっつーの!
「いやぁ~今日、突然、私の会社に理事長指示だと徳栄の校長が来られてねぇ…」
やっとチチさんが嬉しそうに状況を説明し始めた。
「娘の未来が学校で優秀だってことは会社では黙ってたから大騒ぎで大変だったんだよ」
「それでね。校長先生と父さんがいきなり一緒に家に帰って来るんだからビックリしちゃったわ~」
「いやあ、上司が早く帰れって勧めるもんだからさぁ」
「家の前に大きな外車が停まってるのよ!! 中から父さんが出てきたのをご近所さんに見られたみたいで目立って目立って…」
はしゃぎまくってる両親。要点が聞きたいのに!
すると机の上にポンと数枚の紙が置かれた。
その紙を手に取ると徳栄学園の通達が書かれた書類だった。
理事長直々の任命証、それに伴う優遇事項やら何やら。
…って何これ?
書類の内容に驚いていると両親がヒートアップ!
「ほらぁ、未来は優秀すぎて特待生だけで終わらせるのが惜しいんでしょ? 今のままじゃ当たり前に大学に進学できるんですって! だけど、その才能を日本に留めるのが勿体ないんですって~~。だから今のうちから準備しておいて海外の大学に進学できるようにバックアップしたいんですって~~!!」
「理事長が全面協力するから費用の心配もなく、思いっきり勉強が出来るらしいぞ」
「まず手始めに夏休みから短期の語学留学を計画してるんですって♪」
「夏休みまで1ヶ月をきったからな。あまり時間がないが未来なら大丈夫だってさ」
「未来の優秀ぶりは学園中で認知されてるらしいわねぇ」
興奮しながら話す両親。約1年半沈没していた分、上昇が激しい。
あえて聞き流しながら私は書類の内容に集中。
確かに海外への大学進学特別優遇生任命。
長期休暇に伴う短期語学留学。
夏休み、冬休み、春休みにオーストラリア、イギリス、アメリカなどが記載。
そして諸準備のため、特別指導実施。
特別指導施設での特別講師を要員にてマンツーマンレッスンとある。
何コレ? 一切、聞いてないんだけど?
「少しでも早い方がいいからってすぐに未来の荷物、運んでもらったのよ」
「一日でも早く、準備を進めて勉強に集中できるようにな。で、その費用も全て含まれてるらしいぞ」
経理担当のチチさん、さすがお金に細かい。
「それで突然、家の前に引っ越しセンターのトラックが来てるでしょ? ご近所さんに迷惑掛けちゃって」
「いろいろと事情を説明しないといけなくて大変だったんだぞ」
って誇らしげに自慢してたんだろうな、この二人。
それで奥様方の様子がおかしかったのか、納得。
兎にも角にも私の家財道具一式が特別施設に移動って訳か。
全く好き勝手にしてくれるよな、この両親。
「とにかく今日から世界をまたに掛ける第一歩って訳だ」
「卒業が楽しみねぇ~♪」
手を取り合って嬉しそうに笑いあう。
まいったね、こりゃ。もう完全に目がイッちゃってるもん。
この分だと契約なんぞ既に交わしちゃってる様子っぽい。
高校入学を勝手に決められたように。
頭を抑えつつ、どうしたもんだと思案中、玄関のチャイムが鳴った。
両親、急ぎ足で向かう。
その様子からきっと私のお迎えに違いない。
「まあ、先生。わざわざありがとうございますぅ~~!」
「この度は未来がお世話になります」
玄関から響き渡る歓喜の声。
「いえ、とんでもない。学園の期待の星として当然ですよ」
…って聞き覚えのある声。
ま、まさか…。
座卓を挟んで両親と向かい合うリビング。
落ち着きのなさそうに二人で私のことをチラチラ見てるし。
コレって一体、何なのさ!
「…聞いてるんですけど?」
なかなか切り出さない両親にしびれを切らして問いかける。
相変わらず嬉しそうに二人とも笑ってるし。
ワケがわかんないっつーの!
ようやくハハさんが私の顔を見て胸に手を当てて声を上げる。
「未来はさすが私たちの素敵な娘だわ~」
ハハさんの上気した声、何だか久しぶりに聞いた気がする。
「うんうん。立派な娘だ、なあ母さん」
チチさんまで上ずってるよ。
けど、何だかこの発言、随分と前に聞いた覚えがある。
浮き足立ってる両親の私に浴びせる称賛。
…そう、少なくとも約1年半前。
高校に入る前までの毎日。
何だか嫌な予感。
というより答えになってないし。
「…だ、か、らぁ」
的確な回答を求めようと強い口調で再度訊ねる。
「いやぁ、未来は何かやってくれると思ってたよ」
「やっぱりただじゃ転ばないのよ、天才少女だから♪」
完全に浮かれきってるこの二人。
全然、話が見えないっつーの!
「いやぁ~今日、突然、私の会社に理事長指示だと徳栄の校長が来られてねぇ…」
やっとチチさんが嬉しそうに状況を説明し始めた。
「娘の未来が学校で優秀だってことは会社では黙ってたから大騒ぎで大変だったんだよ」
「それでね。校長先生と父さんがいきなり一緒に家に帰って来るんだからビックリしちゃったわ~」
「いやあ、上司が早く帰れって勧めるもんだからさぁ」
「家の前に大きな外車が停まってるのよ!! 中から父さんが出てきたのをご近所さんに見られたみたいで目立って目立って…」
はしゃぎまくってる両親。要点が聞きたいのに!
すると机の上にポンと数枚の紙が置かれた。
その紙を手に取ると徳栄学園の通達が書かれた書類だった。
理事長直々の任命証、それに伴う優遇事項やら何やら。
…って何これ?
書類の内容に驚いていると両親がヒートアップ!
「ほらぁ、未来は優秀すぎて特待生だけで終わらせるのが惜しいんでしょ? 今のままじゃ当たり前に大学に進学できるんですって! だけど、その才能を日本に留めるのが勿体ないんですって~~。だから今のうちから準備しておいて海外の大学に進学できるようにバックアップしたいんですって~~!!」
「理事長が全面協力するから費用の心配もなく、思いっきり勉強が出来るらしいぞ」
「まず手始めに夏休みから短期の語学留学を計画してるんですって♪」
「夏休みまで1ヶ月をきったからな。あまり時間がないが未来なら大丈夫だってさ」
「未来の優秀ぶりは学園中で認知されてるらしいわねぇ」
興奮しながら話す両親。約1年半沈没していた分、上昇が激しい。
あえて聞き流しながら私は書類の内容に集中。
確かに海外への大学進学特別優遇生任命。
長期休暇に伴う短期語学留学。
夏休み、冬休み、春休みにオーストラリア、イギリス、アメリカなどが記載。
そして諸準備のため、特別指導実施。
特別指導施設での特別講師を要員にてマンツーマンレッスンとある。
何コレ? 一切、聞いてないんだけど?
「少しでも早い方がいいからってすぐに未来の荷物、運んでもらったのよ」
「一日でも早く、準備を進めて勉強に集中できるようにな。で、その費用も全て含まれてるらしいぞ」
経理担当のチチさん、さすがお金に細かい。
「それで突然、家の前に引っ越しセンターのトラックが来てるでしょ? ご近所さんに迷惑掛けちゃって」
「いろいろと事情を説明しないといけなくて大変だったんだぞ」
って誇らしげに自慢してたんだろうな、この二人。
それで奥様方の様子がおかしかったのか、納得。
兎にも角にも私の家財道具一式が特別施設に移動って訳か。
全く好き勝手にしてくれるよな、この両親。
「とにかく今日から世界をまたに掛ける第一歩って訳だ」
「卒業が楽しみねぇ~♪」
手を取り合って嬉しそうに笑いあう。
まいったね、こりゃ。もう完全に目がイッちゃってるもん。
この分だと契約なんぞ既に交わしちゃってる様子っぽい。
高校入学を勝手に決められたように。
頭を抑えつつ、どうしたもんだと思案中、玄関のチャイムが鳴った。
両親、急ぎ足で向かう。
その様子からきっと私のお迎えに違いない。
「まあ、先生。わざわざありがとうございますぅ~~!」
「この度は未来がお世話になります」
玄関から響き渡る歓喜の声。
「いえ、とんでもない。学園の期待の星として当然ですよ」
…って聞き覚えのある声。
ま、まさか…。
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