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不快な同居の始まり 6 ~思わぬプレゼント~
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「じゃ、オレ、シャワー浴びるから」
改めて仕切り直しということで挨拶を最初からやり直した後、高山は背伸びしながら言った。
「…はぁ?」
「それとも倉持が先に使う? もしかして一緒に入りたい…とか?」
コイツ、何言ってんの?
たった今、私にガン見されて変なことはしないと言った矢先じゃんか!
「はははっ、倉持は面白いな。すごい形相だ。…とにかくオレは家に帰ったらシャワー浴びる習慣があるからお先させてもらうって断ってるんだよ、…じゃ!」
人差し指と中指を立ててこっちに向かって突き出すように合図を送ると風呂場の方へ向かっていった。
何なんだよ、高山のヤロー!!
頭を抱えつつ、これからどうしたもんかと冷静に考えようとリビングへ向かう。
夕方だというのにベランダから窺える外の景色は曇り空だけどまだ明るい。
日が長くなったんだなぁ…、なんて思いながら腰掛ける。
広いリビングにポツンと点在する黒い革張りのソファーは座り心地が良く、思いっきりもたれ掛かってしまった。
ツルンとしてがっしりとして包み込む感じで気持ちいい。
これからのことを考えなければいけないのにいつしか心地よさに負けていたのだった。
「…く・ら・も・ち」
耳元で囁くような声が聞こえる。
「…うわっ!」
目を開くとそこには見知らぬ男が!
無造作に下ろされた前髪でにっこり笑う顔、Tシャツに短パン姿の今風の若者!!
…ってよく見ると、高山じゃないか!!
「た、高山ぁ?」
驚いてしまった。
学校では前髪を立ててるため爽やかさを醸し出しているのに、下ろした姿になると急に甘い雰囲気に大変身!
おまけに白衣姿が印象的だったからこんな普段着になると別人に見える。
教師というより、モデルとかそういう類に見られてもおかしくないかも?
高山ファンの千里眼は鋭いと実感した。
「寝てる顔をもう少し見たかったけど、食事の時間だし」
高山が指差す方向をみるとカウンターキッチンに隣接しているダイニングテーブルの上に何やら用意されている。
「…食事の時間?」
「そう、夕飯! 倉持、早く」
腕を引っ張られ、テーブルへと近づく。
そこにはお重に入ったお寿司、小鉢、お椀などがセッティング。
「今日から倉持と暮らす初日だからお祝いだぞ♪」
嬉しそうな高山は私を椅子に座らせると湯飲みにお茶を注ぐ。
「では倉持とオレと二人の生活を祝って…乾杯!」
湯飲みをカチンと合わせて熱っ! なんて言ってるし。
目の前の豪華な食事と高山の姿にまだ対応できない私は呆然。
「それにしても着替えずによく寝てたよな? 玄関のチャイムが鳴ったのも気づかなかっただろ?」
高山は小皿にしょう油を入れて箸でトロをつかむと少ししょう油をつけて私に向けて突き出す。
脂ののった薄ピンク色の物体は美味しそうに目の前に滞っている。
「ほら、口をあけて」
私の口元にぐっと近づける…というより口に付けてきて開かざるを得ない。
ほぼ強引に開かされた口に入ってきた寿司はすんなり収まってしまった。
酢飯の甘酸っぱさにとろけるようなネタは絶妙。
思わずモグモグと味わってしまった。
「美味いだろ? 日本人で良かったって思えるよな」
ニッコリと笑う高山は自らも食べ始める。
「う~ん、さすが老舗の店だな。ほら、倉持も遠慮せずに」
満足そうに次をつかむと再び私に向けてくる。
「いい、自分で食べれるから!」
私はそういうと箸をつかみ、美味しくて夢中になって食べていた。
「ご馳走様」
気がつけばすっかり和んだ様子で食べ終える姿の私がいた。
ふと何か言いたそうに微笑む高山の姿が目に入る。
前髪を上げてるのと下げてるのとでこうも違うものなのか?
穏やかに見つめられて甘い雰囲気で調子狂っちゃうな。
「な、何?」
「あ…。これ、倉持にプレゼント」
突如渡された紙袋に困惑する私。
「開けてみて」
高山はテーブルの上を片付けながらさりげなく促す。
綺麗にラッピングされた箱を開くとそこから現れたのはストライプ模様のパジャマ!
ちょっぴり大人っぽくって肌触りの良いシャツ形の上下セット。
「な、何で?」
私は驚きを隠せなかった。だってパジャマなんて着て寝てないから。
「ん? 倉持はパジャマ持ってないだろ? だから…」
確かに私はパジャマなんて持ってない。…なんで知ってるんだ?
家に帰ると制服からジャージに着替えてそのまま過ごす日々。
早い話、服なんて無頓着に近いのだ。
「今日からそれを着て寝たらいい」
言って高山はお風呂に入るよう勧める。
まさか覗きに来るわけじゃないだろうなと疑いつつ、着替えを持ってお風呂場へ直行。
しっかり鍵をかけて用心しながら広い浴室に感動していた。
風呂上り、リビングに向かうと高山が雑誌を読みながらくつろいでいた。
「おっ、倉持、似合うぞ」
私のパジャマ姿を見て嬉しそうに笑うと冷たい飲み物をよこし、オレも入るかとリビングを出て行く。
一人残され、何気に置かれた雑誌を手に取ると英字。
パラリとめくれば金髪のグラマラスな女性がセクシーポーズ!!
ひえっ! と思って放り投げる。何だよ、これはっ!
気分を変えてカバンから本を取り出すと読書に没頭していた。
「…本、好きだなぁ」
しばらくして背後から風呂上りらしい高山の声。
驚いて振り向くと飛び込んでくる恐るべき姿!!
「そ、それって…」
「オレも似合うだろ? 倉持と一緒のペアパジャマ♪」
色違いのお揃いらしいパジャマ姿。
「あっ、嫌なら今すぐオレが脱がせてやるよ?」
ニヤリと笑う高山、確信犯だな、コイツめ!!
そんな感じで始まったエロ教師高山との同居生活。
先が思いやられる! というよりこれから身を守るにはどうすればいいんだっつーの?
一つ屋根の下で初日からすっかりペースを乱された私だった。
改めて仕切り直しということで挨拶を最初からやり直した後、高山は背伸びしながら言った。
「…はぁ?」
「それとも倉持が先に使う? もしかして一緒に入りたい…とか?」
コイツ、何言ってんの?
たった今、私にガン見されて変なことはしないと言った矢先じゃんか!
「はははっ、倉持は面白いな。すごい形相だ。…とにかくオレは家に帰ったらシャワー浴びる習慣があるからお先させてもらうって断ってるんだよ、…じゃ!」
人差し指と中指を立ててこっちに向かって突き出すように合図を送ると風呂場の方へ向かっていった。
何なんだよ、高山のヤロー!!
頭を抱えつつ、これからどうしたもんかと冷静に考えようとリビングへ向かう。
夕方だというのにベランダから窺える外の景色は曇り空だけどまだ明るい。
日が長くなったんだなぁ…、なんて思いながら腰掛ける。
広いリビングにポツンと点在する黒い革張りのソファーは座り心地が良く、思いっきりもたれ掛かってしまった。
ツルンとしてがっしりとして包み込む感じで気持ちいい。
これからのことを考えなければいけないのにいつしか心地よさに負けていたのだった。
「…く・ら・も・ち」
耳元で囁くような声が聞こえる。
「…うわっ!」
目を開くとそこには見知らぬ男が!
無造作に下ろされた前髪でにっこり笑う顔、Tシャツに短パン姿の今風の若者!!
…ってよく見ると、高山じゃないか!!
「た、高山ぁ?」
驚いてしまった。
学校では前髪を立ててるため爽やかさを醸し出しているのに、下ろした姿になると急に甘い雰囲気に大変身!
おまけに白衣姿が印象的だったからこんな普段着になると別人に見える。
教師というより、モデルとかそういう類に見られてもおかしくないかも?
高山ファンの千里眼は鋭いと実感した。
「寝てる顔をもう少し見たかったけど、食事の時間だし」
高山が指差す方向をみるとカウンターキッチンに隣接しているダイニングテーブルの上に何やら用意されている。
「…食事の時間?」
「そう、夕飯! 倉持、早く」
腕を引っ張られ、テーブルへと近づく。
そこにはお重に入ったお寿司、小鉢、お椀などがセッティング。
「今日から倉持と暮らす初日だからお祝いだぞ♪」
嬉しそうな高山は私を椅子に座らせると湯飲みにお茶を注ぐ。
「では倉持とオレと二人の生活を祝って…乾杯!」
湯飲みをカチンと合わせて熱っ! なんて言ってるし。
目の前の豪華な食事と高山の姿にまだ対応できない私は呆然。
「それにしても着替えずによく寝てたよな? 玄関のチャイムが鳴ったのも気づかなかっただろ?」
高山は小皿にしょう油を入れて箸でトロをつかむと少ししょう油をつけて私に向けて突き出す。
脂ののった薄ピンク色の物体は美味しそうに目の前に滞っている。
「ほら、口をあけて」
私の口元にぐっと近づける…というより口に付けてきて開かざるを得ない。
ほぼ強引に開かされた口に入ってきた寿司はすんなり収まってしまった。
酢飯の甘酸っぱさにとろけるようなネタは絶妙。
思わずモグモグと味わってしまった。
「美味いだろ? 日本人で良かったって思えるよな」
ニッコリと笑う高山は自らも食べ始める。
「う~ん、さすが老舗の店だな。ほら、倉持も遠慮せずに」
満足そうに次をつかむと再び私に向けてくる。
「いい、自分で食べれるから!」
私はそういうと箸をつかみ、美味しくて夢中になって食べていた。
「ご馳走様」
気がつけばすっかり和んだ様子で食べ終える姿の私がいた。
ふと何か言いたそうに微笑む高山の姿が目に入る。
前髪を上げてるのと下げてるのとでこうも違うものなのか?
穏やかに見つめられて甘い雰囲気で調子狂っちゃうな。
「な、何?」
「あ…。これ、倉持にプレゼント」
突如渡された紙袋に困惑する私。
「開けてみて」
高山はテーブルの上を片付けながらさりげなく促す。
綺麗にラッピングされた箱を開くとそこから現れたのはストライプ模様のパジャマ!
ちょっぴり大人っぽくって肌触りの良いシャツ形の上下セット。
「な、何で?」
私は驚きを隠せなかった。だってパジャマなんて着て寝てないから。
「ん? 倉持はパジャマ持ってないだろ? だから…」
確かに私はパジャマなんて持ってない。…なんで知ってるんだ?
家に帰ると制服からジャージに着替えてそのまま過ごす日々。
早い話、服なんて無頓着に近いのだ。
「今日からそれを着て寝たらいい」
言って高山はお風呂に入るよう勧める。
まさか覗きに来るわけじゃないだろうなと疑いつつ、着替えを持ってお風呂場へ直行。
しっかり鍵をかけて用心しながら広い浴室に感動していた。
風呂上り、リビングに向かうと高山が雑誌を読みながらくつろいでいた。
「おっ、倉持、似合うぞ」
私のパジャマ姿を見て嬉しそうに笑うと冷たい飲み物をよこし、オレも入るかとリビングを出て行く。
一人残され、何気に置かれた雑誌を手に取ると英字。
パラリとめくれば金髪のグラマラスな女性がセクシーポーズ!!
ひえっ! と思って放り投げる。何だよ、これはっ!
気分を変えてカバンから本を取り出すと読書に没頭していた。
「…本、好きだなぁ」
しばらくして背後から風呂上りらしい高山の声。
驚いて振り向くと飛び込んでくる恐るべき姿!!
「そ、それって…」
「オレも似合うだろ? 倉持と一緒のペアパジャマ♪」
色違いのお揃いらしいパジャマ姿。
「あっ、嫌なら今すぐオレが脱がせてやるよ?」
ニヤリと笑う高山、確信犯だな、コイツめ!!
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