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不安な疑惑の準備期間 2 ~ご優待キャンペーン?!~
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テスト前だろうがテスト中だろうが私の生活に変わりはない。
当たり前のように英語漬けの日々で家に居る時は高山とほぼ一緒。
少しは気をつかって一人にしてくれっつーの!
だけど高山曰く、
「ハンデを付けてこそみんなと同じ苦しみを味わえるだろ?」
はぁ? 意味不明。ハンデって何だっつーの?!
ここんところまともに授業を聞いてなかったからテスト範囲もろくに把握してなかったんだし。
トップは狙ってないにしろ、確認ぐらいはさせろって話。
ま、そんな感じで受けたテスト。
英語と家庭科は異常に手ごたえを感じてしまった。
それ以外はいつもどおりと変わらなかったけどね。
「憎たらしいぐらいの頭だな」
1学期の一大イベントのテストも終了し、採点された答案が返される頃となった金曜日。
召使業務で生物準備室に赴いた私の顔を見るなり高山がそう言う。
何なんだ? いきなり。
「文句の付けようがないパーフェクトな解答。ハンデがあっても満点を取るなんて可愛げのないヤツ」
高山は少し残念そうな顔をしてチラリと笹川の顔を見る。
相変わらず地味めを装う笹川はクスリと笑うと、
「倉持さんは本当に頭がいいんですよ、高山センセ」
そのやり取りが何となく親しげな雰囲気を感じる。
「…だから余計に邪魔したくなるんだよな」
ニヤリと笑いながら横目で見、何かを企んでる様子。
冗談じゃないっ! 100点取って教師から反感を買うのって見当違いだろう~がっ!
「倉持、とりあえず、コレ、運んどいてくれ」
教材道具一式+テストの答案を渡されるとそそくさと準備室から退出。
全く、嫌な予感がするなぁと思いつつ、教室へと向かった。
「倉持さん、ちょっといいかな?」
放課後、関口良子が遠慮気味に声をかけてきた。
HR終了後の教室は3分の2があっという間に姿を消す。
何故だか一部は教室に残って雑談をだらだらとしている。
「あのね、今回のテスト、手ごたえがよくって戻ってきた答案も点数が良かったんだ」
嬉しそうに語りつつも時計を気にして何だか慌てている気配。
「それでいつもお礼しなきゃいけないなって思ってて今頃になってしまったけど、これ…」
目の前に差し出された封筒。
「ハンバーガーセットの優待券、よければ使ってね。…それじゃあ、さようなら」
ほぼ強引に渡されると急いだ様子で教室を出て行く。
あっという間の出来事で何も言えずに受け取る形となる。
参ったね、こりゃ…。
封筒を握り締めたまま、高山の勤務終了まで時間をつぶしている図書館へと向かった。
この学校で唯一認めているのが施設・設備の良さ。
お金をかけていると噂されてるとおり、充実している。
その一環として図書館もいえる。
豊富な所蔵数を誇り、品揃えもバラエティに富んでいる。
入学してからほぼ毎日、顔を出しているといっても過言じゃない。
不満の塊である学校生活のオアシスといえるお気に入りの場所かもしれない。
おまけに個室まで完備してるから邪魔されずに一人きりなれる。
一人分の机と椅子が納まってるだけのスペース。
利用者がいない時は必ずそこを借りて有意義に過ごさせてもらってる。
今日は週末のため、数少ない個室が開いててラッキー!
一部だけフィルムが張られたガラスのドアで覗き込めば中の様子が見える構造。
どっちにしろドアに背を向けて座るから本を読んでる時は気にならないし。
早速手頃な本を一冊取り、カバンと封筒を机に置くとページをめくった。
待ち合わせまで何とか一人きりの時間を持つことができてるってコトが唯一の救い。
時間がきたら教員の駐車場に向かってそこで高山の車に乗り込むのがいつもの習慣。
家に帰ればお決まりのパターン。買い物、食事作り、英会話などなど。
とりあえずは夏休みが始まるまで高山のしがらみから逃れられない。
けど短期留学から戻ったら絶対に講師変えろ~~! と訴えてやるんだからっ!
「…何だ、コレ?」
不意に背後から聞き慣れた声が聞こえる。
振り向かなくても分かる、それが誰かって。
だって私の椅子の高さと同じ姿勢で肩に手を回しているから!!
「帰るにはまだ早い時間じゃないの?」
手を振り払いながら動けないので斜め見の形で眼鏡越しに睨む。
「することがないから時間まで倉持と居ようと思って」
悪びれずに片方の手で机の上にある封筒を掴む。
「ちょっと勝手に触らないでよ!」
狭い個室内で身動きが取れずじまいの最中、チラリと見れば高山は中身を確認中。
「…ハンバーガーセットの優待券? しかも2枚。…よし、明日のお昼はコレで決まりだな!」
高山は嬉しそうに微笑むとそっと私の髪に触れる。
「伸ばしっ放しみたいだし、ちょうどいい機会だな」
一人で納得するように呟くと時間まで髪の毛を編んだり、ひねったり。
結局、勝手にいじって完全に私の読書時間の邪魔しやがった!! むかっ。
当たり前のように英語漬けの日々で家に居る時は高山とほぼ一緒。
少しは気をつかって一人にしてくれっつーの!
だけど高山曰く、
「ハンデを付けてこそみんなと同じ苦しみを味わえるだろ?」
はぁ? 意味不明。ハンデって何だっつーの?!
ここんところまともに授業を聞いてなかったからテスト範囲もろくに把握してなかったんだし。
トップは狙ってないにしろ、確認ぐらいはさせろって話。
ま、そんな感じで受けたテスト。
英語と家庭科は異常に手ごたえを感じてしまった。
それ以外はいつもどおりと変わらなかったけどね。
「憎たらしいぐらいの頭だな」
1学期の一大イベントのテストも終了し、採点された答案が返される頃となった金曜日。
召使業務で生物準備室に赴いた私の顔を見るなり高山がそう言う。
何なんだ? いきなり。
「文句の付けようがないパーフェクトな解答。ハンデがあっても満点を取るなんて可愛げのないヤツ」
高山は少し残念そうな顔をしてチラリと笹川の顔を見る。
相変わらず地味めを装う笹川はクスリと笑うと、
「倉持さんは本当に頭がいいんですよ、高山センセ」
そのやり取りが何となく親しげな雰囲気を感じる。
「…だから余計に邪魔したくなるんだよな」
ニヤリと笑いながら横目で見、何かを企んでる様子。
冗談じゃないっ! 100点取って教師から反感を買うのって見当違いだろう~がっ!
「倉持、とりあえず、コレ、運んどいてくれ」
教材道具一式+テストの答案を渡されるとそそくさと準備室から退出。
全く、嫌な予感がするなぁと思いつつ、教室へと向かった。
「倉持さん、ちょっといいかな?」
放課後、関口良子が遠慮気味に声をかけてきた。
HR終了後の教室は3分の2があっという間に姿を消す。
何故だか一部は教室に残って雑談をだらだらとしている。
「あのね、今回のテスト、手ごたえがよくって戻ってきた答案も点数が良かったんだ」
嬉しそうに語りつつも時計を気にして何だか慌てている気配。
「それでいつもお礼しなきゃいけないなって思ってて今頃になってしまったけど、これ…」
目の前に差し出された封筒。
「ハンバーガーセットの優待券、よければ使ってね。…それじゃあ、さようなら」
ほぼ強引に渡されると急いだ様子で教室を出て行く。
あっという間の出来事で何も言えずに受け取る形となる。
参ったね、こりゃ…。
封筒を握り締めたまま、高山の勤務終了まで時間をつぶしている図書館へと向かった。
この学校で唯一認めているのが施設・設備の良さ。
お金をかけていると噂されてるとおり、充実している。
その一環として図書館もいえる。
豊富な所蔵数を誇り、品揃えもバラエティに富んでいる。
入学してからほぼ毎日、顔を出しているといっても過言じゃない。
不満の塊である学校生活のオアシスといえるお気に入りの場所かもしれない。
おまけに個室まで完備してるから邪魔されずに一人きりなれる。
一人分の机と椅子が納まってるだけのスペース。
利用者がいない時は必ずそこを借りて有意義に過ごさせてもらってる。
今日は週末のため、数少ない個室が開いててラッキー!
一部だけフィルムが張られたガラスのドアで覗き込めば中の様子が見える構造。
どっちにしろドアに背を向けて座るから本を読んでる時は気にならないし。
早速手頃な本を一冊取り、カバンと封筒を机に置くとページをめくった。
待ち合わせまで何とか一人きりの時間を持つことができてるってコトが唯一の救い。
時間がきたら教員の駐車場に向かってそこで高山の車に乗り込むのがいつもの習慣。
家に帰ればお決まりのパターン。買い物、食事作り、英会話などなど。
とりあえずは夏休みが始まるまで高山のしがらみから逃れられない。
けど短期留学から戻ったら絶対に講師変えろ~~! と訴えてやるんだからっ!
「…何だ、コレ?」
不意に背後から聞き慣れた声が聞こえる。
振り向かなくても分かる、それが誰かって。
だって私の椅子の高さと同じ姿勢で肩に手を回しているから!!
「帰るにはまだ早い時間じゃないの?」
手を振り払いながら動けないので斜め見の形で眼鏡越しに睨む。
「することがないから時間まで倉持と居ようと思って」
悪びれずに片方の手で机の上にある封筒を掴む。
「ちょっと勝手に触らないでよ!」
狭い個室内で身動きが取れずじまいの最中、チラリと見れば高山は中身を確認中。
「…ハンバーガーセットの優待券? しかも2枚。…よし、明日のお昼はコレで決まりだな!」
高山は嬉しそうに微笑むとそっと私の髪に触れる。
「伸ばしっ放しみたいだし、ちょうどいい機会だな」
一人で納得するように呟くと時間まで髪の毛を編んだり、ひねったり。
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