UNLUCKY?

おりのめぐむ

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不安な疑惑の準備期間 4 ~パスポート・デート後編~

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「…く、倉持さん?」

 すごく驚いた顔の彼女。

「へえ、関口はここでバイトしてんだ?」

 高山は感心した様子で優待券を差し出す。

「…た、高山先生? も?」

「オレはコーヒー。倉持は?」

 平然とした様子で注文する高山。
 ますます驚いた顔をする彼女が目に入らんのかい!

「あ、く、倉持さん。飲み物、何がいいかな?」

 驚きを隠しきれない様子で私を見る関口良子。
 そりゃそうだよ、高山と私が二人でいるんだもん。
 しかも今日の私のスタイルは学校とは雰囲気がぜんぜん違うし。
 …傍目から見たらデートしてるみたいじゃんか!
 私は目を逸らしながら小さく紅茶と答えた。

「少々お待ちください!」

 関口良子は踵を返すと後方にあるドリンクバーへと向かおうとした。
 その途中、不注意だったのか同僚の女の子とぶつかる。

「て、寺内さん、すみません!」

 明らかに動揺しているのがありありと分かる。

「倉持、オレが運ぶから席を取っておいて」

 高山はそう言うと私をカウンターから引き離した。
 …内心、ホッとした。
 だってこれ以上顔を合わせていられない。
 先生と生徒って関係の二人が学校以外でいるってのが変だしさ。
 それも貰った優待券を使ってる状況で明らかに私が誘ったみたいな感じっぽいし。
 彼女のあの驚いた顔からそう悟ってもおかしくない。
 違うと言ったところで一緒に来てるんだから弁解の仕様が無い。
 冷静沈着の優等生が先生を誘ってデートしてるって思ってるだろうなぁ。
 よりにもよって関口良子に見られたとは。
 ため息をつきながらうな垂れていると高山が紙袋を持ってやってきた。

「テイクアウトにしたから外で食べよう」

 高山から連れ出され、店を後にした。

「…食べないのか?」

 ガツガツと頬張る高山を尻目に一口食べたきり食の進まない私。
 近くの小さな公園へと移動し、そこで広げてランチタイムとなった。

「いらないならオレが貰う」

 そう言って私の手に握られてたバーガーをパクリ!

「あっ、何すんのよ!」

 とっさに反応して高山の頬にソースが。

「…たく」

 手の甲で拭いながらそのソースをペロリとなめた後、何かを思いついたようにニヤリと笑う。
 嫌な予感がし、とりあえず食べてしまおうとバーガーを口にした途端、ぐっと腕を掴まれる。
 同じようにして私の口の周りはソースだらけとなる。

「あにうんのよぉ!!」

 口に含んだバーガーでうまくしゃべれず、高山の笑った顔が憎らしい!!
 くそっ! と思いつつ、口に付いたソースを手で拭おうとした時、瞬時に肩を掴まれた。
 そしてソースだらけの唇は高山の唇によって覆われていた。
 キ、キキキス~~~ゥ?! それもこんな人目のある場所の真昼間にぃ~~~?

「仕返し」

 舌を口の周りで動かしながらほくそ笑む高山。
 こ、このエロ教師がぁ~~! 何さらすんじゃい~~!!
 怒りを爆発させようとした瞬間、

「あれぇ、やっぱし、高山ちゃんじゃん」

 背後から男の声。

「こんなところでランチデート? いいよなぁ」

 心臓が跳ね上がる。高山の知り合い?

「そうだ、だから邪魔すんなよ」

「ちぇ、お熱いことで。おれも関口の店でバーガー買ってこよう」

 声が遠ざかった後、その主の後姿を確認。
 はっきりとは分からないけど関口良子を知ってた様子だったし、同じクラスの男子?
 ってことは今の一部始終を見られてたワケ?
 た、高山とキスしているような姿を?!
 しかも関口良子と顔を合わすとなれば私だとばれる?!
 う、嘘でしょ~~?!
 これって最悪なパターンじゃんか!! 
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