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不安な疑惑の準備期間 6 ~噂の信憑性~
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ああ、嫌だ。教室に入るのが…。
まだまだ朝早い時間。
時間ギリギリに登校してくるクラスだから誰もいないんだろうけどさ。
いつものように席に着いてたら早めに登校してくる同級生はきっと…。
賭けの成立後、洋楽ヒヤリングは変わらず行なわれ、その解答を作成。
…といっても全然身に入ってないつーの!
私の集中力はただ一点。
教室にやってくる同級生の雰囲気。
勉強のこと以外で色恋沙汰の噂が流れてやしないかってこと。
英文を綴りながら教室に入ってきそうな影を察知。
ちらりと見ると、やっぱり関口良子!!
一瞬、目が合ったと思ったらすっと逸らされた。
普段なら挨拶ぐらいしてくれるのに…。
何も言わずに斜め前の席に腰掛けたきり、不自然なぐらい身動き一つしない。
完全に私のことを意識しているのが窺われる。
何だか嫌な空気。
親しいわけじゃないけど、これで唯一お話していた同級生を無くしたって感じ。
眼鏡越しに彼女の背中を見つめ、深いため息をつく。
気が重いまま、英文に集中する振りをし続けた。
そうでもしないと周りの顔色を窺ってしまいそうだった。
時間が下がれば下がるほど、教室は埋まってくる。
だけど何の変わりも無い朝の風景。
…関口良子だけが避けた以外は。
もしかして高山との噂はまだ拡がっていない?
そのうちにSHRが始まり、担任に呼ばれたようで関口良子が教室を出て行く。
彼女の行動に一挙一動していると斜め後ろから声が響いてきた。
「え~~!! 高山センセに恋人?!」
クラスの高山ファンの女子たちがとある男子に群がる。
「マジで? どんなヤツだった? その女!!」
急に心臓がドキドキする。目撃された男に違いない。
「それが意外なことに…」
ひそめた声で思わず席を立ち上がる。
私だと言われる前に姿を消すべきだと。
「うそ~~!! マジで?!」
一足遅く、その名前を知ったようだ。最悪。
…ってあれ?
誰もこっちを見る様子が無い。相変わらず男子にたかって盛り上がっている。
恐る恐る席に戻って耳をすませば…。
「何よ、それぇ。結局見てないじゃんか!」
「だってよ、顔を見ようとするとうまい具合に高山ちゃんが必死で隠そうとするんだぜ」
「ええ~~、でもドコゾヤのお嬢様なんでしょ?」
「ま、後姿しか見えなかったけど、清楚な感じでさ、おとなしそうだったぜ」
「高山センセってば、ホントはそんな女がタイプなんだ?」
「アデージョじゃないってことか、いっが~い!」
…なんて拍子抜け。
顔は見られてないとはいえ、関口良子は黙ってたんだ。
…ってことは彼女のみが私と高山を見たってことになる。
「で、でもキスしてたんでしょ? あ~~、悔しい!!」
「そ、傍目から見てちょーラブラブ。バーガーの食べさせ合いしてチューだし!!」
「うわ~~、許せない~~!」
奇声を発する高山ファンたち。
つーか、あれがラブラブに見えるなんて彼の眼は節穴だっつーの。
食べさせ合いなんてしてないし、キスもしてないし!!
ラブラブでもないし、そもそも恋人でも何でもない~~~!!
拡がりつつある噂の内容を心の中では否定しつつも変化していく様を目の当たりにした。
お昼になる頃には高山とどこぞの令嬢とのデートに様変わり。
どこでどうなるのかわかりゃしない。
だけど、真実を知る関口良子。
午前中は妙にソワソワした様子で私のことを気にしてた。
きっと噂を聞きつけて虚偽の内容に驚愕してたんだろうな。
って思ってたら突然、
「あ、あの、倉持さん、ちょっといいかな?」
その本人がドギマギしながら声をかけてきた。
冷静を装いながらひと気の無い階段の裏で二人きりになる。
「ど、土曜日の件、何だけど…」
しどろもどろに切り出した関口良子はすごく動揺した様子。
ああ、何て答えればいいんだろう? 頭の中が真っ白だ。
※アデージョ・・・その当時「艶女」の意味として使われた用語
まだまだ朝早い時間。
時間ギリギリに登校してくるクラスだから誰もいないんだろうけどさ。
いつものように席に着いてたら早めに登校してくる同級生はきっと…。
賭けの成立後、洋楽ヒヤリングは変わらず行なわれ、その解答を作成。
…といっても全然身に入ってないつーの!
私の集中力はただ一点。
教室にやってくる同級生の雰囲気。
勉強のこと以外で色恋沙汰の噂が流れてやしないかってこと。
英文を綴りながら教室に入ってきそうな影を察知。
ちらりと見ると、やっぱり関口良子!!
一瞬、目が合ったと思ったらすっと逸らされた。
普段なら挨拶ぐらいしてくれるのに…。
何も言わずに斜め前の席に腰掛けたきり、不自然なぐらい身動き一つしない。
完全に私のことを意識しているのが窺われる。
何だか嫌な空気。
親しいわけじゃないけど、これで唯一お話していた同級生を無くしたって感じ。
眼鏡越しに彼女の背中を見つめ、深いため息をつく。
気が重いまま、英文に集中する振りをし続けた。
そうでもしないと周りの顔色を窺ってしまいそうだった。
時間が下がれば下がるほど、教室は埋まってくる。
だけど何の変わりも無い朝の風景。
…関口良子だけが避けた以外は。
もしかして高山との噂はまだ拡がっていない?
そのうちにSHRが始まり、担任に呼ばれたようで関口良子が教室を出て行く。
彼女の行動に一挙一動していると斜め後ろから声が響いてきた。
「え~~!! 高山センセに恋人?!」
クラスの高山ファンの女子たちがとある男子に群がる。
「マジで? どんなヤツだった? その女!!」
急に心臓がドキドキする。目撃された男に違いない。
「それが意外なことに…」
ひそめた声で思わず席を立ち上がる。
私だと言われる前に姿を消すべきだと。
「うそ~~!! マジで?!」
一足遅く、その名前を知ったようだ。最悪。
…ってあれ?
誰もこっちを見る様子が無い。相変わらず男子にたかって盛り上がっている。
恐る恐る席に戻って耳をすませば…。
「何よ、それぇ。結局見てないじゃんか!」
「だってよ、顔を見ようとするとうまい具合に高山ちゃんが必死で隠そうとするんだぜ」
「ええ~~、でもドコゾヤのお嬢様なんでしょ?」
「ま、後姿しか見えなかったけど、清楚な感じでさ、おとなしそうだったぜ」
「高山センセってば、ホントはそんな女がタイプなんだ?」
「アデージョじゃないってことか、いっが~い!」
…なんて拍子抜け。
顔は見られてないとはいえ、関口良子は黙ってたんだ。
…ってことは彼女のみが私と高山を見たってことになる。
「で、でもキスしてたんでしょ? あ~~、悔しい!!」
「そ、傍目から見てちょーラブラブ。バーガーの食べさせ合いしてチューだし!!」
「うわ~~、許せない~~!」
奇声を発する高山ファンたち。
つーか、あれがラブラブに見えるなんて彼の眼は節穴だっつーの。
食べさせ合いなんてしてないし、キスもしてないし!!
ラブラブでもないし、そもそも恋人でも何でもない~~~!!
拡がりつつある噂の内容を心の中では否定しつつも変化していく様を目の当たりにした。
お昼になる頃には高山とどこぞの令嬢とのデートに様変わり。
どこでどうなるのかわかりゃしない。
だけど、真実を知る関口良子。
午前中は妙にソワソワした様子で私のことを気にしてた。
きっと噂を聞きつけて虚偽の内容に驚愕してたんだろうな。
って思ってたら突然、
「あ、あの、倉持さん、ちょっといいかな?」
その本人がドギマギしながら声をかけてきた。
冷静を装いながらひと気の無い階段の裏で二人きりになる。
「ど、土曜日の件、何だけど…」
しどろもどろに切り出した関口良子はすごく動揺した様子。
ああ、何て答えればいいんだろう? 頭の中が真っ白だ。
※アデージョ・・・その当時「艶女」の意味として使われた用語
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