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おりのめぐむ

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不穏な短期留学紀行 5 ~危険な出会い~

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「ミク、行くわよ!」

 月曜日。短期留学の初日。テイラーの急かすような声が響く。
 同じ場所へと登校するから彼女運転の車でついでに送迎するため。
 高山とテイラーの両親は既にお出かけ済の状態。
 私はきちんと戸締りをしてテイラーの車に乗り込んだ。
 学校近くの駐車場に止めると帰りもここで待ち合わせと解散。
 彼女に何かした記憶はないけどどうも嫌われてる様子?
 ツンケンしながらも世話をしてやってるって感じが見受けられる。
 ・・・ま、気にしないけど、それだったら別行動にしたっていいのにさ。
 無理して送ってくれなくてもバスとかで行けるつーの。
 テイラーの不可解な様子に疑問を持ちながら校舎へと向かった。
 初日ってコトでまずはクラス別に振り分けるためだと簡単なテストがあった。
 私と同じように入学する日本人学生がいて語学留学って多いんだなと実感。
 ところが実際にクラス分けが行なわれると外国人だらけ。
 さっき一緒にテストを受けた学生らの姿が全くない。
 何とか同じ雰囲気の女子がいたと話してみれば中国人。
 いきなり場違いなクラスに来たもんだと衝撃を受けた。
 だけどこんなことで動揺してられない。理由はどうであれ、今更引き下がれない。
 もうやるしかないのよ、私はっ! と辞書を片手に意気込んだ。
 その甲斐あってか、3日でクラスの雰囲気に慣れることができた。
 そんな風に学校生活にも慣れ始めた下校時。
 テイラーと帰宅するため、例の駐車場で待ち合わせ。
 彼女を待ってる時間を利用して車のそばで読書してるってのが日課。
 停止中の車があるのみの場所。なのに妙に視線を感じるのは何故?
 顔を上げれば前方に立つ男がじっと私を見てる気がする・・・。
 少し日に焼けたような肌に茶色がかった髪の長身の外国人。
 一目見てサーフィンやってますって感じのオージーボーイだって察する。
 クラスでも見覚えのない男で全くの初対面だよね?
 私、何かした? それとも気のせい?
 その男はにっこりと笑いながらだんだんと私に近づいてくる。
 んげ? 何で近づいてくるのよ? そう思った矢先、

「ミク~!」

 後ろからテイラーの呼ぶ声に気をとられる。

「・・・もしかしてテイラーと知り合いなの?」

 いつの間にか近づいていた男が嬉しそうに私に話しかけてきた。

「ええ、まあ」

 怪訝そうに返事をしているとテイラーもそばに来ていた。

「あら、マットじゃない?」

 どうやら彼女と知り合いらしい。何なんだ、この男は?

「テイラー、彼女を紹介してくれない?」

「ああ、ミクよ。ワタシの家にステイ中なの」

 テイラーは呆れ気味に返事した。

「へえ、そうなんだ。ミク、ボクはマット。テイラーと同じ学科なんだ。よろしく」

 マットと名のった彼は私の方に向き合って手を差し出した。

「はあ、どうも?」

 愛想良いとはいえない顔で握手するとマットはじっと見つめる。
 何なんだ? この熱い視線は・・・。

「それじゃ、また」

 マットはニッコリ笑うと私の頬にキスして去っていく。
 でも高山で免疫が出来てるから動じなかったのは言うまでもない?

「・・・たく、マットも相変わらずだわ」

 呆れた口調で言い放つとテイラーは車に乗り込みエンジンをかける。

「ミク、今日もまたカズはアーロン博士の家ですって」

 テイラーはうんざりとした表情で愚痴をこぼす。
 確かに高山は最初の日以来、あのジジイの元でお世話になってる様子。
 この間、教室に顔を見せに来た以外はほとんど会ってないようなもの。
 おかげでベッドどころか部屋は独り占めで狂喜乱舞でこの上なし!

「へえ、そうですか」

 淡々と答える私にテイラーは不審顔。

「カズが帰ってこないのよ? 寂しくないの、ミクは!」

「別に・・・。部屋が独り占め出来て嬉しいぐらいですけど?」

「嬉しい、ですって?!」

 テイラーの叫ぶような声で車は急停止。
 ・・・そんなに驚くこと? テイラーってばちょっと変かも?
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