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不穏な短期留学紀行 6 ~魔のドライブツアー~
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「やあ、ミク。今日もテイラーを待ってるの?」
留学生活も半ばを過ぎ、すっかり顔なじみになってしまったマット。
駐車場で待ちわびる私に声をかけるようになって少しは親しくなったのかも?
とはいえ、挨拶程度の会話しかしてないけどね。
「ええ、そうです。マットはまたサーフィンですか?」
「はは、そんなにサーフィンやってる印象なんだ」
「はい。いつも海って言ってるから」
「まあ、海には毎日行ってるけど、波乗りしてるわけでもないよ。…あっ、そうだ。今度海以外の場所に行きたいな。ミク、一緒に行かない?」
「えっ?」
いきなりのお誘いに躊躇。その時、タイミングよくテイラーが現れる。
「またマットなの? いいかげんにしなさいよ」
ここのところ不機嫌気味の彼女。マットもそれを察して急いで去る。
「じゃ、ミク。また今度ね」
「・・・たく、マットのヤツ。羨ましいぐらい積極的なんだから」
ブツブツと呟くようにテイラーは車へと乗り込む。
「ミク、カズは一体、いつになったら帰ってくるの?」
ハンドルをぐっと握り締め、耐えられないといったように声を上げる。
「さあ、私は知りません」
「知らないって。もう半月もいないのよ? どういうことよ」
「例の研究発表の手伝いなんじゃないですか?」
「それにしても週末は顔を出せるんじゃないの? 博士のところに入りびたりなんてワタシの家にステイしてる意味がないじゃない!」
「そうですね」
テイラーってば高山が帰ってこないことに腹を立ててるんだ。
確かにホームステイしてるのに他の家でお世話になるってのも考えものだよね。
いっそのこと、あのジジイのところに移るって言っちゃえばいいのに。
「・・・ミク」
テイラーは怒りを抑えるようにして私を見つめる。
「前から訊こうと思ってたんだけど、カズの事、心配じゃないの?」
「へ? 何でですか?」
「自分にとって大切な人が音沙汰無いのよ。気になるのが当然でしょ?」
「・・・自分にとって大切な、ヒト? 誰が?」
彼女の言う意味が分からなくて首をかしげる。
「何言ってるのよ、ミク!! カズに決まってるでしょ! だってミクとカズは・・・」
テイラーの発言に驚愕!! ありえない言葉を耳にする。
「こ、こここ、婚約者だとぉ~~~!! 何だそれはっっ!! じょ、冗談じゃない!!」
叫ぶ私に今度はテイラーが驚いた顔。
「・・・婚約どころか、恋人でも何でも無いしっ! ただの教師と生徒だっつーの!」
信じられない、あのヤロー。どこまで適当なことを振れ回ってやがるんだ?
テイラーは頭を押さえながら確かめるように私に尋ねる。
「ミク、確認するけどカズと付き合ってないのね? カズの事、何とも思ってないのね?」
私ははっきりと力強く、イエスと答えていた。
高山のヤツ、今度会った時にはただじゃおかないんだから!
っつっても別離状態だからいつ会えるか分からないんだけどさ。
それまでにこの怒りを温存しといてやる。つーか、蓄積しておこう。
「・・・な~んだ」
テイラーは自嘲気味に呟くと突然笑い出した。やっぱり彼女、ちょっと変。
それから留学生活もあと1週間を残すことになった。
相変わらず高山の帰らない日々は続いたけど、急にテイラーと仲良くなった。
というより、彼女が妙に優しくなった気がする。
今までのツンツンとした雰囲気が無くなったから打ち解けた感じ。
一緒にショッピングや映画とかに行ったりもしてようやく交流を図った気がする。
そんな最後の週末、前から誘われていたマットとドライブに行くことになってしまった。
「ミク、いってらっしゃい!」
嬉しそうに手を振るテイラーに見送られながら車は走り出す。
何だか妙に張り切っていてコーディネートを考えたのも彼女。
大人っぽい雰囲気でカジュアル。ちょっと露出が多い気もするけどさ。
「今日のミク、とっても素敵だよ」
マットはいつもより熱い視線で微笑んでいた。
「それはどうも」
・・・これが最悪なドライブの始まりになるとは気づかずに。
留学生活も半ばを過ぎ、すっかり顔なじみになってしまったマット。
駐車場で待ちわびる私に声をかけるようになって少しは親しくなったのかも?
とはいえ、挨拶程度の会話しかしてないけどね。
「ええ、そうです。マットはまたサーフィンですか?」
「はは、そんなにサーフィンやってる印象なんだ」
「はい。いつも海って言ってるから」
「まあ、海には毎日行ってるけど、波乗りしてるわけでもないよ。…あっ、そうだ。今度海以外の場所に行きたいな。ミク、一緒に行かない?」
「えっ?」
いきなりのお誘いに躊躇。その時、タイミングよくテイラーが現れる。
「またマットなの? いいかげんにしなさいよ」
ここのところ不機嫌気味の彼女。マットもそれを察して急いで去る。
「じゃ、ミク。また今度ね」
「・・・たく、マットのヤツ。羨ましいぐらい積極的なんだから」
ブツブツと呟くようにテイラーは車へと乗り込む。
「ミク、カズは一体、いつになったら帰ってくるの?」
ハンドルをぐっと握り締め、耐えられないといったように声を上げる。
「さあ、私は知りません」
「知らないって。もう半月もいないのよ? どういうことよ」
「例の研究発表の手伝いなんじゃないですか?」
「それにしても週末は顔を出せるんじゃないの? 博士のところに入りびたりなんてワタシの家にステイしてる意味がないじゃない!」
「そうですね」
テイラーってば高山が帰ってこないことに腹を立ててるんだ。
確かにホームステイしてるのに他の家でお世話になるってのも考えものだよね。
いっそのこと、あのジジイのところに移るって言っちゃえばいいのに。
「・・・ミク」
テイラーは怒りを抑えるようにして私を見つめる。
「前から訊こうと思ってたんだけど、カズの事、心配じゃないの?」
「へ? 何でですか?」
「自分にとって大切な人が音沙汰無いのよ。気になるのが当然でしょ?」
「・・・自分にとって大切な、ヒト? 誰が?」
彼女の言う意味が分からなくて首をかしげる。
「何言ってるのよ、ミク!! カズに決まってるでしょ! だってミクとカズは・・・」
テイラーの発言に驚愕!! ありえない言葉を耳にする。
「こ、こここ、婚約者だとぉ~~~!! 何だそれはっっ!! じょ、冗談じゃない!!」
叫ぶ私に今度はテイラーが驚いた顔。
「・・・婚約どころか、恋人でも何でも無いしっ! ただの教師と生徒だっつーの!」
信じられない、あのヤロー。どこまで適当なことを振れ回ってやがるんだ?
テイラーは頭を押さえながら確かめるように私に尋ねる。
「ミク、確認するけどカズと付き合ってないのね? カズの事、何とも思ってないのね?」
私ははっきりと力強く、イエスと答えていた。
高山のヤツ、今度会った時にはただじゃおかないんだから!
っつっても別離状態だからいつ会えるか分からないんだけどさ。
それまでにこの怒りを温存しといてやる。つーか、蓄積しておこう。
「・・・な~んだ」
テイラーは自嘲気味に呟くと突然笑い出した。やっぱり彼女、ちょっと変。
それから留学生活もあと1週間を残すことになった。
相変わらず高山の帰らない日々は続いたけど、急にテイラーと仲良くなった。
というより、彼女が妙に優しくなった気がする。
今までのツンツンとした雰囲気が無くなったから打ち解けた感じ。
一緒にショッピングや映画とかに行ったりもしてようやく交流を図った気がする。
そんな最後の週末、前から誘われていたマットとドライブに行くことになってしまった。
「ミク、いってらっしゃい!」
嬉しそうに手を振るテイラーに見送られながら車は走り出す。
何だか妙に張り切っていてコーディネートを考えたのも彼女。
大人っぽい雰囲気でカジュアル。ちょっと露出が多い気もするけどさ。
「今日のミク、とっても素敵だよ」
マットはいつもより熱い視線で微笑んでいた。
「それはどうも」
・・・これが最悪なドライブの始まりになるとは気づかずに。
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