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不穏な短期留学紀行 7 ~逃亡の果てにて~
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あちらこちらと遠出したらしく、たっぷりと暮れてしまった夕刻。
17時までには戻るって伝えてたのに未だに車の中。
それもどこぞやの山道に入ってるから帰宅までにもっと時間がかかる予感。
しかも携帯を持ってないから心配させるかもしれない。
「マット、携帯持ってます? よければ貸して貰えますか?」
ステイ先に電話しておこうと運転中の彼に声をかける。
「ミクはそんなに帰りたいの? さっきから時計ばかり見てるし」
「ここから家までおそらく1時間は掛かりますよね? もう時間過ぎてるし・・・」
マットはムッとした様子で路肩に車を止めた。
「ミクはもっとボクと居たいと思わないの?」
「17時に帰るって伝えてるから早く帰らないと・・・」
「・・・そう、分かったよ」
怒った雰囲気のままシートベルトを外し始めたので携帯を取り出してくれるのかと思いきや!
ガクンと突然、私のシートが後方へと倒れた。
ウソッ! と思った時には素早く覆いかぶさるようにマットが私の目の前に。
「ミク、好きだよ」
マットはそう言うと顔を近づけてすぐさま唇を奪っていた。
柔らかい唇の感触がしたかと思ったら唇の間を割って何かが入ってくる。
舌だと気づいた瞬間、急に全身に鳥肌が立ち、嫌悪が生まれた。
反発しようとする身体を押さえつけるように続けられるキス。
嫌だっ!! 絶対にイヤダッ!! そう思ったら訳が分からなかった。
口の中にある舌を噛み、痛がるマットを押しのけると無我夢中で車から飛び出す。
「ミク!!」
マットの声が聞こえた途端、反射的に山の中へと走り出していた。
只でさえ、鈍い私だから急がなきゃ捕まってしまう。
早くできるだけ遠くへ逃げなきゃ! それだけを思って足を進める。
ザクザクと音を立てる道なき道をひたすら走り続ける。
そして何かに引っかかり、足場の悪い地面へと身体が叩きつけられていた。
・・・寒っ! 全身からぞくっとするような寒さで目が覚める。
時計を見れば19時過ぎ。逃亡の挙句、気を失ってたせいで2時間は経っていた。
比較的暖かい気候とはいえ、さすがに夜ともなると急激に冷え込む。
しかも昼間のお出かけって事で割と薄着だったし。
立ち上がると膝から激しい痛みが襲う。転んだ時に怪我をしたみたいだ。
寒いし、痛いし、最悪だっつーの! それもこれもあのマットのせいだっ!
悔しさを胸にとりあえず道のあった場所に戻ろうと試みる。
小枝や枯葉などで道らしい道は無く傾斜の激しい真っ暗な山の中。
シンとした山林で人の気配すらない。時折、遠くの方でガサガサと音がしたりする。
くっそぅ~、何でオーストラリアの地でこんな目に合ってるのよ~~!!
寒さ、痛さ、情けなさの三重苦で私はボロボロだった。
けれども山の中にこもっていては危険。道路方面へと移動しなければと判断し、推測する。
ようやく道路に辿り着いた時は疲れ果てていて歩く気力すら残っていなかった。
車の通りが無くなっていた路肩に座り込み、途方に暮れる。
冬だと実感させられる身も凍るような寒さでさすがの私もどうしようもないとうつ伏せていた。
・・・もし私が死んだら悲しむ人っているのかな?
そんな悲観的な感情だけが生まれて落ち込むばかりだった。
「・・・未来」
名前を呼ばれた気がして意識が遠ざかりそうになってた私はハッとする。
「未来!!」
再び声がして顔を上げる。
するとそこには車のヘッドライトをバックに黒い人影。
だけどそれが誰だか分かっていた。
「高山っ!」
私は即座に立ち上がるとその方へと駆け出していた。
「未来、大丈夫か?」
聞きなれた声がした時は空耳かと思えた。
3週間程も会っていなかった高山を肌で感じる。
「高山・・・」
しっかりと抱きしめられた腕の中で暖かさが心地いい。
安心感を覚えた私はいつのまにか目を瞑っていた。
17時までには戻るって伝えてたのに未だに車の中。
それもどこぞやの山道に入ってるから帰宅までにもっと時間がかかる予感。
しかも携帯を持ってないから心配させるかもしれない。
「マット、携帯持ってます? よければ貸して貰えますか?」
ステイ先に電話しておこうと運転中の彼に声をかける。
「ミクはそんなに帰りたいの? さっきから時計ばかり見てるし」
「ここから家までおそらく1時間は掛かりますよね? もう時間過ぎてるし・・・」
マットはムッとした様子で路肩に車を止めた。
「ミクはもっとボクと居たいと思わないの?」
「17時に帰るって伝えてるから早く帰らないと・・・」
「・・・そう、分かったよ」
怒った雰囲気のままシートベルトを外し始めたので携帯を取り出してくれるのかと思いきや!
ガクンと突然、私のシートが後方へと倒れた。
ウソッ! と思った時には素早く覆いかぶさるようにマットが私の目の前に。
「ミク、好きだよ」
マットはそう言うと顔を近づけてすぐさま唇を奪っていた。
柔らかい唇の感触がしたかと思ったら唇の間を割って何かが入ってくる。
舌だと気づいた瞬間、急に全身に鳥肌が立ち、嫌悪が生まれた。
反発しようとする身体を押さえつけるように続けられるキス。
嫌だっ!! 絶対にイヤダッ!! そう思ったら訳が分からなかった。
口の中にある舌を噛み、痛がるマットを押しのけると無我夢中で車から飛び出す。
「ミク!!」
マットの声が聞こえた途端、反射的に山の中へと走り出していた。
只でさえ、鈍い私だから急がなきゃ捕まってしまう。
早くできるだけ遠くへ逃げなきゃ! それだけを思って足を進める。
ザクザクと音を立てる道なき道をひたすら走り続ける。
そして何かに引っかかり、足場の悪い地面へと身体が叩きつけられていた。
・・・寒っ! 全身からぞくっとするような寒さで目が覚める。
時計を見れば19時過ぎ。逃亡の挙句、気を失ってたせいで2時間は経っていた。
比較的暖かい気候とはいえ、さすがに夜ともなると急激に冷え込む。
しかも昼間のお出かけって事で割と薄着だったし。
立ち上がると膝から激しい痛みが襲う。転んだ時に怪我をしたみたいだ。
寒いし、痛いし、最悪だっつーの! それもこれもあのマットのせいだっ!
悔しさを胸にとりあえず道のあった場所に戻ろうと試みる。
小枝や枯葉などで道らしい道は無く傾斜の激しい真っ暗な山の中。
シンとした山林で人の気配すらない。時折、遠くの方でガサガサと音がしたりする。
くっそぅ~、何でオーストラリアの地でこんな目に合ってるのよ~~!!
寒さ、痛さ、情けなさの三重苦で私はボロボロだった。
けれども山の中にこもっていては危険。道路方面へと移動しなければと判断し、推測する。
ようやく道路に辿り着いた時は疲れ果てていて歩く気力すら残っていなかった。
車の通りが無くなっていた路肩に座り込み、途方に暮れる。
冬だと実感させられる身も凍るような寒さでさすがの私もどうしようもないとうつ伏せていた。
・・・もし私が死んだら悲しむ人っているのかな?
そんな悲観的な感情だけが生まれて落ち込むばかりだった。
「・・・未来」
名前を呼ばれた気がして意識が遠ざかりそうになってた私はハッとする。
「未来!!」
再び声がして顔を上げる。
するとそこには車のヘッドライトをバックに黒い人影。
だけどそれが誰だか分かっていた。
「高山っ!」
私は即座に立ち上がるとその方へと駆け出していた。
「未来、大丈夫か?」
聞きなれた声がした時は空耳かと思えた。
3週間程も会っていなかった高山を肌で感じる。
「高山・・・」
しっかりと抱きしめられた腕の中で暖かさが心地いい。
安心感を覚えた私はいつのまにか目を瞑っていた。
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