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不要な愛の言葉 1 ~ステージ上での告白~
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翌朝、気まずい空気の中、新学期がやってきた。
昨日はあんな捨て台詞を吐いてしまってほとんど眠れずじまい。
絶対に入れまいと寝室のドアを塞ぐように座ってたけどそのまま一晩が過ぎた。
登校に向けて極力顔を合わせないようにして準備を進める。
話しかけようとする高山を私が避け、必要最小限しか会話をしていない。
まともに向き合うと何だか取り返しがつかなくなりそうで怖い。
これからはこんな風に接しないと一緒に過ごせない気がする。
軽い頭痛と気だるさが残る中、学校へと向かった。
「おはよう、倉持さん」
教室で頬杖をつきながらこめかみを押さえていると関口良子が声をかける。
「・・・おはよう」
だるさが高まってきていて顔をろくに合わせず挨拶を返す。
「倉持さん、大丈夫? 何だか顔色が悪い気がするけど・・・」
近づいて来ようとする彼女を足止めするように身を起こす。
「大丈夫。気にしないで」
「・・・そう?」
心配そうな表情を浮かべながら彼女は自分の席に着いた。
クマゼミが懸命に鳴く、夏の名残がある9月。
講堂では始業式が行なわれていた。
全校生徒が起立してとりあえずはステージに注目しているフリ。
実際は前後や隣と談笑し、好き勝手にしてるけど。
ああ、立ってるだけでだるい。
校長の話にイライラしながら早く終わらないかと睨みつける。
大した内容じゃないんだから大義名分なんて要らないってーの!
サクサクッと進めてとっとと終えちゃって欲しい。
式が終わればLHRがあって今日は終了。
誰にも邪魔されずに早く一人きりになりたい。
少しでも高山と過ごす時間を減らすため、考えなきゃいけない。
・・・どうすれば高山と離れられるか、を。
「キャー!!」
「いや~ん、カッコイイ~!!」
突然、女子の黄色い声がところどころで上がる。
何事かと思えばステージ上に高山の姿。しかも何故か結婚式で着るようなタキシード姿でご登場。
登校時のスーツ姿と異なっていつの間に着替えてたんだとばかりに決めていた。
白衣姿に立てた前髪の印象とは違い、何だかとってもクラシカル。
高山はステージの壇上に立ち、コホンと咳払いをした。
ざわついていた生徒たちは何が始まるのかと息を呑む。もちろん、私も。
全校生徒から注目を浴びる中、何故だか高山がこっちを見ている気がした。
遠めで距離はあるのに顔が向けられているような感じがする。
自意識過剰気味になってて気のせいかもしれないけど。
「この学園のみんなに報告したいことがある。だからこの時間を特別に作ってもらった」
マイクを通して講堂全体に高山の声が響き渡った。
ざわつきが一瞬巻き起こり、その先を待つように静まり返る。
一体、何を言い出すつもりなんだ? 頭の痛みに堪えつつ、ただ発言を待つ。
高山は全体を見渡すと決意したかのように口を開く。
「オレは、倉持未来を愛している!」
スピーカー越しからもはっきりと告げられた言葉。
ざわめきと共に視線が一瞬にして集まる。
た、高山のヤロー、突然何を言い出しやがる!!
「・・・だから未来はオレのものだ。他の野郎ども未来に近づくんじゃねーぞ!」
激しい頭痛と倦怠感が一気に襲ってきた。
地面がグニャグニャと揺れて目の前がクラクラ。
全校生徒の注目を浴びる中、眩暈を起こしていた。
昨日はあんな捨て台詞を吐いてしまってほとんど眠れずじまい。
絶対に入れまいと寝室のドアを塞ぐように座ってたけどそのまま一晩が過ぎた。
登校に向けて極力顔を合わせないようにして準備を進める。
話しかけようとする高山を私が避け、必要最小限しか会話をしていない。
まともに向き合うと何だか取り返しがつかなくなりそうで怖い。
これからはこんな風に接しないと一緒に過ごせない気がする。
軽い頭痛と気だるさが残る中、学校へと向かった。
「おはよう、倉持さん」
教室で頬杖をつきながらこめかみを押さえていると関口良子が声をかける。
「・・・おはよう」
だるさが高まってきていて顔をろくに合わせず挨拶を返す。
「倉持さん、大丈夫? 何だか顔色が悪い気がするけど・・・」
近づいて来ようとする彼女を足止めするように身を起こす。
「大丈夫。気にしないで」
「・・・そう?」
心配そうな表情を浮かべながら彼女は自分の席に着いた。
クマゼミが懸命に鳴く、夏の名残がある9月。
講堂では始業式が行なわれていた。
全校生徒が起立してとりあえずはステージに注目しているフリ。
実際は前後や隣と談笑し、好き勝手にしてるけど。
ああ、立ってるだけでだるい。
校長の話にイライラしながら早く終わらないかと睨みつける。
大した内容じゃないんだから大義名分なんて要らないってーの!
サクサクッと進めてとっとと終えちゃって欲しい。
式が終わればLHRがあって今日は終了。
誰にも邪魔されずに早く一人きりになりたい。
少しでも高山と過ごす時間を減らすため、考えなきゃいけない。
・・・どうすれば高山と離れられるか、を。
「キャー!!」
「いや~ん、カッコイイ~!!」
突然、女子の黄色い声がところどころで上がる。
何事かと思えばステージ上に高山の姿。しかも何故か結婚式で着るようなタキシード姿でご登場。
登校時のスーツ姿と異なっていつの間に着替えてたんだとばかりに決めていた。
白衣姿に立てた前髪の印象とは違い、何だかとってもクラシカル。
高山はステージの壇上に立ち、コホンと咳払いをした。
ざわついていた生徒たちは何が始まるのかと息を呑む。もちろん、私も。
全校生徒から注目を浴びる中、何故だか高山がこっちを見ている気がした。
遠めで距離はあるのに顔が向けられているような感じがする。
自意識過剰気味になってて気のせいかもしれないけど。
「この学園のみんなに報告したいことがある。だからこの時間を特別に作ってもらった」
マイクを通して講堂全体に高山の声が響き渡った。
ざわつきが一瞬巻き起こり、その先を待つように静まり返る。
一体、何を言い出すつもりなんだ? 頭の痛みに堪えつつ、ただ発言を待つ。
高山は全体を見渡すと決意したかのように口を開く。
「オレは、倉持未来を愛している!」
スピーカー越しからもはっきりと告げられた言葉。
ざわめきと共に視線が一瞬にして集まる。
た、高山のヤロー、突然何を言い出しやがる!!
「・・・だから未来はオレのものだ。他の野郎ども未来に近づくんじゃねーぞ!」
激しい頭痛と倦怠感が一気に襲ってきた。
地面がグニャグニャと揺れて目の前がクラクラ。
全校生徒の注目を浴びる中、眩暈を起こしていた。
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