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不要な愛の言葉 4 ~学園公認カップル!?~
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やっぱり、この学園ってばおかしい。どう考えても普通じゃない。
つくづくそう実感せざるを得ない状況に苦笑していた。
あの騒動の翌日、謝罪に行くからと登校早々校長室へと連れて行かれた。
私がぶっ倒れて保健室で過ごした後、責任問題を放置して帰った経緯もあるしね。
それは仕方のないことだと納得して訪ねた訳だ。
ところが二人揃って校長と顔を合わせた途端、
「いやあ、婚約おめでとう。心から祝福させていただくよ」
はっ? 校長よ、何故に喜んでいる。そしてその容認モードはなんなのさ!
予想もしない言葉に呆れていると高山はお礼の言葉を述べていた。
「聞けば約半年前から愛を育んでいたらしいじゃないか。にも拘らず倉持くんは圧倒的に学年どころか学園全体のトップをキープ。満点の成績で。いや、それどころかオーストラリアではハイレベルなクラスに選別され、立派な成績を残したそうじゃないか。しかも高山先生が影で支えたと専らの評判ですよ。いやあ、愛の力は大きいですなぁ」
ガハガハと笑い出す校長に私は呆然。そんな話、誰が作ってるんだ?
「今後益々の活躍を期待してますよ。・・・まあ、在学中に二世が誕生って事だけ気をつけてくださいよ」
呆れて何も言えない私に代わって高山が嬉しそうに受け答えした後、退出。
それから続けて職員室へ連れ込まれ、その場は一気に祝宴モード。
コイツら、絶対に頭イカレテやがるぞっ! 批判する輩はいないのかよっ。
すっかり脱力した私は反論さえ出来ずに職員室を後にした。
「それじゃあ、未来。放課後な」
浮かれ気分の高山は私の頬にキスした後、職員室へと戻っていった。
その仕草を通りがかった先輩らが見たらしく、後ろで冷やかすような口笛が聞こえた。
お~の~れ~!! 高山のヤロー、付け上がりやがって~~!!
そもそも婚約のことなんて納得して無いのに勝手に話が広がってる。
昨日は最終的に両親の手前、そうしといてくれって頼まれたから渋々口を合わせてやったのに。
怒りのマグマが水面下で沸々と湧き出す中、いつもより遅い時間に教室へと向かう。
「・・・でさ、高山ちゃん、保健室のベッドで倉持のこと、ヒイヒイ言わせてたらしいぜ」
教室の戸を少し開けたところで飛び込んできた会話。
「保健室の松原ちゃん、二人が盛り上がってるから入るには入れなくてさ。しかも妊娠中だろ? で、腹の中のガキが興奮のあまり産まれそうになったらしいぜ」
何なんだ、それは? 校長といい、こいつらといい、ワケが分からん!
保健室で過ごした事がすっかり学園中に広まっていた。それも事実とは無関係な方向で。
思わず腕にぐぐっと力が入り、勢いよく戸が滑ったため大きな音を立ててしまった。
ぬかった。教室中から注目を浴びてしまう形になってしまう。
ヤケクソで室内に踏み入ると突然巻き起こる拍手の嵐。
驚いて見渡せば口々に祝福の言葉。目が点になる瞬間。
「さすが、ミクリン」
「高山ちゃんを落とせるなんてやるじゃん」
「マジ友として鼻が高いし?」
「もちろん応援するってば」
いつの間にかビューティー・カルテットに取り囲まれ、祝福モード全開。
「高山センセはインテリがタイプだったんだ」
高山ファンの女子はそう悪態をついたきり、小さくなっていった。
「私たち、先生と倉持さんを応援してるからね。どんな障害があっても乗り越えてね」
祈るポーズで瞳をウルウルとさせたお絵かき娘らが初めて話しかけてきた。
「倉持は頭脳プレイ?」
意味ありげに笑う男子ら。茶化す女子とじゃれ合い始める。ワケわかんないつーの!
何とか自分の席へと辿り着けた時、そっと近寄る関口良子。
「倉持さん、おめでとう。・・・すっごく驚いたけど、励みになったよ」
静かに微笑む表情に疑問を抱きつつも曖昧に笑う。彼女も何か抱えている?
つーか、それよりもこの状況、変だっつーの!
誰も彼もが容認モードでまるで学園公認カップルではないか。
有り得ない常識を覆す、恐るべし徳栄学園っ!
授業が始まり、新学期でも談笑、内職、勤勉という相変わらずの光景が目に入る。
不幸な経緯で徳栄に入ったけどここでの生活も悪くないかなって気がしてる。
裕福で好き勝手の個人主義の輩が多いこの学校。
けど、根底の価値観は常識では考えられないほど共有しているらしい。
ま、変わり者の点では私も十分、仲間入りしてるじゃんって気づかされた。
その変化は少しは高山のおかげかなって言えるかも。アイツのふざけた発言と行動は別として。
何だか今日は本さえ読む気が起こらず、いつの間にか楽しむように教室中を見渡していた。
不思議なことに穏やかな気持ちで口元を緩めつつ、レンズ越しでも優しく。
多分、これから空しいため息はでないだろうな、私。
・・・別のため息は増えそうな気はするけどね。
(「UNLUCKY?」 完結)
つくづくそう実感せざるを得ない状況に苦笑していた。
あの騒動の翌日、謝罪に行くからと登校早々校長室へと連れて行かれた。
私がぶっ倒れて保健室で過ごした後、責任問題を放置して帰った経緯もあるしね。
それは仕方のないことだと納得して訪ねた訳だ。
ところが二人揃って校長と顔を合わせた途端、
「いやあ、婚約おめでとう。心から祝福させていただくよ」
はっ? 校長よ、何故に喜んでいる。そしてその容認モードはなんなのさ!
予想もしない言葉に呆れていると高山はお礼の言葉を述べていた。
「聞けば約半年前から愛を育んでいたらしいじゃないか。にも拘らず倉持くんは圧倒的に学年どころか学園全体のトップをキープ。満点の成績で。いや、それどころかオーストラリアではハイレベルなクラスに選別され、立派な成績を残したそうじゃないか。しかも高山先生が影で支えたと専らの評判ですよ。いやあ、愛の力は大きいですなぁ」
ガハガハと笑い出す校長に私は呆然。そんな話、誰が作ってるんだ?
「今後益々の活躍を期待してますよ。・・・まあ、在学中に二世が誕生って事だけ気をつけてくださいよ」
呆れて何も言えない私に代わって高山が嬉しそうに受け答えした後、退出。
それから続けて職員室へ連れ込まれ、その場は一気に祝宴モード。
コイツら、絶対に頭イカレテやがるぞっ! 批判する輩はいないのかよっ。
すっかり脱力した私は反論さえ出来ずに職員室を後にした。
「それじゃあ、未来。放課後な」
浮かれ気分の高山は私の頬にキスした後、職員室へと戻っていった。
その仕草を通りがかった先輩らが見たらしく、後ろで冷やかすような口笛が聞こえた。
お~の~れ~!! 高山のヤロー、付け上がりやがって~~!!
そもそも婚約のことなんて納得して無いのに勝手に話が広がってる。
昨日は最終的に両親の手前、そうしといてくれって頼まれたから渋々口を合わせてやったのに。
怒りのマグマが水面下で沸々と湧き出す中、いつもより遅い時間に教室へと向かう。
「・・・でさ、高山ちゃん、保健室のベッドで倉持のこと、ヒイヒイ言わせてたらしいぜ」
教室の戸を少し開けたところで飛び込んできた会話。
「保健室の松原ちゃん、二人が盛り上がってるから入るには入れなくてさ。しかも妊娠中だろ? で、腹の中のガキが興奮のあまり産まれそうになったらしいぜ」
何なんだ、それは? 校長といい、こいつらといい、ワケが分からん!
保健室で過ごした事がすっかり学園中に広まっていた。それも事実とは無関係な方向で。
思わず腕にぐぐっと力が入り、勢いよく戸が滑ったため大きな音を立ててしまった。
ぬかった。教室中から注目を浴びてしまう形になってしまう。
ヤケクソで室内に踏み入ると突然巻き起こる拍手の嵐。
驚いて見渡せば口々に祝福の言葉。目が点になる瞬間。
「さすが、ミクリン」
「高山ちゃんを落とせるなんてやるじゃん」
「マジ友として鼻が高いし?」
「もちろん応援するってば」
いつの間にかビューティー・カルテットに取り囲まれ、祝福モード全開。
「高山センセはインテリがタイプだったんだ」
高山ファンの女子はそう悪態をついたきり、小さくなっていった。
「私たち、先生と倉持さんを応援してるからね。どんな障害があっても乗り越えてね」
祈るポーズで瞳をウルウルとさせたお絵かき娘らが初めて話しかけてきた。
「倉持は頭脳プレイ?」
意味ありげに笑う男子ら。茶化す女子とじゃれ合い始める。ワケわかんないつーの!
何とか自分の席へと辿り着けた時、そっと近寄る関口良子。
「倉持さん、おめでとう。・・・すっごく驚いたけど、励みになったよ」
静かに微笑む表情に疑問を抱きつつも曖昧に笑う。彼女も何か抱えている?
つーか、それよりもこの状況、変だっつーの!
誰も彼もが容認モードでまるで学園公認カップルではないか。
有り得ない常識を覆す、恐るべし徳栄学園っ!
授業が始まり、新学期でも談笑、内職、勤勉という相変わらずの光景が目に入る。
不幸な経緯で徳栄に入ったけどここでの生活も悪くないかなって気がしてる。
裕福で好き勝手の個人主義の輩が多いこの学校。
けど、根底の価値観は常識では考えられないほど共有しているらしい。
ま、変わり者の点では私も十分、仲間入りしてるじゃんって気づかされた。
その変化は少しは高山のおかげかなって言えるかも。アイツのふざけた発言と行動は別として。
何だか今日は本さえ読む気が起こらず、いつの間にか楽しむように教室中を見渡していた。
不思議なことに穏やかな気持ちで口元を緩めつつ、レンズ越しでも優しく。
多分、これから空しいため息はでないだろうな、私。
・・・別のため息は増えそうな気はするけどね。
(「UNLUCKY?」 完結)
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