前世粗チンの俺が勇者の引き立て役で殺される巨根オークに転生した話

揚惇命

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一章 町外れの教会編

波乱の幕開け

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 俺もダルグ叔父さんにオーク戦士を運ぶ協力を申し出た。

「ダルグ叔父さん!俺も手伝います。何処まで肩を貸せばよろしいでしょうか?」

「グリムバッシュか。助かる。俺とお前左右で挟んで、この勇気あるオーク戦士を兄の元へお連れしよう」

「かしこまりました」

 こうして、息も絶え絶え、今にも落命しそうなオーク戦士を父の元へと運ぶ。

「!?その者、隣洞窟村の?傷だらけではないか!一体、何があった?」

「族長様に報告、します。我が同胞たちは、タールマ帝国の騎士団の襲撃を受け、その悉くが討ち死にとなり、我が村は陥落しました。直ぐにその騎士団がここに。我が村を襲った奴らの強さは。グフッ」

「わざわざ隣洞窟村からここまで、情報を届けてくれたこと大義である。この者の亡骸を丁重に弔ってやるのだ!」

「はっ!」

 タールマ帝国?
 この言葉に聞き覚えがあるのは、何でだろう?
 俺は一体何処でこの言葉を聞いたことがあるんだ?
 つい最近だった気がするんだが。
 俺は必死に記憶を遡るが、まるでもやがかかってるかのようにその部分だけ思い出すことができない。
 でも、嫌な胸騒ぎだけは心の奥底で渦巻いている。
 戦えば、家族を失うようなとてつもない胸騒ぎが。

「直ぐに戦える者たちを集め、敵を迎え撃つ準備をせよ!隣人を蹂躙され黙ってなどいられん!必ずこの勇敢なら戦士の仇を取ってくれる!」

「ダメだ父さん!戦ってはダメだ!皆のために時には逃げる選択も」

 俺は言葉を発してしまった。
 それもオークとして最も恥ずべき言葉を。

「逃げるだと?王の器たる我が息子グリムバッシュよ。お前の口からそのような情け無い言葉を聞くとは。そのように男らしくないから雄々しい物を持っていながらお前だけ番を得ることもできなかったのだ。臆病者がいると部隊の士気を下げる。少し牢屋の隅で頭を冷やすが良い!!」

「待ってくれ父さん!何だか、分からないんだけどこれを迎え撃てばもう2度と父さんや母さん、俺の大切な家族たちにもう会えないようなそんな気がするんだ!お願いだ。ここは、逃げるべきなんだ!」

「一度ならず2度までも。全く情け無い。何故、天はこのように情け無い男をオークの王とお認めになられたのか。もう良い。お前など俺の子でも何でもない。逃げたければお前だけで逃げるが良い!」

「父さん!待ってくれ!父さん!」

 俺の心からの叫びは父ドラグに届くことは無かった。
 支度を済ませた父は、洞窟内でタールマ帝国の騎士団を迎え撃つことを宣言。
 住処を守るため多くのオークが武器を取り、待ち構えていた。
 これに対してタールマ帝国の騎士団を率いる姫騎士イレーナ・アイゼンベルグは、計画通りと笑みを浮かべる。

「どうやら、わざと撃ち漏らした雑魚オークは立派に責任を果たしてくれたようですね」

「はっ!流石は姫様の慧眼です。このようなやり方で、姑息なオークどもの根城を潰して回られるとは」

「古よりオークは人に危害をもたらすと危険視されています。洞窟に篭りやがて増え続けた有象無象のオークは、外に活路を見出し、いずれ私たちの生活圏を脅かすのは、目に見えています。そうならないために間引きは必要なことですから。今回対象となってしまった哀れなオークには、自業自得だと思ってもらいましょうか」

「では、手筈通りに?」

「えぇ。洞窟内に篭る選択をしたバカに相応しい最期を与えるとしましょうか」

「はっ!」

「工作隊は、洞窟入り口に藁束を積むのです!弓射隊は、火矢の装填を開始しなさい!藁束が積み上がり次第、藁束に火を放ちなさい!魔導士隊は、藁束に火が付いたら風を送り込み、洞窟内を煙で満たすのです!オークが飛び出してきたら歩兵隊が受け止め、騎兵隊は、歩兵隊に釘付けとなったオークの横っ腹を突きなさい!これで、ここのオークも殲滅甘陵できます」

「おぉーーーーー姫様の言葉通りに!!!!!」

 オークたちに人間の言葉は理解できない。
 ただ1人の例外、転生者であるグリムバッシュを除いて、しかしそのグリムバッシュは、仲間たちを少しでも救おうと説得に回り、この場にはいない。
 パチパチパチと嫌な音がした後、一気に洞窟内に煙が充満する、

「ゴホッ。ゴホッ。何だこの煙は!?」

「ゴホッ。ゴホッ。兄上、ご無事でしたか良かった。入り口近くで待機していた煙を深く吸い込んだ味方がバタバタと倒れています!これは、敵の新手の毒なのでは?ゴホッ。ゴホッ」

「何だと!?入り口近くに配置していたのは、精鋭中の精鋭。それが皆、この訳のわからない煙で死んだと言うのか!?馬鹿な!後方には、我らが守るべき赤子や非戦闘員がいるのだぞ。こうなってはやむを得んか。戦える者たちは、俺に続け!」

 そしてドラグの言葉で飛び出したオークたちも少なからず煙を吸い込んだことにより意識が朦朧としており、タールマ帝国の歩兵隊の前に串刺し、何とか耐えた者たちも歩兵隊に阻まれ、騎兵隊の横陣の前に腹を突き殺される。

「貴様ら!毒など使いよって!よくも、よくも我が同胞たちを許さん!許さんぞ!」

「フン。オーク風情がキャンキャンとよく吠える。おおよそ、沢山の仲間の屍でも見て、余程腹に据えかねているのだろう。まぁ、所詮貴様ら醜いオークなど姫様の前では、赤子の手をひねるようなものだ。恨むべきは己の生まれを恥じるのだな」

 そうお互い言葉は全く理解できていないが偶然にも話の辻褄は噛み合っていた。

「下がりなさい。少しは骨のありそうなオークだこと。ここは私がお相手いたしましょう」

「姫様がそうおっしゃられるのでしたらここは譲りましょう」

「貴方は、どんな声で鳴いてくれるのかしら?ふふっ」

「次から次へと。貴様らは全員この俺が先に逝った同胞たちのためその腑を喰らい尽くしてくれる!」

 こうして、この洞窟を治めるオーク族族長のドラグとタールマ帝国の騎士団を率いる姫騎士イレーナ・アイゼンベルグの一騎討ちが始まろうとしていた。
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