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第二部

コンプリート

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「ここはいつも騒がしいね」

オクトが三鬼とこんを連れて、

部屋の前で足を止めた。

「ちびちゃんたち連れてどこ行くんですか? 」

向井が聞くと、

「僕ブラックプリンスと同じレンジャーカットにするの」

「こんはおリボンしてもらう」

三鬼とこんが嬉しそうに説明してくれた。

「ちびっ子のくせに、

お洒落に目覚めてうるさいのよ。

俺にオーダーカットをさせるなんて」

オクトは笑うと向井が持っている袋を見た。

その脇からチビ達ものぞく。

「あ~ハンバーガーだ。僕食べたい」

「こんもお腹空いたぁ~」

チビ達のはしゃぐ声に、

「これもらっていいの? 」

後から来たエナトも袋を覗いた。

「どうぞ。おまけもあるので、

一つ選んでください」

「僕悩んじゃう」

三鬼とこんが真剣に悩んでいる姿に、

オクトとエナトが笑いながら、

「俺達のおまけはチビ達にあげていいよ」

歓喜する三鬼たちは二つずつ選び、

嬉しそうにバーガーをもらった。

「じゃあ、お昼食べたら髪の毛をカットしよう」

オクトはチビたちを連れて食堂に歩いて行った。

「これって冥王たちがハマってる漫画だよね」

「エナトさんは読んだことないですか? 」

「まだ読んでないな。

いま、河原さんの小説が面白いんで、

ちょっとハマって読んでるんですよ」

「あの、未完のやつ? 」

向井が聞くと、

「そう。面白いんだよね。

五巻まで読んだんだけど、

続きものだから、

早く書いてくれないかなと思ってさ」

「なんだか、悩んでるみたいですよ。

冥王のイメージが違うとか」

「ああ、確かに。この本の冥王は、

無慈悲で極悪非道? 

実際の冥王を知っちゃうと、

イメージは違うだろね」

「だから、冥王は文句たらたらです」

「なに。冥王からクレームが入ったの? 

あはははは」

エナトが声をたてて笑った。

「現実の冥王はこの景品の事で、

牧野君とくれる人を探して歩いてますよ」

「冥王もこれ欲しいんだ」

「みたいですよ。ほら、

安達君はコンプリートしたんで」

向井は嬉しそうに、

景品見ながらバーガーを食べている安達を、

視線で教えた。

「安達君は明るくなったよね。

以前は表情がなかったから、分かりづらかったけど」

「初めて甘えられる場所を見つけて、

ちょっと安心できてるんじゃないかな。

小さな子供みたいだ」

アートンもポテトを食べながら言った。

「そうですね。

多分それまでは、

体にかなりの負担がかかって、

自分でもうまく処理が、

出来ていなかったみたいですから。

今のリングは、

過不及無く負荷を軽減してくれるので、

気持ちも楽なんでしょうね。

このまま落ち着いてくれるといいんですけど」

三人は早紀と一緒に、

楽しそうにハンバーガーを頬張る安達を、

笑顔で見ていた。
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