107 / 351
第三部
赤姫弁当
しおりを挟む
「あっ、赤姫さん。弁当どうでした? 」
そういったあと、向井達の姿に気づき、
「向井さん達も来てたんだ」
と笑った。
「ああ、うまかったぞ。
特に魚の煮つけは味がいい」
赤姫は満足そうに頷いた。
「あれは玲子ばぁの得意料理なんだよ」
「そうか。玲子とやらにも礼を言っておけ」
楽しそうに話す二人を見て、
「あんた達いつから、
そんなに仲良くなったの? 」
トリアがあきれた様子で腕を組んだ。
「赤姫さんはいい神様ですよ。
この辺て、ちょこちょこ負のオーラが浮いてるから、
それが気になるって言ってたら、
赤姫さんが浄化してくれて、
おかげで空気も綺麗になって過ごしやすい」
「へえ~ボランティアもするんだ」
からかうようなトリアに、
赤姫は顔を赤くして横を向いた。
「べ、別に、私の領土を綺麗にしているだけじゃ」
「でも、気を付けな。赤姫に生気取られて、
倒れるかもしれないから」
「えっ? 神様って人間食うの? 」
黒谷が驚きの顔で赤姫を見た。
「食べぬとは言わんが、私は食わぬ。
食わずとも、人間どもは勝手に置いていくがな」
眉間にしわを寄せ、
口をへの字に曲げる黒谷を見て、
赤姫が笑った。
「そんな顔をするな。
お前は私が生気を取ったところで、
死にはせぬ」
「なぜですか? 」
向井が聞くと、
「こやつの魂はまっさらだからな。
不足した生気も、
自家発電のように満タンにしておる。
不思議なやつよの~
千年以上生きてきて、初めてじゃ」
三人は黒谷をじっと見た。
「な、何? 俺って普通じゃないの? 」
「普通じゃないと思いますよ。
神様と話せることからしても」
向井が頷きながら笑った。
「そうだ。黒谷。ちょっとこい」
赤姫が手招きした。
「面白いものを見せてやろう」
赤姫はそういって、
付近を浮遊している小さな黒い塊を掴むと、
それを黒谷に投げつけた。
すると、塊は黒谷の前で弾けて塵になった。
「なっ? 面白いであろう」
赤姫が笑った。
「これは……小さな悪霊は近づけない?
ってことですか? 」
向井がいい、トリアは拍子抜けしたように、
ケラケラ笑いだした。
「冥王が欲しがるわけですね」
向井も腰に手を当て、苦笑いした。
「何? 俺って閻魔様にも命を狙われてるの? 」
驚く黒谷に、三人は声を出して笑った。
「私はこやつが気に入った。
だからここの穢れは浄化してやろう。
冥王にこの前の邪魔は水に流すといっておけ。
そうだな。新しい反物が欲しいともな」
赤姫がトリアの顔を見た。
「その着物も、
冥王に作らせたものだよね。
もう、いらないでしょう」
「何を言うか。着物はいくつあってもよい。
そのかわり一つ、いいことを教えてやろう」
「いいことですか? 」
向井が聞くと、
「そなたは健次郎には近づかぬ方が良いぞ。
記憶がないならなおさらな」
赤姫はそれだけ言うと、
黒谷に笑いかけ姿を消した。
その言葉に考え込む向井を、
トリアは何も言わずに見ていた。
そういったあと、向井達の姿に気づき、
「向井さん達も来てたんだ」
と笑った。
「ああ、うまかったぞ。
特に魚の煮つけは味がいい」
赤姫は満足そうに頷いた。
「あれは玲子ばぁの得意料理なんだよ」
「そうか。玲子とやらにも礼を言っておけ」
楽しそうに話す二人を見て、
「あんた達いつから、
そんなに仲良くなったの? 」
トリアがあきれた様子で腕を組んだ。
「赤姫さんはいい神様ですよ。
この辺て、ちょこちょこ負のオーラが浮いてるから、
それが気になるって言ってたら、
赤姫さんが浄化してくれて、
おかげで空気も綺麗になって過ごしやすい」
「へえ~ボランティアもするんだ」
からかうようなトリアに、
赤姫は顔を赤くして横を向いた。
「べ、別に、私の領土を綺麗にしているだけじゃ」
「でも、気を付けな。赤姫に生気取られて、
倒れるかもしれないから」
「えっ? 神様って人間食うの? 」
黒谷が驚きの顔で赤姫を見た。
「食べぬとは言わんが、私は食わぬ。
食わずとも、人間どもは勝手に置いていくがな」
眉間にしわを寄せ、
口をへの字に曲げる黒谷を見て、
赤姫が笑った。
「そんな顔をするな。
お前は私が生気を取ったところで、
死にはせぬ」
「なぜですか? 」
向井が聞くと、
「こやつの魂はまっさらだからな。
不足した生気も、
自家発電のように満タンにしておる。
不思議なやつよの~
千年以上生きてきて、初めてじゃ」
三人は黒谷をじっと見た。
「な、何? 俺って普通じゃないの? 」
「普通じゃないと思いますよ。
神様と話せることからしても」
向井が頷きながら笑った。
「そうだ。黒谷。ちょっとこい」
赤姫が手招きした。
「面白いものを見せてやろう」
赤姫はそういって、
付近を浮遊している小さな黒い塊を掴むと、
それを黒谷に投げつけた。
すると、塊は黒谷の前で弾けて塵になった。
「なっ? 面白いであろう」
赤姫が笑った。
「これは……小さな悪霊は近づけない?
ってことですか? 」
向井がいい、トリアは拍子抜けしたように、
ケラケラ笑いだした。
「冥王が欲しがるわけですね」
向井も腰に手を当て、苦笑いした。
「何? 俺って閻魔様にも命を狙われてるの? 」
驚く黒谷に、三人は声を出して笑った。
「私はこやつが気に入った。
だからここの穢れは浄化してやろう。
冥王にこの前の邪魔は水に流すといっておけ。
そうだな。新しい反物が欲しいともな」
赤姫がトリアの顔を見た。
「その着物も、
冥王に作らせたものだよね。
もう、いらないでしょう」
「何を言うか。着物はいくつあってもよい。
そのかわり一つ、いいことを教えてやろう」
「いいことですか? 」
向井が聞くと、
「そなたは健次郎には近づかぬ方が良いぞ。
記憶がないならなおさらな」
赤姫はそれだけ言うと、
黒谷に笑いかけ姿を消した。
その言葉に考え込む向井を、
トリアは何も言わずに見ていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる