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第四部

冥界もイベント

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「その帯どめの所にある飾り物は………妖怪ですか? 」

「あぁ、これか。先日イベントやらがあったとかで、

黒谷がお土産にくれたのよ。

これは人気があるらしいの~

付けていると妖怪たちが声をかけてくる」

赤姫はキャラクターの人形を触りながら笑った。

「冥王も大好きで、

冥界ではみんなこれの話で盛り上がってますよ」

「ほお~そんなに話題なのか」

「今、トリアがこの漫画家の仕事を手伝ってるんだよね」

「お前たちはそんな仕事もしておるのか」

赤姫は驚き入る表情で頷いた。

そして思い出したのか、話し出した。

「そうじゃ。黒谷がの、この漫画のコラボとかで、

コミックフェス? とやらに弁当を出すとか言っておった」

「へっ? 」

二人は素っ頓狂な声を出すと、お互いの顔を見た。

「なんじゃ、聞いておらなんのか」

「いや、初耳だな………トリアも何も言ってなかったし」

アートンも首を傾げた。

「ただ、忘れておるだけじゃないのか? 」

「そう…なのか? 」

先程の黒谷君の様子………

ふと嫌な予感を持って、

向井はアートンの顔を見た。


――――――――


赤姫と別れた後、

「まだお昼まで時間があるから、

混雑する前になんか買って帰りますか」

とアートンの言葉で、

二人は人気のサンドイッチショップに寄った。

「ここね。この前岸本君が、

お土産で持ってきてくれたんだけど、

数が足りなくて、

安達君食べそこねて、しょげてたんだよね。

向井さんも食べてないでしょ」

「知らないなぁ~」

ショップの前に立って、お店の看板を見上げた。

「凄い人気で、

この時間なら空いてるかなと思って」

店の中で何人かお客が並んでいるが、

混雑しているというほどでもない。

「ミートと卵の量が半端なくて、

ボリュームもあって美味しいんですよ」

アートンは笑顔になると店に入った。

これはSNS向きのサンドイッチだな。

向井も笑うとアートンと何種類か選び、

多めに購入して帰った。

冥界は妖怪が増えて、

いつにもまして賑やかになっていた。

「なんか楽しそうな声が聞こえるね~」

アートンは笑いながら、

声のする休憩室に入っていった。

「サンドイッチ買ってきたよ~

安達君が食べたがっていたサンドイッチだよ」

キッチンカウンターに袋を置くと声をかけた。

「ほんと? 」

ちびっ子たちと、

スポーツゲームをしていた安達が振り返った。

「サンドイッチ? 」

チビ達も走ってくる。

寝ていた牧野もむくっと起き上がると、

「俺も食べるぞ~」

カウンターに走ってきた。

「チビども。まずはこの俺が選んでからだ」

「なんで~」

「決まってるだろう。俺の方が年上だから」

そんな事を言っている横から、

安達が袋の中を覗いて一つ持って行った。

「わらわも~」

「こんも~」

「僕も~」

キッチンは凄い状態で争奪戦になった。

「あ~あ~」

アートンがあきれ果てた顔で見てると、

「牧野君、一つだからね」

と声をかけた。

「じゃあ、僕達も食べよう。

向井さんは何飲む? 」

「ミネラルウォーター」

アートンは冷蔵庫から、

炭酸とミネラルウォーターを取り出した。

ここにきて人数も増えたので、

冷蔵庫の中のドリンクも種類が多くなった。
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