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第四部
冥王の名前
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冥界に戻ると、
休憩室でお弁当が来るのを皆が待っていた。
「やっと帰ってきた~」
牧野はコントローラーを置くと、
振り返った。
「私の弁当~♪ 私の弁当~♪ 」
冥王も楽しそうにスキップしながらやってきた。
「パッケージ入りは一つだけなので、
これは冥王が食べていいですよ」
向井はそういうと手渡した。
「おお~カッコいいじゃん。
でも、美化しすぎ~」
牧野は横からパッケージのイラストを見て笑った。
「失礼な。私はイイ男なんですよ」
そういうとお弁当を持ってソファーに座った。
「みんなの分はこちらの容器入りになりますけど、
中身は同じですから」
向井が言い終わらないうちに、
どんどん手が伸びてお弁当が無くなっていった。
休憩室で食べるものは、
各々冷蔵庫からドリンクを取り出し、
仕事が残っているものは弁当を手に、
部屋を出て行った。
チビ達はもう寝てるから………
残りは工房にいる虎獅狼達と妖鬼さん達大工の分か。
向井はお弁当をキッチンの横に移動させると、
自分のお茶を冷蔵庫から出した。
その時、
「なんでゾンビ? 」
冥王の悲鳴が上がった。
どうやらお弁当の蓋を開けて、
驚いたようだ。
その場にいたものもふたを開けて、
中を見て笑いだした。
「確か………私はゾンビと戦うヒーローだったはずですよ」
安達は冥王の反応に嬉しいのか、
くすくす笑っている。
「それね。安達君のアイデアなんですよ」
向井が言うと楽しそうな安達を冥王が見た。
「あのね。ゾンビと戦っている時に、
冥王は噛まれちゃうの。
それでね。闘うゾンビに変身したんだよ」
「ゾンビ………私がゾンビ………」
悲しそうな冥王に、
「でも、可愛いでしょう。
ピンクと紫の顔で血も流れてるの」
「これが可愛いんですか? 」
冥王が眉をへの字にする。
「俺は面白いと思うぞ。
それに前よりおいしそうだし」
牧野はおかしそうに笑うと、
キャラ弁のようなお弁当に箸を入れた。
「冥王の顔が崩れてく~」
そういいながら顔を食べると、
「おっ、上手い! さすが黒谷。
冥王も食べてみなよ」
牧野が笑顔で冥王を見た。
「本当だ~美味しい♪ 」
牧野の感想に各々が食べ始めた。
「………可哀想なゾンビになってしまった私を、
成仏させてあげないと可哀想すぎます………」
冥王もそういいながら、箸で崩すと口に入れた。
「!! 」
「美味しいでしょ」
安達もニコニコ笑いながら、
自分も食べ始めた。
「美味しいですね~ゾンビの私」
冥王もパクパク食べ始めた。
「ここまで決めるのに、
黒谷君と安達君は一生懸命だったからね」
アートンも笑うと、
「安達君は色紙をちゃんと持ってきた? 」
お弁当を食べながら振り返った。
「あっ、言っちゃだめだよ」
安達の慌てる姿にアートンが謝った。
「ごめんごめん」
「色紙ってなんだよ」
牧野が聞くので、
安達は立ち上がってキッチンに行くと、
色紙を持ってきて見せた。
「あっ!! 先生の直筆サイン?
どうしたの? これ」
「先生にもらった」
「なんで? どうして? 」
牧野が向井とアートンを交互に見る。
「えっ? 安達君だけ? 私も欲しいです」
冥王も羨ましそうに色紙を見つめた。
「黒谷君を訪ねて先生が来られた時に、
偶然居合わせて、
安達君がファンだって話したら、
サインをくれたんだよ」
アートンが説明した。
「ずり~俺のも貰って来てよ」
牧野が不貞腐れたように文句を垂れる。
「先生とお話もしたんだよ」
「へえ~凄いじゃん」
早紀が笑顔で安達を見た。
「トリア~先生に俺のサインも貰って来てよ。
アシスタントしてんだからいいでしょ~」
「私も欲しいです」
「聞いてみてあげるけどさ~
牧野君はいいけど、冥王は何て書いてもらうの。
冥王へっていう訳にはいかないでしょう? 」
「私は冥王・ハーディー・龍之介という、
正式名があるんです」
「えええええ~~~~~っ!! 」
その場にいたものが全員、声をあげて驚いた。
「立派な名前をお持ちで」
向井も驚愕して笑った。
「そうですよ。
龍や竜は王の名にふさわしいんです。
だから、龍之介様へって入れて欲しいです」
「………分かった。聞いてみる」
トリアは軽く頭を掻くと、
ソーセージで作られた剣を口に放り込んだ。
休憩室でお弁当が来るのを皆が待っていた。
「やっと帰ってきた~」
牧野はコントローラーを置くと、
振り返った。
「私の弁当~♪ 私の弁当~♪ 」
冥王も楽しそうにスキップしながらやってきた。
「パッケージ入りは一つだけなので、
これは冥王が食べていいですよ」
向井はそういうと手渡した。
「おお~カッコいいじゃん。
でも、美化しすぎ~」
牧野は横からパッケージのイラストを見て笑った。
「失礼な。私はイイ男なんですよ」
そういうとお弁当を持ってソファーに座った。
「みんなの分はこちらの容器入りになりますけど、
中身は同じですから」
向井が言い終わらないうちに、
どんどん手が伸びてお弁当が無くなっていった。
休憩室で食べるものは、
各々冷蔵庫からドリンクを取り出し、
仕事が残っているものは弁当を手に、
部屋を出て行った。
チビ達はもう寝てるから………
残りは工房にいる虎獅狼達と妖鬼さん達大工の分か。
向井はお弁当をキッチンの横に移動させると、
自分のお茶を冷蔵庫から出した。
その時、
「なんでゾンビ? 」
冥王の悲鳴が上がった。
どうやらお弁当の蓋を開けて、
驚いたようだ。
その場にいたものもふたを開けて、
中を見て笑いだした。
「確か………私はゾンビと戦うヒーローだったはずですよ」
安達は冥王の反応に嬉しいのか、
くすくす笑っている。
「それね。安達君のアイデアなんですよ」
向井が言うと楽しそうな安達を冥王が見た。
「あのね。ゾンビと戦っている時に、
冥王は噛まれちゃうの。
それでね。闘うゾンビに変身したんだよ」
「ゾンビ………私がゾンビ………」
悲しそうな冥王に、
「でも、可愛いでしょう。
ピンクと紫の顔で血も流れてるの」
「これが可愛いんですか? 」
冥王が眉をへの字にする。
「俺は面白いと思うぞ。
それに前よりおいしそうだし」
牧野はおかしそうに笑うと、
キャラ弁のようなお弁当に箸を入れた。
「冥王の顔が崩れてく~」
そういいながら顔を食べると、
「おっ、上手い! さすが黒谷。
冥王も食べてみなよ」
牧野が笑顔で冥王を見た。
「本当だ~美味しい♪ 」
牧野の感想に各々が食べ始めた。
「………可哀想なゾンビになってしまった私を、
成仏させてあげないと可哀想すぎます………」
冥王もそういいながら、箸で崩すと口に入れた。
「!! 」
「美味しいでしょ」
安達もニコニコ笑いながら、
自分も食べ始めた。
「美味しいですね~ゾンビの私」
冥王もパクパク食べ始めた。
「ここまで決めるのに、
黒谷君と安達君は一生懸命だったからね」
アートンも笑うと、
「安達君は色紙をちゃんと持ってきた? 」
お弁当を食べながら振り返った。
「あっ、言っちゃだめだよ」
安達の慌てる姿にアートンが謝った。
「ごめんごめん」
「色紙ってなんだよ」
牧野が聞くので、
安達は立ち上がってキッチンに行くと、
色紙を持ってきて見せた。
「あっ!! 先生の直筆サイン?
どうしたの? これ」
「先生にもらった」
「なんで? どうして? 」
牧野が向井とアートンを交互に見る。
「えっ? 安達君だけ? 私も欲しいです」
冥王も羨ましそうに色紙を見つめた。
「黒谷君を訪ねて先生が来られた時に、
偶然居合わせて、
安達君がファンだって話したら、
サインをくれたんだよ」
アートンが説明した。
「ずり~俺のも貰って来てよ」
牧野が不貞腐れたように文句を垂れる。
「先生とお話もしたんだよ」
「へえ~凄いじゃん」
早紀が笑顔で安達を見た。
「トリア~先生に俺のサインも貰って来てよ。
アシスタントしてんだからいいでしょ~」
「私も欲しいです」
「聞いてみてあげるけどさ~
牧野君はいいけど、冥王は何て書いてもらうの。
冥王へっていう訳にはいかないでしょう? 」
「私は冥王・ハーディー・龍之介という、
正式名があるんです」
「えええええ~~~~~っ!! 」
その場にいたものが全員、声をあげて驚いた。
「立派な名前をお持ちで」
向井も驚愕して笑った。
「そうですよ。
龍や竜は王の名にふさわしいんです。
だから、龍之介様へって入れて欲しいです」
「………分かった。聞いてみる」
トリアは軽く頭を掻くと、
ソーセージで作られた剣を口に放り込んだ。
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