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第五部

細工飴

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「可愛いね」

カランが言うと、

「誰じゃ? 」

呉葉が向井を見た。

「この人たちもここでお仕事してるんですよ。

ご挨拶はできますか」

そういわれて呉葉がぺこりと頭を下げると、

向井にベタ~ッと張り付いた。

「こんと三鬼と一緒じゃないの? 」

「こん達はいま妖鬼と一緒にいる」

そういったところで、牧野のカツ丼が運ばれてきた。

「お昼はもう食べましたか? 」

「食べた………でも、カツ食べたい」

牧野が食べ始めるのを見て言った。

向井は笑うと、

「一切れ食べる? 」

呉葉がうんうんと頷き、箸でカツをつまむと口に入れた。

「美味じゃの~」

「だけど、こんと三鬼には内緒だよ~」

そういって向井は口に人差し指を当てると、

呉葉と笑った。

向井が呉葉を抱っこしながら、

残りの食事をする姿を見て、

「慣れてますね」

サランダが感心するように言った。

「向井はガキに好かれんのよ」

そういってカツ丼を食べる牧野を、

ディッセとシェデムがじ~っと見る。

「何だよ」

「そう、ガキに好かれるのよ」

シェデムがいい、

ディッセとケラケラ笑った。


――――――――


その後大きなことも起こらずに、

発表会当日になった。

支部からも死神達が何人かやってきて、

屋台や発表会を楽しんでみていた。

「今回は倉田さんと岸本君が支部にいるから、

遊んでこいって言われたんで来た」

カランがいい、

サランダと賑やかな舞台を見ていた。

「うちも来るのに、じゃんけんで決めたんですよ」

サランダが笑った。

「そうだったんですか。

この後もクリスマスパーティーがあるから、

じゃんけんで負けたチームで、

遊びに来られるといいですよ」

「そうだね」

向井の話にカランも頷いた。

「今回は……」

向井が部屋を見回すと、

「あっ、いました。冥王がりんご飴とわた飴を、

作ってますよ。ほら」

と屋台を指さした。

「あら、ほんと」

サランダが笑う。

「呉葉のリクエストなので、

結構前から練習してたんです」

向井が説明してると、安達がやってきた。

「ちょうどよかった。安達君にも紹介します。

こちらは西と北の支部長で、

サランダさんとカランさんです」

「こんにちは」

安達がちょこんと頭を下げる。

「君が安達君か。この前、新作のデザート頂いたよ。

とても美味しかったです」

「有難うございます」

安達が嬉しそうに向井を見た。

「ん? 安達君の持っているそれは何? 」

サランダが不思議そうに棒を見た。

「これは飴だよ。お願いすると作ってくれるの」

「そうなんだ。案内してくれる? 」

「いいよ」

安達は楽しそうにカランと屋台に歩いて行った。

その後ろを向井達もついていく。

「いらっしゃい。あっ、向井さんも来てくれたんだ」

そういうと男性が声をかけてきた。
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