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侯爵の消息
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ジュリエッタとファビオはテーブル一面に書面を広げて夫人に説明した。
(どう? これならお母さまも納得するわよね?)
しかし、次の夫人の言葉はジュリエットには想像もしていないものだった。
「農家の暮らしが豊かになるから何なのです?」
ジュリエッタは耳を疑ってしまった。
「何なの、って………?」
唖然とするジュリエッタに夫人は冷たく言い放つ。
「ええ、それが何だというのです。農家の腹が肉で満たされれば、今度は絹を着たがるでしょう。立派な家も欲しがるでしょう。そのうえ、使用人まで欲しがるでしょう。そのうち、貴族のように暮らしたいと思い始めます。自分たちにはその権利があるとまで思うようになるでしょう。農家には豊かさを覚えさせては駄目なのです。彼らには何も考えさせてはいけないの」
ジュリエッタは目を見開いて夫人を見た。
(お母さま……?!)
何を言っているのかわからない。
夫人は続ける。
「貴族は領民から崇められても、妬まれてはなりません。彼らとは次元の違う存在でなければなりません。貴族の生活を夢見させるような隙を与えてはならないのです。農家は適度に飢えさせて、空腹以外を考えさせてはいけないのです。それが領主としての心得です」
「……ひぅっ……」
ジュリエッタから変な声が漏れた。
ジュリエッタが何も考えずに享受してきた贅沢はこんな恐ろしい考えの上に成り立っていたのだ。そのことに改めて愕然とする。
何も考えていなかった頃のジュリエッタならば、母の教えも当然と受け入れたかもしれなかった。それに、ジュリエッタ自身、彼らと別世界に生きているつもりで過ごしてきた。しかし、今は違う。
ジュリエッタは何も言えずに黙っていたが、やがて、背筋を伸ばした。
「お母さま、私も農家の人も、同じ人間です。領民も私も同じです」
「あなたも農民も同じとおっしゃるの?」
夫人はジュリエッタをきっと睨みつけた。ジュリエッタも見返す。
「生まれ育ちが違うだけだわ」
「それこそが大きな違いです。そして、そこに気づかれてはいけないのです。領民には、決して気づきを与えてはいけないのです」
ジュリエッタは、眩暈を覚える。
そういえば、以前、夫人がハンナも騎士も人数に数えていなかったことを思い出した。
『レディが侍女や騎士を連れ歩くのは当然のこと。彼らを人数に入れるわけないでしょう』
(お母さまにとっては貴族以外、人ではないの?)
ジュリエッタは慄きながら母親を見つめ返した。
「領民も豊かになり、教育を受ければ、きっと貴族と変わりないわ。貴族よりも素晴らしい考えを持つ人だって出てくるはずよ。それを積み重ねれば、みんなの暮らしはもっともっと良くなるわ。そのうち、国を指導する人だって出てくるかもしれない。素晴らしいことだわ」
夫人はきっと眉を吊り上げた。
「まあ! 国を指導するだなんて。なんて恐ろしいことを……。それは王家の否定です。あなたって子は……、本当に恐ろしい…………!」
夫人は言い放つと、ふらふらとソファの背に倒れこんだ。
(王家の否定?)
そのときのジュリエッタは母親の大袈裟な言い草に呆れ果てるだけだった。
(みんなの生活が良くなればいいって思うのは、そんなに呆れることなの……)
ジュリエッタが口を開いたところで、公爵にマルコが帰宅してきた。
公爵とマルコは、空気も読まずに客間に入ってきた。夫人はソファの背に持たれていたが、二人の帰宅にすぐに姿勢を正した。
「お-、ジュリエッタ来てたのか。わしらは明後日、また船出するのじゃー!」
「ジュリエッタもどうです? そうだ、侯爵閣下もお誘いして、皆で海に繰り出しましょう」
マルコものんきに言う。
(お父さまにお兄さまは、お母さまとは考えが違う。そうでしょう?)
ジュリエッタは公爵らに言った。
「お父さま、お兄さま、レオナルダ領にもヌワカロール農法を取り入れるようにお母さまに言ってくださいませ。必ずや領地に大きな恵みをもたらしますわ」
公爵にマルコは、そこでやっとジュリエッタと夫人との間に冷たい空気が流れているのを気づいたらしく、そわそわし始めた。
公爵は口ごもりながら言う。
「わ、わしは家のことは夫人に全て任せている故……」
「私はまだ領地のことは勉強中の身故……」
価値観の違う夫婦がうまくいっている秘訣は、一方が一方に白旗を上げているからだった。公爵は完全に夫人の尻に敷かれているのだ。
そして、マルコは両親に従っている。
ジュリエッタは項垂れて公爵家を後にした。
(お母さまがあんな考えの人だったなんて)
帰りの馬車の中、ジュリエッタはファビオに言った。
「伯爵さま、母が情けないですわ。領民を飢えたままでいさせるなんて。もしかしたら、あれが王家仕込みの教えなのかしら」
ファビオは、ジュリエッタよりも世慣れているせいか、今回の対応もある程度、想定していたようだった。
「母御殿のお考えは、貴族には珍しくはありません。領民の扱いは難しい問題ですから。一歩でも間違えれば、一揆も起こります」
「でも、伯爵さまは領民を大切になさっているわ。教育も受けさせているわ。それで暴動が起きると思う?」
「ヌワカロール家も代々、領民の支配には苦労してきました。暴動も起きました。しかし、帝王学など程遠いひなびた地域に生きる我々には、農業で解決するしかなかった。それでここまでやってきましたが、ヌワカロールの方法が、そう簡単に貴族に受け入れられるとは思っていません。夫人にすぐに受け入れてもらえたことのほうが奇跡です」
ジュリエッタはファビオに慰められる始末だった。
「私の友だちはすぐに興味を持ってくれたわ。その方を今度、伯爵さまに紹介させてくださいませ。その方は『世の中、金がすべて』が口癖なの」
ジュリエッタがそう言って無理に笑えば、ファビオも合わせて笑った。
その夜、ジュリエッタに厄難が訪れているとは、そのときのジュリエッタは知る由もなかった。
****
(侯爵さまが帰ってこられない)
深夜になっても侯爵は帰宅しなかった。
その日、呼び出しを受けて侯爵は王宮へ向かったはずだった。王宮へ何度も遣いを出そうと思ったが、妻に心配される大の男というのも侯爵に恥をかかせてしまうだろうと見送った。
(とても不安だわ)
ジュリエッタは眠れぬ夜を過ごし、朝がくれば、王宮に向かった。表向きは庭園の手入れ見舞い、つまりこれから薔薇の盛りを迎える庭園の支援を申し出るために訪問しているふりを装っている。そこでついでに王宮に出仕している夫に差し入れを持ってきた体にするつもりだった。
しかし、ジュリエッタが王宮についても、王宮側からは侯爵に関して何の言及もない。侯爵がいれば何らかの反応がありそうなのにそれもなかった。
しびれを切らしてジュリエッタから切り出した。
「ところで、私の夫はどこにいますの? 昨日、王宮に参ったまま帰ってきませんの。いつまでも仕事をしてしまう人なので、心配だわ。私、差し入れを持ってきましたの」
しかし、ジュリエッタの応対をする官吏は、こう言うだけだった。
「侯爵閣下は昨日、王宮を出たはずですが」
ジュリエッタは内心の動揺を押し隠して、優雅に言った。
「そうでしたの。では、無断外泊でもしているのかもしれないわね。困った人ね、帰ったら嫌味を言ってやりますわ。差し入れはあなたたちで召し上がってくださいませ。では、私は、お祖母さまの庭園に参らせていただきますわ。薔薇の世話に何が必要か知りたいの」
ジュリエッタはハンナと騎士らを引き連れて、ずかずかと王宮の奥へ入っていった。衛兵を横目に堂々と奥へと入り、馬留に向かう。そこには見知った馬が数頭休んでいた。侯爵に側近らの馬だ。
(侯爵さまは今も王宮にいる……!)
「陛下はおられて? 今すぐ会いたいと伝えて頂戴」
付いてきた官吏に言えば、官吏は首を横に振る。
「陛下はあいにくお忍びで出かけておられます」
「では、王妃陛下は?」
「王妃陛下もともに出られておられます」
「では、王太子殿下は」
「お姿が見られません」
「王女殿下は?」
「まだ寝室から出られておりません」
「宰相は?」
「まだ出仕しておりません」
埒が明かない官吏の対応に、ジュリエッタの不安は一気に高まっていく。
(どう? これならお母さまも納得するわよね?)
しかし、次の夫人の言葉はジュリエットには想像もしていないものだった。
「農家の暮らしが豊かになるから何なのです?」
ジュリエッタは耳を疑ってしまった。
「何なの、って………?」
唖然とするジュリエッタに夫人は冷たく言い放つ。
「ええ、それが何だというのです。農家の腹が肉で満たされれば、今度は絹を着たがるでしょう。立派な家も欲しがるでしょう。そのうえ、使用人まで欲しがるでしょう。そのうち、貴族のように暮らしたいと思い始めます。自分たちにはその権利があるとまで思うようになるでしょう。農家には豊かさを覚えさせては駄目なのです。彼らには何も考えさせてはいけないの」
ジュリエッタは目を見開いて夫人を見た。
(お母さま……?!)
何を言っているのかわからない。
夫人は続ける。
「貴族は領民から崇められても、妬まれてはなりません。彼らとは次元の違う存在でなければなりません。貴族の生活を夢見させるような隙を与えてはならないのです。農家は適度に飢えさせて、空腹以外を考えさせてはいけないのです。それが領主としての心得です」
「……ひぅっ……」
ジュリエッタから変な声が漏れた。
ジュリエッタが何も考えずに享受してきた贅沢はこんな恐ろしい考えの上に成り立っていたのだ。そのことに改めて愕然とする。
何も考えていなかった頃のジュリエッタならば、母の教えも当然と受け入れたかもしれなかった。それに、ジュリエッタ自身、彼らと別世界に生きているつもりで過ごしてきた。しかし、今は違う。
ジュリエッタは何も言えずに黙っていたが、やがて、背筋を伸ばした。
「お母さま、私も農家の人も、同じ人間です。領民も私も同じです」
「あなたも農民も同じとおっしゃるの?」
夫人はジュリエッタをきっと睨みつけた。ジュリエッタも見返す。
「生まれ育ちが違うだけだわ」
「それこそが大きな違いです。そして、そこに気づかれてはいけないのです。領民には、決して気づきを与えてはいけないのです」
ジュリエッタは、眩暈を覚える。
そういえば、以前、夫人がハンナも騎士も人数に数えていなかったことを思い出した。
『レディが侍女や騎士を連れ歩くのは当然のこと。彼らを人数に入れるわけないでしょう』
(お母さまにとっては貴族以外、人ではないの?)
ジュリエッタは慄きながら母親を見つめ返した。
「領民も豊かになり、教育を受ければ、きっと貴族と変わりないわ。貴族よりも素晴らしい考えを持つ人だって出てくるはずよ。それを積み重ねれば、みんなの暮らしはもっともっと良くなるわ。そのうち、国を指導する人だって出てくるかもしれない。素晴らしいことだわ」
夫人はきっと眉を吊り上げた。
「まあ! 国を指導するだなんて。なんて恐ろしいことを……。それは王家の否定です。あなたって子は……、本当に恐ろしい…………!」
夫人は言い放つと、ふらふらとソファの背に倒れこんだ。
(王家の否定?)
そのときのジュリエッタは母親の大袈裟な言い草に呆れ果てるだけだった。
(みんなの生活が良くなればいいって思うのは、そんなに呆れることなの……)
ジュリエッタが口を開いたところで、公爵にマルコが帰宅してきた。
公爵とマルコは、空気も読まずに客間に入ってきた。夫人はソファの背に持たれていたが、二人の帰宅にすぐに姿勢を正した。
「お-、ジュリエッタ来てたのか。わしらは明後日、また船出するのじゃー!」
「ジュリエッタもどうです? そうだ、侯爵閣下もお誘いして、皆で海に繰り出しましょう」
マルコものんきに言う。
(お父さまにお兄さまは、お母さまとは考えが違う。そうでしょう?)
ジュリエッタは公爵らに言った。
「お父さま、お兄さま、レオナルダ領にもヌワカロール農法を取り入れるようにお母さまに言ってくださいませ。必ずや領地に大きな恵みをもたらしますわ」
公爵にマルコは、そこでやっとジュリエッタと夫人との間に冷たい空気が流れているのを気づいたらしく、そわそわし始めた。
公爵は口ごもりながら言う。
「わ、わしは家のことは夫人に全て任せている故……」
「私はまだ領地のことは勉強中の身故……」
価値観の違う夫婦がうまくいっている秘訣は、一方が一方に白旗を上げているからだった。公爵は完全に夫人の尻に敷かれているのだ。
そして、マルコは両親に従っている。
ジュリエッタは項垂れて公爵家を後にした。
(お母さまがあんな考えの人だったなんて)
帰りの馬車の中、ジュリエッタはファビオに言った。
「伯爵さま、母が情けないですわ。領民を飢えたままでいさせるなんて。もしかしたら、あれが王家仕込みの教えなのかしら」
ファビオは、ジュリエッタよりも世慣れているせいか、今回の対応もある程度、想定していたようだった。
「母御殿のお考えは、貴族には珍しくはありません。領民の扱いは難しい問題ですから。一歩でも間違えれば、一揆も起こります」
「でも、伯爵さまは領民を大切になさっているわ。教育も受けさせているわ。それで暴動が起きると思う?」
「ヌワカロール家も代々、領民の支配には苦労してきました。暴動も起きました。しかし、帝王学など程遠いひなびた地域に生きる我々には、農業で解決するしかなかった。それでここまでやってきましたが、ヌワカロールの方法が、そう簡単に貴族に受け入れられるとは思っていません。夫人にすぐに受け入れてもらえたことのほうが奇跡です」
ジュリエッタはファビオに慰められる始末だった。
「私の友だちはすぐに興味を持ってくれたわ。その方を今度、伯爵さまに紹介させてくださいませ。その方は『世の中、金がすべて』が口癖なの」
ジュリエッタがそう言って無理に笑えば、ファビオも合わせて笑った。
その夜、ジュリエッタに厄難が訪れているとは、そのときのジュリエッタは知る由もなかった。
****
(侯爵さまが帰ってこられない)
深夜になっても侯爵は帰宅しなかった。
その日、呼び出しを受けて侯爵は王宮へ向かったはずだった。王宮へ何度も遣いを出そうと思ったが、妻に心配される大の男というのも侯爵に恥をかかせてしまうだろうと見送った。
(とても不安だわ)
ジュリエッタは眠れぬ夜を過ごし、朝がくれば、王宮に向かった。表向きは庭園の手入れ見舞い、つまりこれから薔薇の盛りを迎える庭園の支援を申し出るために訪問しているふりを装っている。そこでついでに王宮に出仕している夫に差し入れを持ってきた体にするつもりだった。
しかし、ジュリエッタが王宮についても、王宮側からは侯爵に関して何の言及もない。侯爵がいれば何らかの反応がありそうなのにそれもなかった。
しびれを切らしてジュリエッタから切り出した。
「ところで、私の夫はどこにいますの? 昨日、王宮に参ったまま帰ってきませんの。いつまでも仕事をしてしまう人なので、心配だわ。私、差し入れを持ってきましたの」
しかし、ジュリエッタの応対をする官吏は、こう言うだけだった。
「侯爵閣下は昨日、王宮を出たはずですが」
ジュリエッタは内心の動揺を押し隠して、優雅に言った。
「そうでしたの。では、無断外泊でもしているのかもしれないわね。困った人ね、帰ったら嫌味を言ってやりますわ。差し入れはあなたたちで召し上がってくださいませ。では、私は、お祖母さまの庭園に参らせていただきますわ。薔薇の世話に何が必要か知りたいの」
ジュリエッタはハンナと騎士らを引き連れて、ずかずかと王宮の奥へ入っていった。衛兵を横目に堂々と奥へと入り、馬留に向かう。そこには見知った馬が数頭休んでいた。侯爵に側近らの馬だ。
(侯爵さまは今も王宮にいる……!)
「陛下はおられて? 今すぐ会いたいと伝えて頂戴」
付いてきた官吏に言えば、官吏は首を横に振る。
「陛下はあいにくお忍びで出かけておられます」
「では、王妃陛下は?」
「王妃陛下もともに出られておられます」
「では、王太子殿下は」
「お姿が見られません」
「王女殿下は?」
「まだ寝室から出られておりません」
「宰相は?」
「まだ出仕しておりません」
埒が明かない官吏の対応に、ジュリエッタの不安は一気に高まっていく。
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