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グレイ皇子と姫君②

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タタタタ……俺は草花の道を走り続けた。
「はあはあ…はあはあ……」
走っても、走っても…あの光景が頭から離れない……姫が皇子に口付けをしただけで何故胸が苦しくなるんだ?
「……っ、はあ、はあはあ…はあはあ……く…」
俺は走る足を止め、木々が並ぶ一本の気に手を当て荒い息を落ち着かせていた。
「……はあ、はあ……皇子と姫が何を話していたのか聞き取れ無かったけど、二人で並ぶ姿は似合っていたな……口付けしただけで情けない程動揺するなんてな……二人が結婚したら無理だろうな」
俺は手に持っ書類を見て心に決めた。
「……今日、城を出よう」
ギュッと握り締め俺は今日城を出る覚悟を決めた!
レンが城を出る決意を知らないグレイ皇子は、レンが走ったと思う道を歩いていた。
「確かこの辺りまで来たと思うが……」
(まさか口付けで逃げるように走るとは思わなかったな、朝から機嫌悪く部屋を出て以来会ったと思えば、隙を見てあの女の口付けを許すとは…国へ帰る為の金と書類をレンに渡したが……)
「それにしても走るの速くなったのか!?レンの奴…まあ、俺を追いかけていたからな足も速くなるだろう…」
グレイ皇子は頭を触り終えるとレンを捜し回っていた。
グレイ皇子に突き放され一人地面に座り込む姫の側に一人の男性が歩いていた。
「…セレナーデ姫?!」
「あ……」
涙目を見せるセレナーデ姫に驚き慌てたように側に寄っていた。
「何があったのですか?姫」
「エクトル様…」
セレナーデ姫の側に来たのはグレイ皇子の兄エクトル第一皇子だった。
「…グレイはどうしたのです?ご一緒だった筈では……」
「グレイ様はわたくしとは婚約しませんと申されわたくしを突き放されたのです」
「な!?……っ」
セレナーデ姫からグレイ皇子と婚約をしないと話しを聞いたエクトル皇子は、グッと口を含み肩を落とすセレナーデ姫に手を向けていた。
「……セレナーデ姫、何故グレイなのですか?」
「え?」
「私はルシード帝国の次期王と成る者です。王に成らないグレイ皇子に何故寄り添うような真似をするのです」
「エクトル様……」
エクトル皇子はセレナーデ姫の手を取り口付けをした。
「私は貴女を幸せにする事が出来ます。私は貴女を悲しませる真似は致しません、セレナーデ姫私と婚約して下さい」
「!…エクトル様…わたくしは……」
「お望みでしたらグレイ皇子に罰を与えましょう」
「え!?ば、罰とは……」
「私にお任せ下さい、セレナーデ姫に無礼をしたのですから」
エクトル皇子は、セレナーデ姫に求婚を申し込みグレイ皇子に罰を与える約束をした。








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