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「……父様今私達の側に一緒に居るのかな…」
アニー姉がいつもユリウスが座っているテーブル席をジッと笑顔で眺めていた。
「怖い事を言わないでよアニー、御父様は今は御仕事中よそれに御父様の帰る場所はここではありませんわ…御城なのですから…」
エミリー姉はユリウスの席を見てもうユリウスはこの屋敷には帰っては来ないと自分に言い聞かせ紅茶の入ったカップに両手をあてユリウスの席を見た後紅茶のカップに目を向けた。
父親との会話は余り無かったエミリー姉はそれでもいつも家族皆でいる幸せな時間がとても好きで笑いの耐えない自慢の家族だった事を思い出していた。
「……そういえばカイが居ないけど姉様達何か聞いていない?」
ルカリオ兄はユリウスの話しを変えるためカイトが居ない為何処に行ったのか姉達に聞いていた。
「カイトですの?そういえばリンもおりませんでしたわね、わたくし達が学校から戻りおやつの時はいつもおりましたのに」
「カイちゃんとリンちゃんは母様と一緒にお買い物に行っているとメイドから聞いたよ」
アニー姉がおやつのクッキーをポリポリと食べて弟と妹は今は居ないよとルカリオ兄達に伝えていた。
「母様外にお出掛けするように成って良かった。」
「そうですわね御母様わたくし達に心配を掛け無い様に無理をしている姿がとても辛かったですわ」
「…そうだよね父様が悪いんだ、母様を泣かせシルビア様の所へ行ったんだから…」
「ユリーナには悪いと思って居るよ済まなかった子供達」
「えっ?」
「ええっ?」
「は?」
3人とも声がする方へユリウスのいつもの席を驚きながら振り向いた。
しかしテーブル席には誰も居ないお互い顔を見合わせてルカリオ兄がエミリー姉とアニー姉を自分の方へ体を寄せる様にコソコソと話しをする事にした。
「今の聞いた?姉様達…絶対おかしい…今の声父様だったよね?」
「…でも姿が見えませんわ…御父様は姿を消す事が出来ます魔法を御持ちだったかしら?」
「父様が魔法を使う所見たこと無いから分かんない…」
「本当に父様かな…もしかすると誰かの悪戯で僕達を驚かせて居るのかも知れないよ」
「誰がなんの為にわたくし達を驚かせようとしているの?」
「あっ!もしかしたら妖精さんが私達を驚かせて居るのかも知れないわよ、妖精は悪戯好きだと本で読んだ事があるもの」
ルカリオ兄達は3人でコソコソ話しをしてアニー姉が妖精の悪戯と言い出しもしかすると本当に妖精の悪戯かもとルカリオ兄とエミリー姉は思い始めていた。
ブランシェ家の土地は広く木々や草花が多い為妖精が住み着いて居るのだと3人の姉兄達は思っていた。
「懐かしい良い香りだ私にも紅茶を入れて欲しいとメイドに言ってくれないかい?」
「「「!!」」」
「きゃあ!」「うわあ!」とルカリオ兄達はバタバタとテーブル席から外れ食事部屋の扉を開けたまま3人は走り去って行った。
もしかして妖精の悪戯かもと思っては居たものの、姿が見えないのに父親のユリウスの声で話し掛けてくる為怖いというイメージが強くこの部屋からとにかく出ていく事で3人とも必死で走り去って行った。
実体の無い声の主がボソッと呟いていた。
「……傷付くな…父様が帰って来たのに……」










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