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ユリウスが俺の中から出た時に閉じていた瞼を開きユリウスがいつも座る席で兄姉達そしてユリーナ母さんの姿を見ていた。
子供達の会話に笑い声ユリウスは自分のこの席で毎日家族の様子を見て居たのだと思った。
ユリウスが今まで体の中に入っていた為少しふらつくが俺はユリウスの席を立ち自分の席に戻った。
その様子を見ていた兄姉達はユリウスの席を見た。
「…カイの席に座って……もしかしてカイに戻ったの?」
ルカリオ兄が俺が隣に座った為俺の顔をじっと見てきた。
「うん、そうだよにぃ…父様が僕の体が負担に成るからとさっき僕の体から出ていったんだ」
「!!」
ユリウスが俺の体から出たと言う事で皆辺りを見回してユリウスを探し始めていた。
「カイちゃんの中に父様はもう居ないの?」
「父様は隠れるのが天才だよ、姿が見えないから」
「ショーン御兄様御父様は始めから姿が見えませんでしたわ」
「父様、まだ側に居るよね!?」
「父様ベッドに戻ったのかな?リンも一緒に寝る」
ユリウスは幽体のまま自分の席にまだ座っている為兄姉達が自分を探して居る事にどれだけ自分が家族に愛されて居たのか胸が苦しくなり涙が出てくる思いで兄姉達をじっと見つめていた。
俺はユリウスがテーブルの自分の椅子に座っている事を兄姉達に教えてあげた。
「兄様達父様はまだ父様の椅子に座って居るよ」
俺がユリウスはまだ椅子に座って居ると話しをした時皆一斉にユリウスの席を見ていた。
「えっ…!?」
「あっ!父様の声が聞こえた」
「父様居なくなる時は声を出してよ、姿が見えないから探す事が大変だよ」
アニー姉とジェーン兄がユリウスの声を聞き声を出す様にと話し掛けていた。
「父様はずっと椅子に座って居たよ、声を出さなくても良いかなと思っただけで、皆をずーっと見ていただけなんだけど…皆父様の方を見ているから恥ずかしいな」
ユリウスは兄姉達に自分の顔が見えないがニコッと笑顔で笑い掛けていた。
コンコン!
「あの…奥様、お風呂の御時間に成りますが…」
メイドがお風呂の時間を知らせに来た。
「まぁ、もうそんな時間なの!?私達は先に入りましょうか」
ユリーナ母さんエミリー姉とアニー姉そしてリン姉にお風呂の時間を教えていた。
「旦那様私達は先にお風呂に入ります。」
「ああっ、行って来ると良い……ユリーナ子供達と一緒に入る様にしているんだね」
「……ええ、旦那様と喧嘩をしました日から子供達とお風呂に入る事が出来ました…旦那様との喧嘩が無ければ子供達と一緒にお風呂を入る事は在りませんでした。
……旦那様に感謝?をしましたわ…ふふふっ…」
「……そうか…」
「父様お風呂に行って来るね」
リン姉がユリウスの座る席まで来て見えないユリウスに話し掛けていた。
「ああっ、行っておいでリン」
ユリウスはリン姉の頭に手を当てお風呂に入る姉達に声を掛けた。
「エミリーもアニーもリンをお風呂に頼むよ」
「分かっておりますわ御父様」
「父様も一緒に来る?」
アニー姉がユリウスも一緒にと誘った為エミリー姉は驚き拒否をしていた。
「何を言って居るの?アニー、御父様は一緒に入る事は出来ませんわ」
「えっ、姿が見えないから一緒にどうかなと思ったけど…」
「ハハハ、嬉しいけど父様は一緒には行けないよ…さぁ、お風呂に行っておいで父様は待って居るから」
「「は~い」」
アニー姉とリン姉はユリウスにお風呂に行く返事をしてエミリー姉がユリウスに話し掛けていた
「……御父様覗き見だけはしないで下さい、今の御父様は姿が見えませんので…ショーン御兄様、御父様を見張って居てください、では、わたくし達は先に入ります。御兄様御願いしますわ」
「えっ、何故僕が父様の監視役に成るんだ?」
「……覗き見…監視……」
ユリウスはエミリー姉が大人の女性としてユリウスに接して来た事に嬉しいような寂しいようなそんな事を考えながらクスッと笑っていた。




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