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ジル王子とメイドのマリア⑤

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ジル王子の部屋の中に入った四人のメイド達はジル王子が来るまで顔を上げてはいけないと教育されている。
「メイド達が来たようだ、マリア少し待っていてくれ」
「はい、分かりました」
「「!?」」
メイドの二人がジル王子以外に他に人がいる事が分かりそれも女だと分かった。
「ねぇ、さっき女の声聞こえなかった?」
「聞こえた……」
メイドの二人はヒソヒソと話しジル王子が来るのを待った。
後輩の二人のメイドはジル王子の声に身体が震え声も出ずにいた。
「待たせて悪い、顔を上げてくれ」
四人のメイド達はジル王子の許しがあり顔を上げメイド達四人は頬を赤く染めジル王子の容姿に見惚れていた。
身長がスラッと高く青い髪に少し黒が混ざり、青い瞳に黒い服が良く似合うジル王子がメイド達の前に立ていた。
「……っ…」
「……ハァ…」
「……」
「……」
「いつものメイド達では無いようだな、メイド長から何か言われているのか?」
ジル王子はメイド達に尋ねていたが、先輩方のメイド二人はぼんやりとしてジル王子の問いかけが聞こえて居ないようで、後輩のメイド二人は顔を見合わせ自分達が話しをして良いのか迷っていた。
「ん?メイド長から何も言われて居ないのか?」
「……あ、あの、メイド長からまたご連絡があると思います」
「そうか、有り難う、今日は宜しく頼む」
「「はい」」
「「!?」」
後輩の二人がジル王子と会話をした為、今までぼんやりとジル王子を見ていた先輩の二人はジル王子が離れたのを見てジロッと後輩の二人に睨み付けていた。その様子をメイドのマリアはソファーに座りじっと見て大きく息を吐いていた。
(メイド長また面倒くさくなりそうな方達を選んだのですね…)
「待たせたな……どうした?知っているメイドでもいたのか?」
「……いえ」
ジル王子はメイドのマリアの前のソファーに座り、その様子を先輩のメイド二人が目を見開きメイドのマリアを見ていた。
「ち、ちょっとジル様の前に座っているの私達と同じメイドじゃないの?」
「そのようね……何故メイドがジル様と親しげに話しをしているのかしら、気に入らないわ」
二人のメイドはチラチラと見ながらの部屋の掃除と成った。
メイドのマリアはチクチクと刺さる視線を浴びながらジル王子と会話の続きをしていた。
「ところで、ウィルの着る服はあるのか?」
「服…で御座いますか?」
「以前、兄上がウィルを抱き抱えていた時白い服だが、如何にもフィンが着るような服を着ていたからな…あの服だけなのかと思い昨日ウィルからも着る服が無いと言っていたのを聞き、今ウィルの手元にあるのか気になっていた」
「……ジル様が見ました服はシェル様がウィル様にと贈られた服です…同じ物が後五着程御座います……」
「!?兄上が選んだ服だったのか?!……それも同じ服が五着も……」
ジル王子は手を頭に押さえ前髪を上げる姿を掃除の手を止めジル王子の姿に見惚れるメイド二人が見ていた。
「ジル様、素敵と思わない?シェル様も素敵だけどジル様も良いな」
「そうね、シェル様のメイド付きと思ったけど既に他のメイドが付いているから、メイド長の話しだとジル様のメイド付きが今居ないと言っていたわ…私達がジル様のメイド付きに成っても良いわ」
「あれっ、さっきまで「ジル王子」って言って居たのに今は「ジル様」になってるわよ」
「あら、そう?」
「そこで話しをしているメイドの君たち何か分からない事でもあるのか?」
「「!!」」
「い、いえ、御座いませんジル様……」
「何でも有りません」
二人のメイドは顔を真っ赤にして仕事の作業を始めベッドのシーツの取り替えをしているメイド二人の側へ声を掛けた。
「もう、貴女達がちゃんと仕事をしないから私達がジル様から仕事をしていないと思われたじゃないの」
「そうよ、ちゃんとやってよね」
二人のメイドは掃く棒を持ち、ベッドのシーツの取り替えをしていたメイド二人に愚痴を言った後奥へと行った。
メイドの二人「えっ?」といった顔を見せていた。
「ねぇ、今の私達のせいなの?」
「……今のは彼女達のせいでしょう?」
二人のメイドは、はぁ……と息を吐きベッドのシーツを取り替えていた。
またメイドのマリアは見たくないものを見てしまい「あの子達も大変ね……」とボソッと呟いていた。
「何か言ったのか?」
「いえ、何でもありませんわ」
「……そうか、あの服は兄上が選んだ服だったのか……確かあの時私は服を選ぶようにと言ったような気がするが……」
「その後のシェル様のお顔を御見せしたいと思いましたわ~」
「!……ウィルはあの服を気に入っていたのか?」
「真っ青な顔で御召ししていました事を御伝え致しますわ~」
「……」
ニコッとメイドのマリアは微笑みジル王子は「兄上はウィルの容姿を見て選んだのか?」「それは分かりませんがその可能性はあると思います」
ジル王子とメイドのマリアはウィル王子の会話で和みその様子を二人のメイドは見てメイドのマリアに嫉妬をいだくようになっていた。











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