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ウィル王子と食後のデザート⑨

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「わたくしがお連れ致します」
いつの間にかレオンさんが俺とザック兄の側に立ち、俺を抱き抱えると言って、ザック兄もまさかレオンさんが側に居るとは思わず目を見開いてレオンさんの方を見ていた。
「……おう、レオン騎士が近くに居るとは思わなかったなウィルは俺がシェル兄の所迄連れて行くから大丈夫だ」
「いえ、わたくしはウィル王子の護衛騎士です護衛を任されましたわたくしの役目です」
レオン騎士は真っ直ぐな目でザック兄を見て、俺を抱き抱えると言い何故か二人共動かずまるで睨み合うように俺の側から離れようとしなかった。
「どうしたのだ?二人共御互い黙ったままではないか……」
「……カイも譲れば良いのに、何をやって居るのかしらあの子は……」
王様とザック兄の母親の声が聞こえ、そして隣からコトッとグラスを置く音が聞こえた。俺はジル王子の方を見ると不機嫌そうな顔付きに成り俺は「げっ」と心の中で声を出した。
「カイザック、ウィルの事は彼にまかせお前は席に座れ」
ジル王子がじっとザック兄を見た後、ザック兄が声を出さずに身体がビクッと動き「はあ…」と息を吐いた後ろ頭をガシガシと触り俺の顔をチラッと見た後レオンさんに声を掛けていた。
「……ああっ、分かった……レオン騎士悪いウィルを頼む」
「はい、分かりましたカイザック副団長……」
レオンさんはザック兄に頭を下げ俺の方へ顔を向けた。
「ウィル王子申し訳在りません御待たせ致しました。わたくしがシェル団長の所までお連れ致します」
すみませんみたいな顔を見せるレオンさんに俺は笑顔を見せ、俺は王様に声を掛けた。
「父様、僕を呼んで頂き有り難う御座いますシェル兄様の所へ行って来ます」
「ああっ、済まないなウィル、後でメイドに飲み物と絵が付いた書物でも持たせよう、文字が読めなくても絵を見れば話しの内容が分かると思う」
「はい、有り難う御座います…」
王様が絵本みたいな本を持たせると言って俺も絵本なら良いかなと俺は王妃様達に礼をした後ザック兄の方へ顔を向けた。
「ザック兄様、楽しかったです。また一緒に食事が出来たら嬉しいです」
俺はニコッと笑顔を見せザック兄は何だか照れたような顔を見せるといつもの真っ白い歯が見える笑顔で、俺の頭をガシガシと触り俺は「ええっ!?」と髪の毛がまた乱れ慌ててマリアさんが俺の側に駆け寄り髪の毛を整え始めた。
「カイ様、先ほどウィル様の髪を整えたばかりですからウィル様を困らせないで下さい」
「ハハハ悪い、悪い、今日はウィルと一緒に楽しんだからなつい嬉しくなったまたなウィル」
「はい、ザック兄様」
俺はザック兄に挨拶を終えジル王子の方を見た。
目を閉じて腕を組む姿は黙ったままで居ると女性が寄って来る感じで、口を開けば女性が去って行くみたいなそんな雰囲気を出して居るジル王子が目を開け、じっと俺の顔を見るからドキッとしてしまった。
庭園での帰りにジル王子から告白されその時の目を俺に今向けているからすっごく恥ずかしく顔が真っ赤に熱く感じるのが分かる
「ん?どうしたウィル顔が真っ赤だぞ?」
「えっ?アハハハ…何でもないです……」
「?そうか?」
「……ウィル、兄上の様子でお前が私の部屋へ来るのを決めると良い、今日が無理なら次回でも構わない」
ジル王子はフッと笑みを見せたように俺に声を掛けていた。
「……はい、ジル兄様」
「レオン騎士…だったか?ウィルを頼む」
「はっ、ジル総隊長」
レオンさんはジル王子に頭を下げた後、俺を抱き抱え俺とレオンさんそしてメイドのマリアさんと一緒に、シェル王子の護衛騎士エリック騎士の案内で俺達はシェル王子が休んで居る部屋へと向かった。
俺達が食卓を離れた後会話が始まっていた。
「ウィル王子は大人しい子と思いましたが良く会話をするようで見ているだけでも楽しかったですわ」
「そうですわねサーラ様、息子のカイザックがあのように喜ぶ姿も母親のわたくしでも知りませんでしたわ……それに護衛騎士と張り合う姿も……」
「ブッ!?は、母上俺は別に張り合っては居ないぞ」
「あら、そう?」
カイザック王子は頬が熱く成るのを手で口を押さえ「別にレオン騎士と張り合ってなど居ないと思うが……」とボソッと声に出していた。
(ウィルが側に居ると何でもしてあげたくなっただけなんだ)
カイザック王子の様子をじっと見ていたジル王子は(……カイザックもまたウィルを……長年一緒に居たのだ、兄上にカイザックが羨ましく思う、素のままでウィルと接する事が出来る……私は……)
カイザック王子の方を向いていたジル王子は目線を自分の目の前に向けまた目を閉じ今日はウィル王子が部屋へ来てくれるだろうかと心の中で呟いていた。
ジル王子の姿をじっと見ていた母親のエリーゼ妃はクスッと笑みを見せていた。
「自分で誘ったようだから、側にいて欲しかったのかな……」
「エリーゼ何か言いました?」
「いいえ、ジルちゃんもウィルちゃんが来てくれて喜んで居るな~っと思ったの」
「えっ?ジル王子が喜んで居ましたの?」
「ウィル王子が居ましてもあのような顔でしたわ……」
「もう、二人とも何処見ているの?」
三人の妃達が騒ぐ中側室のロラ嬢とヤスミン嬢は朝食は何事もなく終わる為ホッと安堵の表情を見せていた。
「今日は突然のウィル王子が居ましたお陰で無事朝食は終わりそうですわ、本当に弟のように愛らしい王子でしたわ」
「そうですわねヤスミン様……」
一言返事を返したロラ嬢はじっとジル王子を見続けていた。









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