連累/吉鶴話譚

蘭歌

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連累四、七

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連累 四
 私がM、もといKと知り合ったのも、R師匠の元だった。Kは当時まだ入門したばかりで、前座見習の頃だったと思う。初めて会った瞬間から、私と彼はどこか似ていると、いわば同族意識のような物を抱いた。Kは逆に私の事が嫌いだったようで、私が師匠の家に行くと毎回いやそうな顔をしていた。
 師匠が病んでいることを、私は知っていたし、Kも私と初めて会った時に知っただろう。普段は普通に過ごしている師匠は、私と会った時や、ふとした拍子に幻覚という狂気に囚われる。師匠も、私の事を父と誤認するのだ。
 話ながら現実と幻覚を行ったり来たりするようで、私に父の事を話してくれていたかと思うと、私を父と思って嬉しそうに日常の事を話す。その話の内容から、私は父と師匠が浅はかならぬ関係であったことを、ぼんやりと知った。
 Kは師匠が幻覚に囚われ続けてしまう事を恐れていたようで、私が師匠と会う事を阻止しようとするようなそぶりを何度か見せていた。最初のうちは、まだ師匠をその狂気から引き戻せると思っていたのだろう。それが無理なのだと、どうやった手緩やかにそれが進行していくと悟ってからは、苦々しそうにしながらも何も言わなくなった。
 もっとも、その頃には私の興味が師匠だけでなくKにも移っていたし、彼が私の事を私としてみてくれる事に、正直に言えば少し依存している。Kとの付き合いもかれこれ四十年になる。


連累七
 男親の存在を知らない、愛されたこともない私が、他の男性にそう言ったものを、求めるようになったのは、ある意味必然の事で、母親に自分を見てもらえなかった私が、自分の事を見てくれる相手に依存するのも、ある意味必然の事だった。私は、仕事ついでに自分の体も時には使って、記事のネタを集めていた時期があった。そうすることで私は求めても手に入らなかったものを、疑似的にでも手に入れることができて、仕事の稼ぎにもつながる。何も悪い事はなかった。
 そう言う事をやっていると、Kは知っていたし何度か苦言を呈されたこともある。そしてもう一人、当時の経理担当が私の出張届などから、その事を知っていた。何度か彼女にもそう言ったことをするな、と言われたことはあったが、もちろん止めるつもりはなかった
 いつだったか、大きなネタを手に入れた代わりに、ひどい目にあった時、彼女に本気で怒られた。その時に、どうせ君だって俺の上っ面しか見ていないのだろう、みたいなことを言った気がする。結果、さらに怒らせ平手打ちまで貰う事となった。そうして、だったら私が見ているからそう言う事は金輪際するな、と。
 それが今では私の妻になって、娘と息子がいるのだから、世の中何があるか本当にわからない。妻はその言葉通りにいつだって、私を私として見てくれているし、その平手打ち以降、私も今までやって来たようなネタ取りはやめた。
 ちょうど私が結婚したのと前後してKも結婚した。それを機に彼はそこそこ激しかった女遊びをぱったりとやめた。お互い、良く結婚できる相手がいたな、と半ば笑い話にもなっている。
 娘は、Kの息子と同い年で、どちらもR師匠に名付け親になってもらった。僕なんかが名付け親でいいの?と師匠は言っていたけれど、僕もKも師匠に付けてもらいたい、と頼み込んだ。娘の名前は、当時流行っていたドラマの女優さんの名前から、Kの息子は彼の名前から一文字持ってきて同じような意味の名前を。二人ともとてもいい子に育ってくれたと思っている。
 そんな二人は、去年結婚した。最後まで少し渋っていたKは、最終的に奥さんに背中をひっぱたかれて頷いていたけれど。若い二人が幸せでありますように。
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