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一騒動①
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こんな気持ち初めてで、戸惑いが大きい。もっとデューク様の笑顔を見ていたい。笑いかけてほしい。
微かに生まれた欲は、きっともっと大きく成長していく。
戸惑いがちに、デューク様の空いている方の手を掴む。触れていたかった。僕のことをずっと見ていてほしい。
僕の行動に一瞬驚いたデューク様が、目を丸くさせる。
「アルビーどうした?」
「……手を、繋ぎたくて……駄目ですか?」
背の高いデューク様を見上げながら尋ねる。
一瞬言葉をつまらせたデューク様は、すぐに繋いだ手へと力を込めてくれる。ゆっくりと二人で屋敷内の通路を進んでいく。
この時間がずっと続けばいいと思った。
◇◇◇
使用人選びは相変わらず難航している。
今日はデューク様がお仕事で一時的に不在のため、戻ってくるまでは僕一人で使用人選びを行うことになった。
身支度を整えて、面接用の部屋へと向かう。
僕のために時間を割いて使用人を選んでくれていることに、申し訳なさを感じていた。デューク様は僕に優しい。けれどそれは夫婦になったから優しいだけだということもわかっている。
愛や恋という感情から誘発されたものではないことも理解している。
だからこそ、ますます申し訳なく思ってしまう。
部屋へつく寸前、中から口論をする声が聞こえてきた。慌てて中に入ると、複数の女性が一人の女の子を囲っている姿が目に飛び込んでくる。
僕に気がついた彼女たちがこちらを見るけれど、解散する気はないようだ。逆にヒートアップしたのか、女の子に向かって暴言を吐き始める。
「使用人にだって格ってものが必要なのよ。それなのに見てよこの格好。いかにも貧乏人って感じよね」
よく見れば、女の子の着ている服はところどころ解れていて、自分で手直ししたのか縫われているところもある。高価な化粧品や趣向品の類を使っている形跡もなく、日に焼けた肌や目元のくまが、普段から働き詰めだということを表していた。
一方、女性の方は美しく身なりを整えてている。僕には派手にも感じるけれど、こういった女性は社交界にも多い。
花嫁修業のために使用人を経験する貴族も多い。彼女もお金持ちのご令嬢なのだろう。
「たしかに貴方と比べればみすぼらしいかもしれませんが、募集紙には誰でも歓迎されると書いてありました」
はっきりと反論した女の子のことを女性が睨む。
「私はマルイ大商店の一人娘なのよ!その私に口答えするだなんてっ!身の程知らずね!」
女性が大きく手を振り上げたのがわかった瞬間、僕は勢い良く彼女たちの間に飛び込んでいた。どうしてそうしたのかはわからない。けれど、身体が勝手に動いていたんだ。
頬に衝撃の痛みが走る。
微かに生まれた欲は、きっともっと大きく成長していく。
戸惑いがちに、デューク様の空いている方の手を掴む。触れていたかった。僕のことをずっと見ていてほしい。
僕の行動に一瞬驚いたデューク様が、目を丸くさせる。
「アルビーどうした?」
「……手を、繋ぎたくて……駄目ですか?」
背の高いデューク様を見上げながら尋ねる。
一瞬言葉をつまらせたデューク様は、すぐに繋いだ手へと力を込めてくれる。ゆっくりと二人で屋敷内の通路を進んでいく。
この時間がずっと続けばいいと思った。
◇◇◇
使用人選びは相変わらず難航している。
今日はデューク様がお仕事で一時的に不在のため、戻ってくるまでは僕一人で使用人選びを行うことになった。
身支度を整えて、面接用の部屋へと向かう。
僕のために時間を割いて使用人を選んでくれていることに、申し訳なさを感じていた。デューク様は僕に優しい。けれどそれは夫婦になったから優しいだけだということもわかっている。
愛や恋という感情から誘発されたものではないことも理解している。
だからこそ、ますます申し訳なく思ってしまう。
部屋へつく寸前、中から口論をする声が聞こえてきた。慌てて中に入ると、複数の女性が一人の女の子を囲っている姿が目に飛び込んでくる。
僕に気がついた彼女たちがこちらを見るけれど、解散する気はないようだ。逆にヒートアップしたのか、女の子に向かって暴言を吐き始める。
「使用人にだって格ってものが必要なのよ。それなのに見てよこの格好。いかにも貧乏人って感じよね」
よく見れば、女の子の着ている服はところどころ解れていて、自分で手直ししたのか縫われているところもある。高価な化粧品や趣向品の類を使っている形跡もなく、日に焼けた肌や目元のくまが、普段から働き詰めだということを表していた。
一方、女性の方は美しく身なりを整えてている。僕には派手にも感じるけれど、こういった女性は社交界にも多い。
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「たしかに貴方と比べればみすぼらしいかもしれませんが、募集紙には誰でも歓迎されると書いてありました」
はっきりと反論した女の子のことを女性が睨む。
「私はマルイ大商店の一人娘なのよ!その私に口答えするだなんてっ!身の程知らずね!」
女性が大きく手を振り上げたのがわかった瞬間、僕は勢い良く彼女たちの間に飛び込んでいた。どうしてそうしたのかはわからない。けれど、身体が勝手に動いていたんだ。
頬に衝撃の痛みが走る。
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