失恋〜Lost love〜

天宮叶

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7〜東視点〜

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「幸治!こんなとこいたのかよ!!」

遠くの方からいきなり怒鳴り声が聞こえてきて体が大きく跳ねた。

前を見てみると、廊下の少し離れたところに身長の高い赤髪の男の人が立っていてこちらを睨みつけていた。

「あ、大輝。」

「あ、じゃねぇだろ!!お前体のことも少しは考え………お前誰?」

やっと気づいたのか、大輝と呼ばれた不良さんは少しだけこちらの方を睨んでくる。

「東夕陽君だよ」

葉山さんが不良さんに俺の事を紹介してくれた。

「えと、東です。なんか…葉山さん独占してたみたいで、すみません」

ペコリと頭を垂れると、不良さんは俺の事を軽く睨みつけながら、別にって小さく呟いた。

「なんとも思ってねえよ。ただ、部屋に行ったら幸治がいないから心配になっただけだ」

そう言った彼に俺は困ったようにすこしだけ微笑んだ。

「すみません引き止めてしまって。俺はそろそろおいとましますね。」

「もう行くのかい?」

葉山さんがくりっとした目で俺を見上げてくる。

その顔がめちゃくちゃ可愛くて思わず、その顔は反則だろって思った。

「はい、また……、また、お話しましょう。楽しかったです。ありがとうございました」

そう言って俺は2人にお辞儀して病室へ向かった。

「大好きな人……か…」

あの二人は幸せそうだったなぁ……。

もし、葉山さんがいなくなったら大輝さんはどうするんだろう………。


俺はその日、高熱を出して二日間ベッドから出ることができなかった。

日向…会いたいよ。

あんたに伝えたいんだ……この気持ちを…。


その日から度々葉山さんと話をするようになった。

彼は本当に前向きで、どうにか長く生きれるように出来ないかって毎日勉強しているようだった。

それでも、大輝さんのことを話す時だけは、明るい表情が影って、とても悲しそうな顔になった。

その顔を見る度に俺も坂本のことを思い浮かべて悲しくなる。

「たまに、どうして産まれてきたんだろうって思う時があるんだよ」

「……」

「病気で死んでしまうなら産まれてくる意味なんてなかったかもしれないって…。でも、きっと…僕は大輝に出会うために生まれてきたんだって最近は思う」

そう言って悲しげに微笑む葉山さんに俺は何も言えなかった。

彼の言葉を借りるなら、俺も坂本に会うために産まれてきたんだろうか…。

でも、それなら……俺はもっとあいつと一緒に居たい。

あいつのために産まれてきたなら、あいつの為に生きていたい……。

「大輝がそろそろ怒って迎えに来るかもしれないから行くね」

「…はい」

儚げな彼の後ろ姿を見つめながら俺は泣きたい気持ちになった。
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