マニーフェイク・フレンズ

天宮叶

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なにこれ

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家に帰るとリビングの明かりが付いていて俺はまた大きなため息を吐いた。

案の定、見知った人物がソファーに寝転んでスマホをいじっているのが確認できた。

「兄貴」

「お!お疲れ~」

声を掛けると俺に気づいて身体を起こした兄貴が軽く俺に手を挙げた。俺は鞄を適当な所に置くと兄貴の正面のソファーに腰掛けてまたため息をつく。

兄貴は月に1回くらいこうやって俺の家に突然やってきて何をするでもなく帰っていく。

今日はその月一の日だったんだろう。

大方両親に様子を見て来いってせっつかれてるんだと思うけど、これでも兄貴は会社の跡取りだから忙しいはずなのにそんなのお首にも出さないで当たり前にこの家にいるのは凄いと思う。

「なんかあった?」

「…なにも」

「そう?そういえば母さんがお前に丁度いいお見合い話があるって言ってたぞ」

「絶対無理」

「そう言うと思って俺の方から断っておいたよ」

「助かる」

兄貴の言葉にほっと胸を撫で下ろすと兄貴が頬杖を付いてじっとこっちを見てきた。

同じ兄弟のくせに無駄にイケメンな顔は迫力があって見られると何故だか緊張する。
次男も美形だけど兄貴は纏ってる雰囲気がなんか違うんだよな。

「聞いてくれよ」

「なに」

「最近秘書が情緒不安定で困ってるんだよ~」

「…それ、なんて言えばいいんだよ」

「確かにっ!」

今思いましたって感じでわざとらしく驚いた表情を作る兄貴にイラッとする。

この人はこうやってたまにどうでもいい話を振ってきては俺の事をおちょくってくるから苦手だ。でも、何故か兄貴がこういう話をする時には後々何かしらその話に絡んでくる出来事が起きるから話を聞き流すことが出来ないのも確かだ。

「秘書さんなんかあった感じ?会ったことないからどんな人か知らないけど」

「うーん、表面上は普通だけどな。なんか違うんだよ」

「ふーん。嫌なことでもあったんじゃね?」

「…悟なんか知らないの?」

「俺が知るわけないだろ」

「だよな」

本当にこの人意味わかんねえ。

兄貴といると色んな意味で調子狂わされるから困る。

仕事で疲れてるのに更にどっと疲労感がました気がした。
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