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運命の番
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甘い痺れが全身を刺激して目を覚ました。
「……へ、やっ、ぁ、ぁ、あ……」
「起きたか」
ぐずぐずになった僕の中を突き上げながらライル様がニヤリと笑みを浮かべる。
あれからどれくらいの時間が経ったのかはよく分からない。外は相変わらず白で埋め尽くされていて時間感覚は更に麻痺してしまっている。
強い快楽に気を失っては、甘い痺れを感じて目を覚ますを繰り返す。
「答える気になったか?」
「……ん、ゃ……」
声は枯れてしまっていて上手く喘ぎ声すら出せない。
それなのに、彼は僕を責め立てることをやめてはくれない。
「な、んで……」
なんでそんなに僕の相手が気になるんだ。
それに、僕以外の人達のことは抱いていないと聞いていたのにどうして僕だけ……?
今夜、抱かれないまま返されていれば、ライル様の温もりも、この狂う程の快楽も知らずに済んだのに。
「気づいていないのか」
「……へ……?」
「お前は俺の運命の番だ。俺の噂は聞いているだろう。Ωを集めたのは運命の番を探すためだ。まさか5人目で出会えるとは思ってもいなかったがな」
「……うん、めい?」
それはなんなのだろう?
僕にはそれが何を意味するのかよく分からなかった。
ただ、乾いた喉を潤すための水を求めるかのように、ライル様を切望してしまう感覚だけは分かって、それが運命の番というものなのだろうかとは思う。
「そうだ。お前は俺のΩだ。だからこそ俺のものに手を出されたことが酷く腹立たしい」
「……っ、ごめ、なさい」
ライル様から感じるピリピリとした感情にびくりと身体を震わせる。
折檻されてしまうのだろうか?
罰を与えられるのは痛くて怖い……。
「……よく見れば身体中痣だらけだな。……それにこの首の痣……」
彼の長い指が僕の首元の痣をなぞる様に触れてくる。
長年首輪を付けられていたことで出来た痕は数日程度で消えることは無い。
「……貴族では無いな」
「っ!」
あっさりと見破られてしまったことに驚いて肩を揺らすと、その反応を見たライル様が、やはりな……と小さく呟いたのが聞こえてきた。
(バレた……どうしようっ!)
当たり前だ……。
なんで気が付かなかったんだろう。
身体を見られてしまえば気づかれるのは当たり前なのに……。
彼以外に僕の痕について聞いてきた人は居なかったから油断していた。
「大方何処かの貴族の身代わりで連れてこられたのだろう」
「……ぼ、僕……っ……」
「使用人か?」
「……っ……」
「……まさか奴隷か」
当てられてしまった恐怖にぽろぽろと涙を流すと、ライル様は怒るどころか口角を上げてまた腰を動かし始めた。
「くっ、愉快だ。この俺に奴隷を宛てがう度胸も大したものだが、まさか俺の番が奴隷だとはな!」
彼の楽しげな笑い声が部屋に響き渡る。
それとは対照的に身体を揺すられながら僕はひたすら泣き声を漏らすことしか出来なかった。
「……へ、やっ、ぁ、ぁ、あ……」
「起きたか」
ぐずぐずになった僕の中を突き上げながらライル様がニヤリと笑みを浮かべる。
あれからどれくらいの時間が経ったのかはよく分からない。外は相変わらず白で埋め尽くされていて時間感覚は更に麻痺してしまっている。
強い快楽に気を失っては、甘い痺れを感じて目を覚ますを繰り返す。
「答える気になったか?」
「……ん、ゃ……」
声は枯れてしまっていて上手く喘ぎ声すら出せない。
それなのに、彼は僕を責め立てることをやめてはくれない。
「な、んで……」
なんでそんなに僕の相手が気になるんだ。
それに、僕以外の人達のことは抱いていないと聞いていたのにどうして僕だけ……?
今夜、抱かれないまま返されていれば、ライル様の温もりも、この狂う程の快楽も知らずに済んだのに。
「気づいていないのか」
「……へ……?」
「お前は俺の運命の番だ。俺の噂は聞いているだろう。Ωを集めたのは運命の番を探すためだ。まさか5人目で出会えるとは思ってもいなかったがな」
「……うん、めい?」
それはなんなのだろう?
僕にはそれが何を意味するのかよく分からなかった。
ただ、乾いた喉を潤すための水を求めるかのように、ライル様を切望してしまう感覚だけは分かって、それが運命の番というものなのだろうかとは思う。
「そうだ。お前は俺のΩだ。だからこそ俺のものに手を出されたことが酷く腹立たしい」
「……っ、ごめ、なさい」
ライル様から感じるピリピリとした感情にびくりと身体を震わせる。
折檻されてしまうのだろうか?
罰を与えられるのは痛くて怖い……。
「……よく見れば身体中痣だらけだな。……それにこの首の痣……」
彼の長い指が僕の首元の痣をなぞる様に触れてくる。
長年首輪を付けられていたことで出来た痕は数日程度で消えることは無い。
「……貴族では無いな」
「っ!」
あっさりと見破られてしまったことに驚いて肩を揺らすと、その反応を見たライル様が、やはりな……と小さく呟いたのが聞こえてきた。
(バレた……どうしようっ!)
当たり前だ……。
なんで気が付かなかったんだろう。
身体を見られてしまえば気づかれるのは当たり前なのに……。
彼以外に僕の痕について聞いてきた人は居なかったから油断していた。
「大方何処かの貴族の身代わりで連れてこられたのだろう」
「……ぼ、僕……っ……」
「使用人か?」
「……っ……」
「……まさか奴隷か」
当てられてしまった恐怖にぽろぽろと涙を流すと、ライル様は怒るどころか口角を上げてまた腰を動かし始めた。
「くっ、愉快だ。この俺に奴隷を宛てがう度胸も大したものだが、まさか俺の番が奴隷だとはな!」
彼の楽しげな笑い声が部屋に響き渡る。
それとは対照的に身体を揺すられながら僕はひたすら泣き声を漏らすことしか出来なかった。
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