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運命の番

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泣き続ける僕の目尻に口付けを落とした彼は、僕を背後から責め立てながら律動を早め、僕の奥へと腰を押し進めた。

「アズハル、お前は俺のつがいだ」

「あっ、や、ゃ…っ!!」

ライル様が僕の中で果てると同時に僕の項へと犬歯を突き立てる。

その瞬間電流の様な痺れが全身に走って、僕ははくはくと口を開閉させながら自身の最奥へ放たれた精を受け止めた。

例えようもない多幸感と快感が脳内を支配していて、シーツを握りしめてその感覚に酔いしれる。

この幸福感を噛み締めたまま何もかも投げ出して消えてしまいたいとさえ思った。

「寝ていろ」

僕の中からライル様が自身を引き抜くと、動けない僕の下半身を布で拭いてから髪を撫でてくれる。

それに感謝の言葉を伝えなければと思うのに、疲弊しきった身体ではそれは叶わず睡魔に負けて瞳を閉じた。

怖いのに優しくて、彼のゴツゴツとした手の感触が心地良いと思ってしまう。

項を噛まれるという行為がどれだけ自分にとって重要なことなのかを知っているはずなのに、彼に噛まれるのなら良いと思ってしまうんだ。

じくじくと噛まれた所から感じる痛みが、傷口から体の中へと流れていき数秒後には幸せな痺れへと変化する。

その不思議な感覚を味わいながら夢の中をさまよっていると、不意にご主人様の影が現れて僕の耳元で囁いた。

『お前はただの奴隷だ。愛されるとは思わないことだな』

言われた言葉に息を飲む。
ご主人様の手が僕の首元に伸びてきて、指が項の噛み跡を抉ろうと突き立てられた時、ハッと目を覚まして胸を抑えながら息を吐き出した。

(夢……?)

ポタリと額から一筋汗がこぼれた。

胸の苦しさに背を曲げて耐えていると、不意に背後から抱きしめられて、ふわりと優しい香りが僕を包み込んだ。



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