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捜索と贈物

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「……なんでそんなに俺のこと好きなわけ?」

心底分からないって言うみたいに呟いたイズを抱きしめて、彼の頭に唇を寄せる。

「イズは俺のことを助けてくれたんだよ」

「あんたを助けた記憶なんてないけど」

「ふふ、俺だけが知っていればいいんだ」

「ふーん」

イズは興味が失せたのか適当に相槌を打ち、テレビを消してゴロリと俺の膝の上に頭を乗せて横になった。

「イ、イズッ」

イズのいい匂いと、温もりにムクムクと欲が顔を出し始める。イズが少しでも顔を横に向ければ彼の口元に俺のモノが当たってしまいそうで、それを妄想すると益々下半身に熱が集まってきた。

「頭に固いの当たってるけど」

「イズに触れているから」

「キモイ」

ボソリと吐き捨てて、目を閉じたイズを上から眺める。

毛穴1つないくらい艶やかな肌に吸い付きたい衝動に駆られるけれど、怒られるのは嫌だから今は我慢する。その代わりというようにイズの黒髪を撫でながら、幸せを噛み締めた。

俺の膝の上に頭を乗せて寝息を立て始めた彼を見つめながら、俺達が出会った日のことを思い出して口元を緩める。

4年前、俺はどん底の生活を送っていた。

当時付き合っていた恋人に浮気され、企業したばかりだった会社は中々軌道に乗らず、身を削る毎日。友達を信用して連帯保証人になったはいいものの、膨らむ借金から逃げるように友達が姿を消したことで、その借金返済は俺に課されることになった。

裏切られる日々と中々光を掴めない日常の連続。自分がなんのために生きているのかも分からないまま、ただ命だけを燃やしている様な感覚だった。

会社が軌道に乗らないことはまだいいと思えた。集中していれば嫌なことを忘れられる。

けれど、愛していた恋人と信用していた友達に裏切られた絶望感は俺の身を引き裂いて粉々にしてしまう程に深く、苦しく、悲しいものだった。

俺は少し、相手に執着する傾向にある。1度信用するとそれをずっと信じ続けてしまうんだ。

そういう部分を周りは理解していたのだと思うし、利用しやすかったのかもしれない。

恋人には俺のそういう部分が重かったのだと言われた。でも、重いなんて言われても、俺には何が悪いのかが分からない。愛は重ければ重いほど、強ければ強いほどに素敵なものに変化すると信じてやまなかった。

初めは許そうとしたんだ。けれど、そんな俺の態度はますます相手を辟易させて、結局数週間後には連絡すらつかなくなっていた。

いっそのこと死んでしまおう。
大切な人に裏切られた俺はそう決めて、死に場所を探すように街をさまよっていたんだ。
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