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ラーメンはいいぞ!②
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ちゅるるるる……きゅぽん。
「美味いか?」
ちゅるる……きゅぽ……ちゅるるるる……。
「……おーい」
俺の言葉など一切聞こうともせずに、眼前の獣耳少女は一心不乱に麺を啜っていた。
余程お腹が空いていたのだろう、口端についているつけだれを拭こうともせずに、慣れない箸捌きで麺を啜るその少女は不覚にもとても可愛く見えた。
昨今、麺を啜るという行為自体が下品である、と外国人観光客からの不満の声も大きくなっていた中で、この少女は日本の伝統食事法に乗っ取ってそれはそれは美味そうに啜ってくれている。
うん、ありがたいことだ。
俺は結局四口ほどしか食べられなかったものの、少女はあろうことか麺を全て平らげやがった!
いや、そこまで美味しそうに食べられたら俺も何も怒らないよ!
――と、その時だった。
「くふー……んぐ……んぐ……――」
麺を啜り終わったと思えば、少女は丸皿に移しておいたスープに手を付けたのだ!
おいおい、何てことしやがる!
「――んぐ……んぐ!?」
両手いっぱいに丸皿を持ってスープを口に流し込もうとした少女の手を俺は思いっきり止めた。
少女は、「もう食べさせてくれないの……?」と言いたげな表情を作るが――そうじゃないんだ。
チルド麺というのは実に奥深い食べ物なのだ。
麺を食べ終わってもスープで別の楽しみ方がある。言ってみれば、アイスクリームにコーンが着くようなものだ。
「ふっ……その食べ方じゃぁこの袋生麺を完璧に味わったとは言えないんだぜ? お嬢さん」
俺は指でパンパンと銀色の小さな袋を叩いた。
「ほれ、ちょっと貸してみ」
そう言って俺が取り出したのは、麺を食べ終わった後に投入する粉末出汁だった。
「これをまず、丸皿に移す。そしてその後にこのあったかいお湯を……!」
俺は銀色の袋に包まれた粉末出汁をタレの入った丸皿へと投入した。パラパラとタレの中に吸い込まれていくその粉末のコク深さに、少女の尻尾は再びふるふると震え出した。
「これで、仕上げだ――!」
百ミリリットルのお湯をその上からさぁっと注ぐ。
粉末に閉じ込められていたコクの深い香りが一気に爆散! 魚介タレと粉末の香りが絶妙にマッチしているこのスープを飲み干してこそのチルド麺なのだ!
「ふふふ……これが一流のチルド麺……って聞いちゃいねぇな……」
俺が鼻高々と解説しようとしていたのに、少女は既に湯気の立ち込めるそのスープを口に含んでいた。
「……~~ッ!! ~~!!!」
……すっげー瞳を輝かせて飲んでいるとこちらもそれだけで何か腹が満たされてくるぜ。
そんな頬一杯にスープ飲んでても誰も取りはしないさ……。
とはいえ――。
俺は尻尾を高速回転させる少女を眺め見た。
――獣耳に、獣の尻尾……。地球にはそんな生物は確認されていなかったはずだ。
それに、よく見てみると太陽の横には月らしきものが二つある。
紅い月、蒼い月が昼間なのにも関わらずはっきりと見えている。
と、なると――。
「ここは、地球じゃない別の次元の世界ってことになるのか……」
――でも……と、俺は後方に向けられたキッチンを一瞥した。
冷蔵庫に、電子レンジ……コンロに、キッチン台。
冷蔵庫を開いてみれば、四度の冷気が腕に降りかかる。
電気は通じているようだ。不思議なことにコンセントなどは確認されないが、それでも何とか冷蔵庫などは機能しているようだ。
さっき、コンロも、水道も普通に使えたからそれも考えると、電子レンジも動くだろう。
「というかなんでよりによってキッチンなんだよ……。料理なんて滅多にしねぇぞ、俺」
幸いなことの一つは、冷蔵庫の中に全ての食材を詰め込んでいたことだろう。普段ならばこれで二週間かそれ以上は持つからな。
ふと、俺は一四〇センチほどある冷蔵庫を再び開いた。冷蔵庫内部の状況を確認しておくことも非常に大切だからな。もはやここは俺にとってのライフラインに近いものだ。
「えーっと……」
うむ、なるほどチルドが極端に多いのがすぐに分かるな!
調味料や味噌、みりん関連はキッチンの下に……と、おお、ほぼ全部揃ってる!
調味料などには困りそうにはない。肉関係も意外と冷凍庫だと持つんだよな。
あとは、レンジの横に奇跡的に見つけたのは鯖缶やササミ缶だ。いつ買ったっけ、これ……。
ヤバい、溜息しか出てこない。そして驚異のインスタント、チルド率よ……。
キッチン下に置かれた大量のカップ麺を見て自然とため息が出た、その時だった。
「……けぷ」
ふと、可愛らしい物音がして後ろを振り向くと、そこには恥ずかしそうに顔を赤らめて口を両手で押さえる獣耳少女の姿がある。
やべぇ……何だこの可愛さの破壊力は……!
どうやらスープも全て飲み干しているらしい。良かった、良かった。
と、少女は顔を赤らめながらも小さく、「あ、ありがとうございました……」と口を開いた。
声まで可憐で美しいとは……! 完璧だ!
「あの、その、私、ルーナって言います……! その、この度は美味しいご飯……ありがとうござい――けぷ」
……その小さく可愛い「けぷ」に再び顔を赤らめ口をつぐんだその少女――ルーナ。
――可愛すぎるだろぉぉぉぉぉぉ!!!
「美味いか?」
ちゅるる……きゅぽ……ちゅるるるる……。
「……おーい」
俺の言葉など一切聞こうともせずに、眼前の獣耳少女は一心不乱に麺を啜っていた。
余程お腹が空いていたのだろう、口端についているつけだれを拭こうともせずに、慣れない箸捌きで麺を啜るその少女は不覚にもとても可愛く見えた。
昨今、麺を啜るという行為自体が下品である、と外国人観光客からの不満の声も大きくなっていた中で、この少女は日本の伝統食事法に乗っ取ってそれはそれは美味そうに啜ってくれている。
うん、ありがたいことだ。
俺は結局四口ほどしか食べられなかったものの、少女はあろうことか麺を全て平らげやがった!
いや、そこまで美味しそうに食べられたら俺も何も怒らないよ!
――と、その時だった。
「くふー……んぐ……んぐ……――」
麺を啜り終わったと思えば、少女は丸皿に移しておいたスープに手を付けたのだ!
おいおい、何てことしやがる!
「――んぐ……んぐ!?」
両手いっぱいに丸皿を持ってスープを口に流し込もうとした少女の手を俺は思いっきり止めた。
少女は、「もう食べさせてくれないの……?」と言いたげな表情を作るが――そうじゃないんだ。
チルド麺というのは実に奥深い食べ物なのだ。
麺を食べ終わってもスープで別の楽しみ方がある。言ってみれば、アイスクリームにコーンが着くようなものだ。
「ふっ……その食べ方じゃぁこの袋生麺を完璧に味わったとは言えないんだぜ? お嬢さん」
俺は指でパンパンと銀色の小さな袋を叩いた。
「ほれ、ちょっと貸してみ」
そう言って俺が取り出したのは、麺を食べ終わった後に投入する粉末出汁だった。
「これをまず、丸皿に移す。そしてその後にこのあったかいお湯を……!」
俺は銀色の袋に包まれた粉末出汁をタレの入った丸皿へと投入した。パラパラとタレの中に吸い込まれていくその粉末のコク深さに、少女の尻尾は再びふるふると震え出した。
「これで、仕上げだ――!」
百ミリリットルのお湯をその上からさぁっと注ぐ。
粉末に閉じ込められていたコクの深い香りが一気に爆散! 魚介タレと粉末の香りが絶妙にマッチしているこのスープを飲み干してこそのチルド麺なのだ!
「ふふふ……これが一流のチルド麺……って聞いちゃいねぇな……」
俺が鼻高々と解説しようとしていたのに、少女は既に湯気の立ち込めるそのスープを口に含んでいた。
「……~~ッ!! ~~!!!」
……すっげー瞳を輝かせて飲んでいるとこちらもそれだけで何か腹が満たされてくるぜ。
そんな頬一杯にスープ飲んでても誰も取りはしないさ……。
とはいえ――。
俺は尻尾を高速回転させる少女を眺め見た。
――獣耳に、獣の尻尾……。地球にはそんな生物は確認されていなかったはずだ。
それに、よく見てみると太陽の横には月らしきものが二つある。
紅い月、蒼い月が昼間なのにも関わらずはっきりと見えている。
と、なると――。
「ここは、地球じゃない別の次元の世界ってことになるのか……」
――でも……と、俺は後方に向けられたキッチンを一瞥した。
冷蔵庫に、電子レンジ……コンロに、キッチン台。
冷蔵庫を開いてみれば、四度の冷気が腕に降りかかる。
電気は通じているようだ。不思議なことにコンセントなどは確認されないが、それでも何とか冷蔵庫などは機能しているようだ。
さっき、コンロも、水道も普通に使えたからそれも考えると、電子レンジも動くだろう。
「というかなんでよりによってキッチンなんだよ……。料理なんて滅多にしねぇぞ、俺」
幸いなことの一つは、冷蔵庫の中に全ての食材を詰め込んでいたことだろう。普段ならばこれで二週間かそれ以上は持つからな。
ふと、俺は一四〇センチほどある冷蔵庫を再び開いた。冷蔵庫内部の状況を確認しておくことも非常に大切だからな。もはやここは俺にとってのライフラインに近いものだ。
「えーっと……」
うむ、なるほどチルドが極端に多いのがすぐに分かるな!
調味料や味噌、みりん関連はキッチンの下に……と、おお、ほぼ全部揃ってる!
調味料などには困りそうにはない。肉関係も意外と冷凍庫だと持つんだよな。
あとは、レンジの横に奇跡的に見つけたのは鯖缶やササミ缶だ。いつ買ったっけ、これ……。
ヤバい、溜息しか出てこない。そして驚異のインスタント、チルド率よ……。
キッチン下に置かれた大量のカップ麺を見て自然とため息が出た、その時だった。
「……けぷ」
ふと、可愛らしい物音がして後ろを振り向くと、そこには恥ずかしそうに顔を赤らめて口を両手で押さえる獣耳少女の姿がある。
やべぇ……何だこの可愛さの破壊力は……!
どうやらスープも全て飲み干しているらしい。良かった、良かった。
と、少女は顔を赤らめながらも小さく、「あ、ありがとうございました……」と口を開いた。
声まで可憐で美しいとは……! 完璧だ!
「あの、その、私、ルーナって言います……! その、この度は美味しいご飯……ありがとうござい――けぷ」
……その小さく可愛い「けぷ」に再び顔を赤らめ口をつぐんだその少女――ルーナ。
――可愛すぎるだろぉぉぉぉぉぉ!!!
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