追放されたハズレ精霊術師による楽しい理想郷作り~真の力を開放させた俺は、世界中の美精霊と契約して溺愛されつつ最高のスローライフを送ります~

榊原モンショー

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11.商談成立

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 商会からもらう認定証にはおおよそ4種類あるらしい。
 銅、銀、金、白金の4種だ。
 小さいギルドほど白金のカードを出して冒険者をつなぎ止めようとするってのは聞いたことあがある。
 通常冒険者ギルドでは、その管轄の任務しか受けることが出来ない。
 別の管轄地域で任務を受けたければ、その土地の管轄ギルドで改めて冒険者登録をする必要があるわけだが――。

 ヴォルカは俺の意図を察したのか、にやりと笑みを浮かべながら言う。

「知っての通り、これがあれば私たちアーヴィング商会が関連してる国や地域のギルドなら大体の任務に融通が利くわ。根無し草の旅をしようとしてるアンタたちには打って付けの代物よ」

「……知っての通りこんなんだ。金は無い」

「ハンッ。誰がそんな貧乏ったらしい格好してるアンタに金集ろうとするのよ。いい? これはアンタたちへの先行投資よ」

『先行、投資?』

 シーファが首を傾げるなかでヴォルカは目を光らせた。

「まず一つ目。さっき、ラクトがワイバーンを一撃で伸したこと。アンタの実力全開でなくともあそこまでは出来るってことは他の任務でそう失敗することはないわね。どこのギルドでどんな任務でも受けられる代わりに、1割程度のマージンちょうだいって話」

「たった1割でいいのか。他なら4、5割取られてもおかしくなのに優しいんだなぁ」

 やはり最初に会ったのがアーヴィング商会って所で大正解だったのかも知れない。
 巨大な商会であればあるほどその商会の威光をかさにマージンをぼったくるって話だからな。
 
 呑気に構えてた俺に、「二つ目、私にはこっちのが重要なの」とヴォルカは再び切り出した。

「《精霊術師》はハズレ職。そのはずなのに、天からの啓示で受けた者は意外と少なくないのよね。この世に存在する全365ある職業の中でも、おおよそ0.2%の確率よ。おかしいと思わない? 一般に『ハズレ』と揶揄される生産職や魔獣使いは0.001%程度の確率しか無いはずなのにって」

 考えたことすらなかったな。
 でもいざ数字として示されてみると……そう、なのか?

「そんな確率値の職業がハズレなわけない。本来は精霊術師はハズレ職なんかじゃなくて歴としたパーティーの主戦力たり得る職業だったはずなの。アンタを見て私はそれを確信したわ。精霊術師の最大の利点もね」

『へぇ』

 ここでシーファは興味深そうにヴォルカの話に耳を傾けだした。

「精霊術師は、『魔力を受け止める器』があるだけで魔力自体は使えない。言い換えれば、その器さえアンタみたいに鍛えに鍛えたのならば、一属性に限らず契約した精霊ごとの属性魔法さえ使えるようになるってことじゃないかしら。原則この世に生きる全ての人間は生涯一属性しか使えないわけだけど……精霊術師は、元の属性魔法・・・・・・がないんだから」

「言われてみれば、確かにそうだ……」

『むしろラクト。あなた今まで何とも思ってなかったの……?』

 ため息交じりのシーファ。
 俺は……そうだな。

 確かに色んな精霊と契約すれば柔らかいおっぱい、形のいいおっぱい、肉付きのいいおっぱい、ちっぱい、色々なおっぱいが堪能できる――ってことしか考えられなかったことは黙っておこう。

「ともかくっ! そうなれば精霊術師の価値は今までと全く反転するわ。役立たずとされ世界の底にいる彼らは全てアーヴィング商会が回収する。どんな精霊たちとも契約が出来るように、みっちりしごいて基礎能力の全てを向上させる。そうやって多重属性魔法を使える精霊術師を各々の冒険者パーティーへ送り込めるようになれば、私たちの商路は国内だけに止まらないわ。世界を股に掛ける大きなビジネスチャンスなの!」

『世の中の全精霊が精霊術師に付くかと言われれば定かではないけれど、人間が考える策としては悪くはないわね』

「じゃあ交渉成立ね。アンタたちはここにいるクソ精霊たちの故郷であるユグドラシルを見つける。サラマンダーこの子のように魔力不足で消えかかっている他の精霊たちを護るために。おおいに結構。私の方に精霊の情報がまわってきたら、全てをアンタたちに渡すことを約束するわ。その代わり――アンタたちは何が何でもユグドラシルってのを見つけて精霊の消滅を食い止めなさい。それが出来なきゃ私の先行投資も全部無駄になるんだからね!」

 つっけんどんに言い放ちながら、ヴォルカは俺たちに白銀のカードを渡してきた。
 難しいことはよく分かんないが――!

「シーファみたいな綺麗な精霊ひっ捕まえて契約して、こいつらの目論見通り故郷見つけ手伝いながらウハウハライフ送ってりゃことだな!」

「ぜっんぜん分かってなさそうなんだけど!?」

 ともかくこうして俺――ラクトロード・アヴローラとヴォルカ・アーヴィングの商談は成立した。

「う゛ぁぁぁぁ……」

 気持ち良く寝そべるサラマンダーの声が、俺とヴォルカの口論のなかで小さく響き渡っていた。





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思ってた以上に小難しい話になってしまった……!
次回から『火の精霊』編を始めます!
是非読んで感想など頂けたら嬉しく思います!
よろしくお願いしますー!
 
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