佐藤さん、加藤くん

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走れ

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・・・

千凪くんにちょっかいを
出されてから、
玲奈ちゃんや竹坂くん、
翔ちゃんに加藤くんまで
私の近くにいてくれた。
一部始終を見ていた
佐々木くんも私によく
気にかけてくれた。
そのおかげか、しばらくの間
平和に過ごすことが出来た。
でも、その平和が壊れるのは
本当に一瞬だった。

ある日、私は先生に呼ばれて
職員室に行った帰りで、
運悪く千凪くんに出くわして
しまった。正確には、
待ち伏せしていた千凪くんに
捕まってしまったのだ。

「最近ひどいよ、花ちゃん。
ずっと俺のこと避けてる。」

「だって、千凪くんのこと
私好きじゃないもん。
玲奈ちゃんにひどいこと
ばっか言ってたし…
ちゃんと謝ってよ!」

私はそう言って力任せに
組まれた腕を振り払おうと
したけど、それが逆に
千凪くんの闘争心に火を
つけてしまったようだ。

「……花ちゃんさ、
そんなんで俺から逃げれる
とでも思ってんの?」

冷たく言い放った千凪くんは
私の口にネクタイを詰め、
そのまま何処かへと私を
連れていこうとした。
必死に助けを呼ぼうとした。
でも上手く叫べない。
だんだんと呼吸もしづらく
なってきて苦しくなる。
少しずつ瞼が閉じていく。
そのまま私は気を失った。
でも、完全に落ちる直前、
その一瞬に…




























・・・

佐藤さん遅いな…
職員室に行ったっきり
全然帰ってこない。
竹坂も月里も森近も、
佐藤さんの帰りが遅いことに
少し焦り始めている。
一体どうしたのだろうか。

「…佐藤さん遅いな」

「……そうだな…」

「その、もしかしたらの
話なんだけどさ」

「玲奈?」

「花、千凪と何かあって
こんな遅いんじゃないか?」

「…っ!!?」

絶句した。
皆の焦りと不安が確信へと
変わってしまったのだ。

「実を言うと、俺も
そんな気がしてた…」

「俺も…」

「僕もだよ…」

「やっぱりな…
私もだけど、お前ら何か
感じてる顔してたしさ…」

「…僕、見たんだけどさ」

森近が口を開いた。

「男子トイレの窓って、
職員室に続く渡り廊下が
見えるでしょ?
そこから見たんだけど、
千凪が渡り廊下のちょうど
校舎裏に繋がる扉の近くで
待ち伏せ…?してたんだ…」

確信は真実へと繋がった。
皆の目が見開かれる。

「そうか…教えてくれて
ありがとうな、翔太。」

「いや、でも…」

「もっと早く言えばとか
思ってんだろ?
でも最初っから佐藤さんに
何かあったんじゃないか
って予測出来た訳じゃ
ないんだし、しょうがない。
それよりも今言ってくれた
ことが大切なんだ。」

「晶…」

「…よし、それじゃあ、
今すぐにでも佐藤さんを
助けに行くぞ。」

「OK晶隊長!」

「じゃあ手分けしよう。
月里と森近が職員室近くと
渡り廊下の辺り、それで、
俺と竹坂が……校舎裏」

「いい案だな。乗った。」

「僕も賛成だよ。」

「じゃあ花を助けに
レッツゴーだ。」

「ありがとうな…
よし、行こう。」

そうして俺たちは教室から
飛び出し走り出した。
もう誰にも迷いはない。
千凪を見つけ次第、
容赦なくぶっ倒す。
そんで俺は佐藤さんに…
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