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第十話
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無情にも時間は進み、放課後になってしまった。教室を出る時、エリヴィラは「彼は裏門で待ち合わせしようと言っていたから、正門から帰れば良いのでは?」などと思っていたのだが……。
「来たか」
結局、裏門に行ってフィクトルと落ち合った。もしかしたら、フィクトルは何時間もエリヴィラを待ち続けるかもしれない。それは可哀想だろう。
「来てくれないかと思っていたよ。安心した」
「私が来なかったら、あなたはずっと私を待ち続けるでしょ?それは可哀想だと思ったのよ」
「そうだな。では、行くか」
フィクトルが微笑み、エリヴィラに手を差し伸べた。しかし、当のエリヴィラは「ひっ」と小さく悲鳴を上げ、後ずさる。
「な、なんで?!」
「何がな、なんで?!なんだ」
「その手よ!手を繋げって言うの?」
「はぁ……。デートなら手を繋ぐのは当然だろう」
やれやれといった様子でため息をつくフィクトル。
「そもそも、私とあなたは付き合ってないよね?それなのにデートっておかしくない?」
エリヴィラはデートに誘われた時から抱いていた疑問を口に出した。
「そうだな。だが、少しでも俺のことを意識してほしいんだ。俺は本当にエリヴィラのことが好きだから」
「は、恥ずかしいこと言わないでよ」
フィクトルがまっすぐに好意を表してくるので、エリヴィラはドキドキした。
「フィクトルってそんなキャラだった?!違うよね?!朝だって挨拶したら気まずそうに目を逸らしたでしょ?!」
「それはだな、エリヴィラがとても可愛く見えてつい顔を背けてしまったんだ。とにかく、行こう」
「行こうって言われても……。どこに行くつもりなの?」
エリヴィラの手を取ってフィクトルが歩き出した。彼の手は温かく、安心する。でも、どこに連行されるのか気が気でない。
「お前、音楽劇が好きだろ?一緒に観に行こう」
「そうだけど……。よく知ってるね、私の好きなものを」
「ああ。幼馴染だからな」
フィクトルが自信満々に言う。
エリヴィラは確かに音楽劇が好きで、両親によく連れて行ってもらっていた。フィクトルの家族と一緒に観劇したこともあるけど、彼に好きなことを知られていたとは思わなかった。
エリヴィラはフィクトルと手を繋いだまま、劇場に向かい、音楽劇を観た。
そして、その後学校の近くにある喫茶店へと入る。
「歌も演技もストーリーも素敵だったね!特に主人公とヒロインの声の相性が良くて、素敵なハーモニーを奏でていたの!もう一回行きたい!」
エリヴィラは観劇の感想をフィクトルに語った。
「満足してくれて良かったよ」
注文したコーヒーを飲みながら、フィクトルが顔を綻ばせた。
その時、
「あれ?エリヴィラじゃん」
と呼びかけられた。声がした方を見るとダヴィドが立っていた。どうやら、さっき喫茶店に入ってきてエリヴィラの姿を見かけて声をかけてきたようだ。
「来たか」
結局、裏門に行ってフィクトルと落ち合った。もしかしたら、フィクトルは何時間もエリヴィラを待ち続けるかもしれない。それは可哀想だろう。
「来てくれないかと思っていたよ。安心した」
「私が来なかったら、あなたはずっと私を待ち続けるでしょ?それは可哀想だと思ったのよ」
「そうだな。では、行くか」
フィクトルが微笑み、エリヴィラに手を差し伸べた。しかし、当のエリヴィラは「ひっ」と小さく悲鳴を上げ、後ずさる。
「な、なんで?!」
「何がな、なんで?!なんだ」
「その手よ!手を繋げって言うの?」
「はぁ……。デートなら手を繋ぐのは当然だろう」
やれやれといった様子でため息をつくフィクトル。
「そもそも、私とあなたは付き合ってないよね?それなのにデートっておかしくない?」
エリヴィラはデートに誘われた時から抱いていた疑問を口に出した。
「そうだな。だが、少しでも俺のことを意識してほしいんだ。俺は本当にエリヴィラのことが好きだから」
「は、恥ずかしいこと言わないでよ」
フィクトルがまっすぐに好意を表してくるので、エリヴィラはドキドキした。
「フィクトルってそんなキャラだった?!違うよね?!朝だって挨拶したら気まずそうに目を逸らしたでしょ?!」
「それはだな、エリヴィラがとても可愛く見えてつい顔を背けてしまったんだ。とにかく、行こう」
「行こうって言われても……。どこに行くつもりなの?」
エリヴィラの手を取ってフィクトルが歩き出した。彼の手は温かく、安心する。でも、どこに連行されるのか気が気でない。
「お前、音楽劇が好きだろ?一緒に観に行こう」
「そうだけど……。よく知ってるね、私の好きなものを」
「ああ。幼馴染だからな」
フィクトルが自信満々に言う。
エリヴィラは確かに音楽劇が好きで、両親によく連れて行ってもらっていた。フィクトルの家族と一緒に観劇したこともあるけど、彼に好きなことを知られていたとは思わなかった。
エリヴィラはフィクトルと手を繋いだまま、劇場に向かい、音楽劇を観た。
そして、その後学校の近くにある喫茶店へと入る。
「歌も演技もストーリーも素敵だったね!特に主人公とヒロインの声の相性が良くて、素敵なハーモニーを奏でていたの!もう一回行きたい!」
エリヴィラは観劇の感想をフィクトルに語った。
「満足してくれて良かったよ」
注文したコーヒーを飲みながら、フィクトルが顔を綻ばせた。
その時、
「あれ?エリヴィラじゃん」
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