最強のパーティーに所属してた僕ですが、義務教育のためSSSランクパーティーは一時的に解散します!

りう

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解散

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 アレンは上級索敵魔術、「魔力支配」を行った。魔力支配とは、自身の中にある魔力ではなく、空気中にある魔力をすべて制御し、それらの反応で索敵を行う。反応とは言っても、微妙なもので、とてつもなく集中していないと気付くのはほぼ不可能。なので使える者はごく限られている。
 アレンは目をつむり、空間中にあるすべての魔力を支配する。

「……いた」

 そして目を開く。

「いました。一番奥の部屋です。奥に隠し扉がありました。そこに魔王と思しき存在の反応があります」
「おし!行くか!」
「待って、ライズ!」

 勇んで歩き出したライズをアンジュがとめる。

「なんだよ!早く終わらせて帰ろーぜ!」
「何も作戦を建てず行くつもり?!あんたばか?死にたいの?」
「だったら、どうしろって言うんだ?魔術も大して効かない。物理耐性も高い。どうしようもないだろ!」

 アンジュは「確かに……」とつぶやき、バツが悪そうに下を向いた。

「皆さん、元気出してください」

 アレンが言った。

「そう言われてもな……」

 次はベルトルスが落ちこんだようにため息をつく。
 アレンは笑顔で言った。

「どうすればいいかは、ライズさんが当たってますよ」
「……は?」
「さ、早く行きましょう!さっさと倒しましょう!」
「……え?」

 アレンはさっさと歩き出した。

「えぇぇーー?!」

 三人はアレンを慌てて追いかけた

「ど、ど、どういうことだよ?!」
「そうよ!死んじゃう!」

 アレンは笑顔を崩さず言った。

「魔王に関してはほとんど情報は入ってきてないです。その場合、戦いながら弱点を探したほうがいいです」
「情報ならあるよ。魔術、物理両方の耐性が高いって!」
「いくらそんな魔王でも弱点はあるはずです。彼または彼女も生きていますから」
「そ、そうだけどさ……見つからなかったらどうするの?」
「見つけるまであらゆる手を尽くす。それだけです」
「……もう、分かったわよ」

 アレンは廊下の突き当りに行った。

「この奥です」
「……ここに、隠し扉が……?」
「はい」

 アレンは魔術を発動させた。
 あらゆる魔術を強制的に解除させる、「絶対強制解除」。
 すると白く塗られ、壁と同化していた扉が出てきた。
 アレンはそれを開け放つ。

「……ほぉ……俺の魔術を強制解除したか……やるな。小僧」

 そこには偉そうに足を組みながら話す魔王の姿があった。

「どうも」

 アレンは褒められ、嬉しそうにはにかむ。

「ちょ、アレン!何喜んでるの?あいつ敵よ!」
「え、だって、単純に嬉しかったから……」
「……アレンもまだ子供ね……」
「はい。まだ義務教育も始まってませんから」

 などと話す女性と子供。その他の男たちは。

「何、あれ、でかくね?」
「五メートルは、あるよな?でかい……」
「てか、単純に無理じゃね?」
「……分かる」

 怯えていた。

「はい!男ども!始めるよ!」
「お、おう!」
「りょ、りょ、了解!」

 アレンは弱点を見抜くため、いつにもなく集中していた。
 アンジュが魔人討伐のための毒を塗り込んだ矢を魔王に放つ。魔王の腕に刺さったが、効く様子はない。
「はぁ?!効かないの?魔王も一応魔人の類だよね!」

 そして次はライズが剣を人間の弱点の一つである脛を斬ってみた。

「硬!なんて硬さだ!お前岩か?」

 そしてベルトルスが槍を顔に向かって投げた。
 魔王は簡単に掴む。

「お主ら、他の雑魚とは違うようだな。高ランク冒険者か?」
「それを答えてやる筋合いはないな!」

 次はアレンが簡単な貫通魔術を試す。
 貫通魔術は、どんな硬いものでも貫通できる魔術という意味だ。

「……なっ……」

 貫通魔術は魔王の足に食い込んだが、貫通はしなかった。
 アレンは少し考え、爆発魔術を放った。
 魔王は少しのけぞった。
 アレンはそれを見逃さなかった。
 そしてまた爆発魔法を放とうとすると、魔王が体を大きく揺さぶった。
 魔王の体付近で戦っていた三人は吹き飛ばされる。

「みなさん!」

 アレンが叫び、即座に治癒魔術を施す。
 その隙に魔王はアレンに向かって魔術を放ってきた。

「アレン!」
「避けろ!俺たちのことはいいから!」

 悲痛な叫びを上げる大人たちにアレンは大人びた笑みを見せた。
 アレンは左手を掲げる。
 そして爆発魔法で魔王の魔術を防いでしまった。

「違う魔術の同時発動……?」
「そんなんできんのかよ……」
「やっぱりすごい……」

 そして治癒が終わると、アレンは三人に微笑みかけた。

「弱点見つけました。ここからは僕の出番のようです」

 三人は頷いた。
 本当は止めたくて仕方がないけど。誰よりもアレンの強さを知っているから、止められなかった。
 アレンは自身の魔力に上乗せして周囲の魔力を集め始めた。

「行くぞ!魔王!」

 そして全属性の爆発魔術を同時展開した。

 … … …

「あの後魔王は死んだけど屋敷の瓦礫が降ってきたじゃん!アレンはたしか
 に命の恩人だけど、あれは本当に危なかった!」

 アンジュが叫ぶ。

「まぁ、確かにな……」

 そして男達が食べているお肉を見る。

「ところでさ。このお肉、どこでとってきたの?ここに来るとき、こんなのなかったよね?」

 そしてライズがアンジュにお肉を投げて渡す。

「ほれ」

 アンジュはそれを食べてみた。

「あ、美味しい」

 ベルトルスはいたずらそうに笑った。

「それ、魔王の肉」

 アンジュは夢中で食べていたが、それを聞くと顔を青くした。

「ちょ!あんたら!それ、最初に言いなさいよ!私、魔王を食べてたじゃない!」
「いいじゃないか」

 アレンは苦笑いする。

「もしかして、アレンも関わっていたの?!アレン、一口も食べてないよね?」
「いえ。ただ、なんか嫌な予感がしたので」

 濡れ衣を着せられそうになり、アレンは潔白を主張する。

「ならいいんだけど」

 そしてなにかコソコソ話していた男たちが笑い始めた。

「ちょ、どこに笑う要素あったのさ!」
「お前、アレンに甘いな。もしかして……お前……」

 笑いをこらえながらベルトルスがそう言う。

「お、お前ら!いい加減にしろ!違うから!」
「ほんとに?」
「本当だって!魔人用の毒を塗った矢であんたらをぶち抜くわよ!」

 そこにアレンが言った。

「そういえば、魔人用の毒って人間にも効くんですかね?」

 アンジュは確かに、と頷いた。

「それはやったことないわね。……ここで今やってみる?」
「そ、それは勘弁!」
「悪かった、悪かったから!」

 アレンは楽しそうに笑った。

「そういや、魔人用の毒って、どうつくるんだ?」

 ライズが聞くと、アンジュはスラスラ答えた。

「まず、魔術で魔力を溜め込んだ水を出してもらう。次にその水を蒸発させると、そこに粉状の魔力が現れるの。そして外からバラとローズベリーを持ってきて、すりつぶしてそれらを一緒に混ぜる。そしてどろどろに溶かして終了」
「なんでバラとローズベリーなんだ?」

 というベルトルスの疑問にはアレンが答えた。

「実はバラとローズベリーには魔人の血にとっては毒である聖属性の魔力がたくさんあるんです。魔王にはあまり効かなかったので、魔王には聖属性の魔術は効きづらいようですが。普通の魔人には効果抜群です」
「バラとローズベリーは聖花だからな……」

 聖花とは神に祝福されたとされている花のことだ。バラとローズベリーはそのうちの代表的な花なのだ。

「やっぱアレンはすごいな。このことを思いついたのはアレンだろ?」
「ま、まぁ……」

 そしてアンジュがベルトルスに言った。

「そういえば。ベルトルスの実家って花屋だよね?」
「おう、そうだよ」
「最近どう?おばさんは元気?」

 SSSランクパーティーのみんなはベルトルスの母親には何回か会ったことがある。とても明るく、優しい女性だ。

「……あまり」

 表情を暗くしてベルトルスが言う。

「え?」

 アレンが首を傾げる。

「何かあったんですか?」
「ああ。……実は、俺、SSSランクパーティーを抜けようと思うんだ」
「え?」
「実はお袋、体調崩しちまって。代々の家業であった花屋を閉めることになったんだ。でも、やっぱ寂しくてな。俺が花屋を継ぐことにしたんだ」

 アレンはそれを聞いてると手をあげた。

「そういえば、僕も抜けなくちゃいけません」
「え?!アレンも?」
「はい。僕、来年から義務教育が始まるんです。なので……」
「そっか……時々忘れちゃうけどアレンってまだ十一なのよね……どこの学科に入るの?」
「魔術です」
「え?!アレンの実力じゃ、もう必要ないじゃない!」
「でも……もうちょっと展開のスピード早くしたいんですよね……」
「充分速いけど……まぁ、どこ行くかは自分次第だね」
「すみません」

 そしてライズとアンジュは考えた。

「二人だけか……厳しいな……」
「そうだね……二人だけじゃやっていけないよ」
「ああ」

 そしてライズはぱっと顔を上げた。

「よし、解散するか」 
「は?!」
「そうね」
「え?!」

 アレンたちパーティーを抜ける組が素っ頓狂な声を上げる。

「ちょ、ちょっと待ってください。解散って……」
「なに、一時的だよ。アレンの義務教育が終わって、ベルトルスの花屋が一区切りついたらまた再開する」
「私もしたいことあるしね」
「へえ……なにしたいんですか?」
「私ね、旅をしてみたいの!遠くの国にね、友達が住んでて、会いに行きたいのよ」
「そうなんですか」
「よし!今日からSSSランクパーティーは解散します!じゃあ、帰ろう!」

 ライズがそう言うと、アンジュが聞いた。

「ライズ、あんたは何をするつもりなの?」
「俺?俺は冒険者学園の剣術学科の講師をしたい!」
「まぁ、頑張って」

 そしてアレンが合図をするとみんながアレンのもとに集まった。

「じゃ、今日はもう遅いから明日冒険者ギルドに行って、解散の報告しよう。じゃ、アレン、頼んだ!」
「はい」

 そして移動魔術、「瞬間移動」で王国の王都に向かった。


 … … …

 そして次の日。
「なんですって?!」
 という女性の大声が小さな建物の中に響くことになった。
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