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波乱の入学試験(1)
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時は数時間戻る。
「アレンーー!」
12歳になったアレンが入学試験のため家を出ると、そこにはアンジュたち、元SSSランクパーティーのメンバーがいた。
「みなさん、おはようございます。わざわざ見送りなんて、いいのに」
「何言ってんのさ!私のアレンが試験を受けるんだよ?見送らなきゃ!」
すると男諸君は、
「あーあ、私のアレン、だってさ」
「かなり引くわーー」
とぼやいていた。
「なに?あんたら、何が言いたいのさ?聞いてやるから言ってみな?」
「なんで俺たちにはそう人が変わるのやら……」
「いや、二重人格なんだよ、あいつ」
「誰が二重人格だ!お前ら!」
「「アンジュ」」
「いい加減になさい!!」
いつも通りの三人。なんだかアレンは胸が暖かくなった。
いや、それより……
アレンは微笑みながら近寄り、声をかけた。
「もう、三人共、やめてくださいよ。ものすごーーく、目立ってますよ」
「「「あ」」」
周りがこちらをじろじろ見ている。
中には冒険者もいて。
「あの方々は、SSSランクなんだぞ」
「あら!すごいわね。あなたより何倍稼いでいるのかしら?」
「も、申し訳ないです……」
そしてその矛先はアレンに向く。
「あの坊やは?」
「あーー……」
アレンはその人の方をみて、にっこり笑う。
目があった冒険者は顔を真っ青をしながら奥さんらしき女性に言う。
「い、いや、冒険者じゃないと思うよ!だって、ほら。まだ10歳くらいに見えるだろ?」
「そうね。じゃあ、なんであの人たちはあの坊やを気にかけるわけ?」
「多分あれだよ!任務で助けた子なんじゃないかな?そしてその子が義務教育が始まるとか、そういう祝福のときなんだよ!きっと!」
「あら!そうなの」
そして微笑ましそうにアレンをみる。
アレンは冒険者の方を見てわずかに頭を下げる。
冒険者の人は作り笑いで高速で頷く。
「みなさん、ありがとうございます。頑張りますね」
「ううん!アレンのことだかららくらく合格するよ!頑張れ!」
「それはアンジュに同感。頑張れよ!アンジュのアレン」
「応援してる!俺も休みがあったらたまに遊びに行くよ」
アレンは笑みを崩さず言った。
「ありがとうございます。頑張りますね。あと、僕はアンジュさんの所有物ではありませんよ?ぜひ遊びに来てください。楽しみです」
「ちょっと!アレン!誰も所有物とは言ってないじゃない!」
「ドンマイだな。アンジュ」
「否定されたな」
「だから違うって!!」
相変わらず賑やかな三人。
「じゃ、行ってきます」
アレンがあるき出すと、3人は喧嘩をやめ、手を振ってきた。
「「「いってらっしゃーい!」」」
(朝から嬉しいことが起きるな……でも、それが長続きするとは思えないな。もしかして、落ちちゃったりして!うわーー……最悪)
そんなことを考えてしまい、上がりかけていた気持ちが下がる。
少々どんよりした気持ちで試験会場に向かった。
… … …
「目立つな……」
目立たないため普段着で来たのだが、余計目立ってしまった。
なので絡まれないようにするため、魔術で気配を消す。
難なく校舎の入口に着く。そして何やらキョロキョロしている受付の女性のところへ行き、魔術を解く。
「うわぁ!!……はぁーー……びっくりした……どこから現れました?」
受付の人の大声で余計目立った。
「いえ、入口から入りましたけど……驚かせてしまったようですみません。僕、こんな恰好なので、目立たないように、と思いまして……」
「そうですか……では冒険者学生カードを」
アレンは首を傾げる。
「何ですか?それ」
「え?」
「冒険者学生カードです。冒険者見習いの身分証明書です。まだ冒険者になっていないはずなので……冒険者学園に入ろうをしている皆さんに配られるんです。受験票をお送りした際、同封してあったはずですが……」
アレンは受験票が入っていた封筒を出す。そして中を見る。
「何も入っていませんでした。受験票以外には」
「そんな、ありえないですよ……学生カードがないなんて……何回も確認しましたから。……あ、一人、同封するな、という受験生がいましたね……たしか、お名前が、アレン、という子でした。もしかして、あなた……」
「アレンです」
「あら、あなたが!なら、どうぞ入ってください!」
「あ!ありがとうございます!」
アレンは笑顔で頭を下げた。
そして、校舎内に入る。
(なんかごたごたがあったけど、なんとか切り抜けられた。もしかして、あの人、僕のこと、知ってるのかな……?すごい魔力だったな)
… … …
受付の女性、ラーナ・クロディウルは、アレンが歩いていった方向を見ていた。
ラーナは、Aランクの魔術師。いくらSSSランクとはいえ、あまり実力差はないだろう、と思っていた。
しかし、それは間違いだった。最初、アレンが現れたとき、ラーナは全く気付かなかった。侵入者が入らないようにしっかり警戒をしていたのだ。なのに。
冒険者の頂点、SSSランク。それを集めた国を守る最強集団、SSSランクパーティー。
ラーナが冒険者になってすでに10年。ずっと夢見てきたSSSランク。しかしいまだになれない。
アレンが冒険者になったのはわずか2年前。彼は半年でSSSランクパーティーの一員に上り詰めた。しかも、その中で最強、と言われるほどにも。
才能が違う。
彼を見たとき、ぞっとした。魔力は抑え込んでいるらしいが、この膨大さ故に雰囲気が変わっていた。なんというか、とてつもなく大きな何か。意図せずとも、それを感じられた。
そんな彼の前では、自分などちっぽけに過ぎない。それを痛いほど痛感した。
(私、馬鹿すぎでしょ)
多分自分は、自分の中で自分を誇張していたのだろう。それが恥ずかしくなってくる。
「あの、これ、冒険者学生カードです」
次に来た受験生がラーナにそう声をかけるまで、ラーナは自分に自嘲していた。
「アレンーー!」
12歳になったアレンが入学試験のため家を出ると、そこにはアンジュたち、元SSSランクパーティーのメンバーがいた。
「みなさん、おはようございます。わざわざ見送りなんて、いいのに」
「何言ってんのさ!私のアレンが試験を受けるんだよ?見送らなきゃ!」
すると男諸君は、
「あーあ、私のアレン、だってさ」
「かなり引くわーー」
とぼやいていた。
「なに?あんたら、何が言いたいのさ?聞いてやるから言ってみな?」
「なんで俺たちにはそう人が変わるのやら……」
「いや、二重人格なんだよ、あいつ」
「誰が二重人格だ!お前ら!」
「「アンジュ」」
「いい加減になさい!!」
いつも通りの三人。なんだかアレンは胸が暖かくなった。
いや、それより……
アレンは微笑みながら近寄り、声をかけた。
「もう、三人共、やめてくださいよ。ものすごーーく、目立ってますよ」
「「「あ」」」
周りがこちらをじろじろ見ている。
中には冒険者もいて。
「あの方々は、SSSランクなんだぞ」
「あら!すごいわね。あなたより何倍稼いでいるのかしら?」
「も、申し訳ないです……」
そしてその矛先はアレンに向く。
「あの坊やは?」
「あーー……」
アレンはその人の方をみて、にっこり笑う。
目があった冒険者は顔を真っ青をしながら奥さんらしき女性に言う。
「い、いや、冒険者じゃないと思うよ!だって、ほら。まだ10歳くらいに見えるだろ?」
「そうね。じゃあ、なんであの人たちはあの坊やを気にかけるわけ?」
「多分あれだよ!任務で助けた子なんじゃないかな?そしてその子が義務教育が始まるとか、そういう祝福のときなんだよ!きっと!」
「あら!そうなの」
そして微笑ましそうにアレンをみる。
アレンは冒険者の方を見てわずかに頭を下げる。
冒険者の人は作り笑いで高速で頷く。
「みなさん、ありがとうございます。頑張りますね」
「ううん!アレンのことだかららくらく合格するよ!頑張れ!」
「それはアンジュに同感。頑張れよ!アンジュのアレン」
「応援してる!俺も休みがあったらたまに遊びに行くよ」
アレンは笑みを崩さず言った。
「ありがとうございます。頑張りますね。あと、僕はアンジュさんの所有物ではありませんよ?ぜひ遊びに来てください。楽しみです」
「ちょっと!アレン!誰も所有物とは言ってないじゃない!」
「ドンマイだな。アンジュ」
「否定されたな」
「だから違うって!!」
相変わらず賑やかな三人。
「じゃ、行ってきます」
アレンがあるき出すと、3人は喧嘩をやめ、手を振ってきた。
「「「いってらっしゃーい!」」」
(朝から嬉しいことが起きるな……でも、それが長続きするとは思えないな。もしかして、落ちちゃったりして!うわーー……最悪)
そんなことを考えてしまい、上がりかけていた気持ちが下がる。
少々どんよりした気持ちで試験会場に向かった。
… … …
「目立つな……」
目立たないため普段着で来たのだが、余計目立ってしまった。
なので絡まれないようにするため、魔術で気配を消す。
難なく校舎の入口に着く。そして何やらキョロキョロしている受付の女性のところへ行き、魔術を解く。
「うわぁ!!……はぁーー……びっくりした……どこから現れました?」
受付の人の大声で余計目立った。
「いえ、入口から入りましたけど……驚かせてしまったようですみません。僕、こんな恰好なので、目立たないように、と思いまして……」
「そうですか……では冒険者学生カードを」
アレンは首を傾げる。
「何ですか?それ」
「え?」
「冒険者学生カードです。冒険者見習いの身分証明書です。まだ冒険者になっていないはずなので……冒険者学園に入ろうをしている皆さんに配られるんです。受験票をお送りした際、同封してあったはずですが……」
アレンは受験票が入っていた封筒を出す。そして中を見る。
「何も入っていませんでした。受験票以外には」
「そんな、ありえないですよ……学生カードがないなんて……何回も確認しましたから。……あ、一人、同封するな、という受験生がいましたね……たしか、お名前が、アレン、という子でした。もしかして、あなた……」
「アレンです」
「あら、あなたが!なら、どうぞ入ってください!」
「あ!ありがとうございます!」
アレンは笑顔で頭を下げた。
そして、校舎内に入る。
(なんかごたごたがあったけど、なんとか切り抜けられた。もしかして、あの人、僕のこと、知ってるのかな……?すごい魔力だったな)
… … …
受付の女性、ラーナ・クロディウルは、アレンが歩いていった方向を見ていた。
ラーナは、Aランクの魔術師。いくらSSSランクとはいえ、あまり実力差はないだろう、と思っていた。
しかし、それは間違いだった。最初、アレンが現れたとき、ラーナは全く気付かなかった。侵入者が入らないようにしっかり警戒をしていたのだ。なのに。
冒険者の頂点、SSSランク。それを集めた国を守る最強集団、SSSランクパーティー。
ラーナが冒険者になってすでに10年。ずっと夢見てきたSSSランク。しかしいまだになれない。
アレンが冒険者になったのはわずか2年前。彼は半年でSSSランクパーティーの一員に上り詰めた。しかも、その中で最強、と言われるほどにも。
才能が違う。
彼を見たとき、ぞっとした。魔力は抑え込んでいるらしいが、この膨大さ故に雰囲気が変わっていた。なんというか、とてつもなく大きな何か。意図せずとも、それを感じられた。
そんな彼の前では、自分などちっぽけに過ぎない。それを痛いほど痛感した。
(私、馬鹿すぎでしょ)
多分自分は、自分の中で自分を誇張していたのだろう。それが恥ずかしくなってくる。
「あの、これ、冒険者学生カードです」
次に来た受験生がラーナにそう声をかけるまで、ラーナは自分に自嘲していた。
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