最強暗殺者は落ちこぼれ学園生

りう

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十一話

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真夜中。大きい部屋にたった二人がいる。
「あの女から報告が来ました。恐らく、気づいたようです」
「……そう」
「どうしますか?計画が狂いましたよ」
優し気な男性が言う。
「いや、パウエル子爵。まだ最終手段が残っている」
「最終手段、とは?」
「簡単だ。生徒たちを使う。私の協力してくれるいい子たちが結構いるんだ」
「それは校長として、どうなのですか、ローガン校長」
「私は私以外のことはどうでもいいのだ」
「あなたならそういうと思っていましたよ」
「どうすると?」
「個々の力で勝てないのなら数で勝てばいいのだ」
「恐らく陛下にばれますよ」
男性はそのことを想像したのか、小さく身震いをする。
「首が跳ねますよ」
「ばれても、脅せばいい」
すらりという主に男性は眉をひそめる。
「……陛下を、脅す?」
「ああ。あの子供を陥れられるのなら、何でもやるさ」
主はそうにやりと笑った。
「あの子供が死ぬところを見るのは、見ものだぞ?」





朝。
レアンはいつもより数時間早く起きた。外はまだ暗い。
レアンは深く深呼吸をする。
「今日から先生と対決、か……」

昨日のうちに覚悟は決めていたはずだが、今更覚悟が決まらなくなっている。
「……もう、こんなんだから、ダメなんだよなあ……僕」
一度決めたことを貫けない。暗殺者にとって、致命傷だ。
なぜか「最強」と言われているが、レアン自身にしてみればまだまだなのだ。精神面が。
「決めたんだから、もう悩まない!!」
自分にそう言い聞かせ、頬を二回たたき、
「よし!」
わざとらしくそう言い、外に出ようとした、が。
外に多数の気配を感じた。
気を付けながらドアを開ける。
……と同時に爆発。
どおおおん!
レアンの部屋が崩れ落ちる。
騒ぎを聞きつけた生徒たちが出てくる。そして、崩れ落ちた部屋の入り口付近には、レアンが立っている。
そのレアンの周りにを透明な四角い箱がかこっている。
「レアン⁈何があった?」
「レアンくん⁈」
ディランとフローラが叫んだ。
そのほかのみんなはというと、このような状態で普通に立っているレアンに仰天していたり
「襲われたんだよ。ここにいる半数以上のやつに。ね」
ざわめく廊下。
レアンは言った。
「首謀者は……ハンナ・ローガンだな?」
襲ってきた生徒たちはレアンを睨み、それ以外の生徒たちは唖然としている。
無理もないだろう。この学校でのハンナ・ローガンは生徒たちにやさしく、また厳しいといわれ、大人気なのだ。
襲った生徒たちの中にはタイラーもいた。

「ねえ、タイラー。なんで襲ったのか、教えてもらえるかな」
「それはできねえな!」
襲ってくる。レアンはそれを軽くいなす。
レアンの目は細められ、鋭い光を帯びている。体からはとんでもないほどの威圧が出ていた。
ディランは直感で思った。
レアンが激怒している。
いつも優しくて落ち着いているあのレアンが。
いつも落ちこぼれ役をして、虐げられることにも耐えて見せたレアンが。
感情に任せて激怒している。
「ハンナはどこだ」
レアンがタイラーにそういうと、廊下の奥で返事が聞こえた。
「呼びましたか?レアンくん」
その声の主は、ハンナ・ローガン。
レアンを陥れようとした、首謀者。
そして。
「……え?」
フローラが声を出した。
そこにいたのは。
「やあ、久しぶり、フローラ」
フローラの父、ジューダ・パウエル。
「なん、で……」
そういうフローラの声は大きく震えていた。

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