最強暗殺者は落ちこぼれ学園生

りう

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十二話

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「ハンナ・ローガン。なんでこんなことをしたのか教えてもらおうか」
ハンナはニコリと笑う。
「あらあら、心外ですねぇ……。当たり前でしょう、あなたが最強の魔術師なのが気に食わないからですよ」
スラスラと生徒の秘密をばらした校長は、もう校長の顔ではなかった。
自分より強い者を陥れ、最強の名を欲しがる、ただの「暗殺者」だった。
「レアンくんが……最強……」
「……え?何を言っているの……?」
「だって最強の魔術師って……」
ーー闇の魔術師
不意にある女子生徒がハンナに言った。
「先生、こんなこと、やめてください!」
するとハンナが笑みを消したかと思うと、姿が消えた。
その直後。
ガギィン!!
その生徒のすぐ前に、料理に使う包丁を持ったレアンと鋭い短剣を持ったハンナがいた。
「お前、生徒に刃物を向けるなんて、先生失格だな」
「あら?私、先生をしてたなんて考えたこともなかったのよ。だって、この世界、私が良ければそれでいいの。だから私を非難したこの子を殺すのよ。あなたも、そうでしょう、闇の暗殺者さん?」
「前はそうだったが、今は違う。何よりの友達ができたからな」
「あら、そんなんじゃ、暗殺者失格ですよ?」
お互い刃物を持ちながらそんな話をする、魔術師二人。
そんな中、レアンが後ろに向かって言った。
「お名前は失念してしまいましたが、子爵。不意打ちとは、汚いのでは?」
するとすぐ後ろから返事が聞こえた。
「おや、バレてしまいましたか」
「はい。あなたは魔術師ではありませんね?」
「ええ。私は……剣士です」
魔術師と相性が一番悪いのは剣士。そしてまた、その逆もある。剣士と一番相性が悪いのは、魔術師。魔法が遠隔攻撃なのに対して剣士は近距離攻撃。全く逆なのだ。
そんなことは誰でも知っているので、生徒の半分は息を呑み、もう半分は安堵のため息をついた。
「いや、安心されているところ申し訳ないのですが、私、魔法も使えるのです」
「やっぱりか……」
ニヤニヤ勝ち誇ったように笑う子爵。
レアンは無表情だ。
みんなは一斉に顔色を青ざめた。
「両方使えるって……」
「そ、そんな……」
レアンは普通に返す。
「そうですか、ならこっちも」
そして子爵に背中を向け、瓦礫の中から何かを取り出した。
細長いものが、布でくるまれているようだ。
レアンは子爵に向き合い、布をとった。
そこにはシンプルだが、かなりの業物の、ひとふりの剣。
「こっちも剣を使いましょう」
「な、何……?」
魔術師が剣を持つことはほとんどない。
遠隔攻撃なのに近距離戦をする意味はないからだ。
しかしなかにはいるのだ。
遠距離だけではなく近距離もできるようになったほうがいいと思う人が。
しかしそれはほとんどいない。
レアンくらいだろう。 
レアンは周りを見ていった。
「ここじゃ危険です。広いところに移りましょう」
子爵はハンナを見る。
ハンナは少し顔を引つらせていたが頷く。
そしてレアンは後ろを向き、歩き始める。
子爵はその背中めがけて剣を振ろうとしたが、できなかった。
今叩きこめば返り討ちにされる、そう直感したからだ。
後ろにみんながついてくるが、レアンは何も言わなかった。


しばらく歩き、着いたのは日々みんなが訓練をしている訓練場。
「さぁ、ここでやりましょう」
レアンが言った。
「そうですか」
レアンは 遠くで自分を見ているハンナを見ながら 子爵 に言った。
「では、こうしませんか?僕は剣を、あなたは魔法を使い、戦う。どうですか?」
すると、子爵は頷いた。 
「いいだろう」
そしてレアンは客席で怒った顔のタイラーを見てにっこり笑った。
タイラーはその笑顔を見た途端、背筋が凍った感じがした。
そしてディランとフローラを見て優しく笑う。
二人は同時に頷く。
「さぁ、始めましょう、子爵。僕は暇じゃないので。早くしないと」
「……そうですか。あいにく私も多忙の身なので」
そして二人は真顔になる。
その二人の顔は、まさに「暗殺者」だった
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