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本編 ─羽ばたき─
永久※
しおりを挟む肌に張りつく湿った空間に、のぼせるほどの熱気の中、水が溢れる音がする。湯船が揺れて、浴槽から流れる度に上がる少女の艶かしい声が、男の耳を喜ばせていた。向かい合わせの状態で男は少女の腰を掴み、少女は男の肩に腕を回し、湯の中で二人の結合部は淫らに蠢いている。
「あっあっあっ……あぁ……うぅ……」
「好きなところはココか? それともココか?」
「あぁっ! だめ、また……あっ!」
一点を強く突き上げた男の動きに果て、少女は声もなく仰け反った。胎内に埋まる太い楔を根元から包み、果てと同じくして子種を迎えようと食い締めて震えた。
「孕め……!」
ギチギチと収まった膣内で、うねりと昂りを感じながら男も吐精する。少女の奥の大切な子宮まで流し込もうと深く密着させ、零れるのを惜しんでは細腰を掴む手に更に力を入れて沈ませる。今度こそ少女に届くように、実を結ぶようにと願いながら口づける。
息を切らして肩を上下させる少女は、のぼせきった真っ赤な身体に蕩けた表情で男に撓垂れかかった。未だ湯船はまぐわいの余韻に波を立て、ゆらゆらと少女の細い髪を浚う。
「あつ、い……きもち……いい……」
熱を孕んだ吐息混じりの掠れた声が男の耳を擽る。朱に染め上げられた頬に己の頬を優しく愛おしげに擦り寄せれば、少女もそれに応えて嬉しそうな声を出す。情交の余熱に酔う少女の背に触れてみればピクリと震え、うなじから腰まで手を這わせてみればその微かな刺激でも小さな身体は面白いように反応した。
「悦かったか? 小毬」
聞かずとも分かりきっている。それでも、少女の口から言葉が零れるのを望む。
「はぁ……はぁ……ぁ、はい……烏京さま……」
「“ご主人様”ではなかったのか」
「……っ、だって……」
鼻が触れ合うほどの至近距離で男の瞳に縛られる。互いの熱い吐息を吸いながら冷めやらぬ気持ちを少女は吐露する。恥ずかしげに伏せられた長い睫毛がしっとりと露に彩られ、男の目に扇情的に映った。
「名前で……呼びたくて……」
「……っ、この……」
苛立たしげに顔を歪めた男は少女からの控えめな甘えによって鎮まりかけていた身を再び昂らせた。興奮した身体をどうしてくれようかと少女にぶつける。
「ひぁっ!? 中……大きく……」
「お前が悪い。責任は取ってもらう」
男は少女を抱き抱えて湯から上がり、逸る気持ちで乱暴に露を拭うと、楔が埋まったまま寝室へと歩き出した。熱を取り戻した少女の秘部からは愛液が落ち、男を伝う。
「烏京さまっ……」
赤に色づいた乳房を手中に収め、寝台横に設えた台の水瓶に手を伸ばして中身を口に含み、喘ぎを洩らした少女に口移しで水を与える。
胸に訪れた感覚に喘ぎを洩らし、弄られ、揉まれ……胸に広がる痺れとも似た感覚に生理的な涙を溢しつつ、少女は繰り返される給水にやっと喉の乾きを潤した。身体に水を取り込んで落ち着いた少女を見やりながら男も水を飲み下す。
口の端から零れた一筋を手の甲で拭いながら身を屈めれば、その拍子にわずかに抜けた楔の摩擦で胎内が引き留めるように締まった。双丘を弄びながら顔を寄せれば果実は膨れ、蒼い瞳に視姦されて震えた。
「赤くて旨そうだ。俺の為だろう?」
喋る度に唇が当たるよう咥える寸前までいき、嗤う。どうしたら少女が発情して自分を求めるか。何よりも簡単に分かる。
湯浴みで散々、弄ばれた果実を責められれば鎮まりかけていた甘い痺れが少女に行き渡った。口に含まれ吸われて包まれて、優しく慈しまれながら愛撫される感覚に少女は啼く。もう、男に知らないことなど無い。身体の全てを握られ、掌の上で転がされて……。
「まだ夜は長い。甘えてもらうぞ」
──グチュッ
「あぁっ!」
膣の浅いところを擦っていた男の怒張が一息に奥深くまで沈み、蜜の伝い落ちる流れと共に激しく律動を始めた。
「いつもいつも……お前は俺を煽ってくる」
「そんなっ、こと……」
肌と肌のぶつかる音に寝台の軋みと愛液の飛ぶ感触。何度、味わってもまた次をと離れられなくなる。白く柔らかい身体を組み敷いて、この美しい少女を自分だけが、この先ずっと堪能出来ると……思う存分に貪る男に恍惚とした笑みが浮かんだ。
ゆさゆさ揺れる美しい双丘の光景と下半身の強烈な締めつけに、とろとろと蜜にまみれて溶けてしまいそうになる。少女でなければ、もう駄目なのだ。
「他の男を咥え込むなよ。俺のモノだ。分かっているな?」
「んぁっ、はぃ……ぁ……はい……」
「ほら、出すから全て呑め」
「ふぁ……あぁぁぁぁっ……!」
熱の奔流に身を晒し、甘い濁流に任せるがまま、男も少女も同時に果てた。残滓の一滴すらも植えつけようと打つ腰に少女の脚が絡む。まだ快感を逃しきれていない秘部と子宮に男からの重い打ちつけが響き、堪らず脚に力が籠った。
「俺の小毬はまだ足りないようだな。そんなに俺の子種が欲しいのなら、もっとくれてやろう」
「や、ぁ……まってぇ……」
「遠慮するな。沢山、出して悪いことはない。多いほど孕み易いだろう」
「烏京さまっ、烏京さ……あぁぁ……!」
伝えたい言葉はまだ先で、今は行動で以て少女を安心させてやりたい。真砂に宣言した通り、男は明朝まで少女を抱き潰し、濃厚な愛を注いだ。
やっと膣から抜き去った時には少女の意識はそこに在らず、珠のように肌に煌めく汗が朝の光に照らされた。白い滑らかな素肌に赤く散りばめられた痕。吸われ、ねぶられ続けた乳首と秘部の真珠は尖ったまま。汗を拭く布が触れる度に可愛らしい声が洩れてくる。眠ったままでも感じてしまう、淫らに作り替えた身体を男は宝物のようにそっと抱き締め、唇を合わせた。
────────────
幾日か過ぎ、少女は狩りから戻った男をいつも通り出迎えた。杞憂に終わるだけの怪我の確認も少女は毎度、怠らない。
自身の身体に触れてくる少女を見下ろし、男はすぐさま異変に気づく。
「小毬」
呼ばれて上がった顔は不思議そうにしていたが、次には男の言わんとしていることを悟り、悲しく変わった。少女から漂うのは血の気配。傷ではなく、実が結ばれなかった証。
「……赤ちゃん、まだ……」
男は悲しげに言う少女の身体がより小さくなったように感じ、その細い肩に手を置いた。
「それは、まだお前を抱き潰せるということだな?」
「なっ……!?」
「子が出来れば好きに交われないだろう。まだ俺だけの小毬だ。啼いても叫んでも止めない」
落胆するどころか浮き立った様子の男に少女は恥じらいの表情を向けた。何か言いたげに口を動かすも、きゅっと目を瞑っては完全に口を閉ざした。
「気持ち悦いのは好きだろう?」
少女の真っ赤になった耳を指先でなぞり、黒髪を梳く。
「月の血が終わったら、また愉しませてやる」
「──っ! 烏京さま……!」
「孕んだら優しくする。それまでは存分に啼かせてグチャグチャにしてやるからな」
反論は許さない。
言葉を紡ごうと開きかけた少女の口を塞ぎ、しっかり抱き締めた。子が出来れば少女を自分のモノだと大々的に知らしめる確固たる立場に在れるのだが、そんな道具のように利用するだけではない。少女の子は大切だ。
だが、例え実らなかったとしても少女が愛しいことに変わりはない。何年、何十年と月日が経とうとも、いつまでも子が孕めなくとも、ずっと……。
「ずっと一緒だ。小毬」
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