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本編
トラブルは事件のはじまり
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ここは洗濯ものを干すためだけの広大な空き地で、ひと気は残念ながら全くない。
二人は無言で目を合わせ、発見してしまった責任を押し付け合う。そしてどちらが注意に行くかを。
とはいえ、彼らと少なからず面識があるのはナナセの方だ。勝負はあっさりと決着し、ため息をついて歩き出した。
「あと少しで終わるし、こっちの仕事は心配しないで。タオルも洗って返すわ」
「タオルは別にいいけど、侍女長への業務報告だけお願い。あと、王女殿下方を見つけたこともね」
侍女長エビータのリリスターシェへの愛情は深い。今頃必死で捜しているだろう。
了承代わりに軽く手を振るエレミアと別れ、しばらくは三人の子ども達のあとをついていってみる。
城壁の外とを繋ぐ通用門が近付いてきたところで、木陰に停まった幌馬車が見えてきた。こそこそと忍び歩いていた彼らは、一直線にその馬車を目指している。
――さすが王族……幼いとはいえ、何て用意周到な……。
ヴァンルートス失踪騒ぎも子どもとは思えぬ計画性と実行力が引き起こしたことだったが、呆れるやら感心するやら。
まさか荷運び用の幌馬車に王族が乗っているとは思うまい。
本当によく練られた計画だ。
ナナセは城壁を越える前にと、彼らを呼び止めた。
「何をしていらっしゃるのですか?」
幌馬車に乗り込もうとしていた三つの背中が、ギクリと強ばった。
ぎこちなく振り返る彼らに、ナナセはことさらニッコリ微笑んだ。
「ナナセ……」
「奇遇でごさいますね、殿下方。どのようなご用事で、わざわざ王宮の片隅に?」
「その……」
「それに、そちらのお召しものはどうしたのですか? よくお似合いですが、まるで商家のお子さまのようではありませんか」
「うぅ……」
必死に言い繕おうとするリリスターシェの肩を、ヴァンルートスが叩いた。
「今日のところは潔く諦めよう。ナナセ殿のことだから、既に陛下方に連絡しているかもしれない」
「けれどわたくし、あなたに王都の素晴らしさを知ってほしくて……」
「いいんだ。今度はこっそり抜け出すのではなく、正々堂々と陛下方にお願いしよう。その時は君も手伝ってくれるかな、リリィ?」
「ヴァン……もちろんよ」
一体何を見せられているのだろう。
手を握り合う二人は天使のように麗しいが、完全な悪者扱いに心が挫けそうだ。
無我の境地になっていたナナセは、背後から近付く気配に気付かなかった。
突然背中を強く押されたかと思えば、馬車の荷台に中に転がり込んでしまう。
「いったぁ……」
強かに打った膝を撫でながら振り向くと、ベルトラートが得意げに笑っていた。
いたずらが成功したと言わんばかりに、とびきりの笑顔だ。
どうやらリリスターシェ達に気を取られている内に、背後をとられていたらしい。
「なっ……!」
木板の床にへたり込んでいたナナセが立ち上がろうとした瞬間、視界が暗転した。
素早く荷台に乗り込んだ子ども達が、幌をかけたのだ。
ベルトラートが御者席に向けて命令する。
「出せ!」
「ですが……」
「いいから、早く!」
困惑する御者だったが、ゆっくりと馬車が動き出したということは従ったのだろう。相手はこの国の王子なので当然といえる。
とはいえ、ナナセは慌てていなかった。
通用門には必ず兵士が立っている。そこで荷をあらためるはずだし、最悪ナナセが大声を上げさえすれば計画は終了だ。
戻ったら侍女長にこってり絞られてもらおう。そんなことを考える余裕すらあった。首筋に、鋭く冷たい何かが触れるまでは。
「――声を出すな」
低い声だった。王子達ではあり得ない、成人した男性の鋭い声。
何が起きたのか分からなかった。
それはリリスターシェ達も同様のようで、困惑の気配が伝わってくる。
再び暗闇に、男性の声が響いた。
「ガキ共も、一切口を利くんじゃねぇぞ。何か一言でも喋ったり動いたりした瞬間、この女を殺す。その次はお前らだ。さて、助けが入るまでに何人生き残れるかな?」
薄気味の悪い、笑い混じりの脅迫。それだけにどう出るか判断がつかない。
失踪騒ぎの時、陰謀だの誘拐だのという意見が出ていたことを、ナナセはどこかで軽視していた。
死を遠く感じるほど安全な現代を生きていたから、子どもがいなくなっただけで大騒ぎする者達を滑稽に思う部分もあったのだ。
全然分かっていなかったから。
ここは異世界。
日本にいた時と同じ価値観でいれば、足をすくわれることがあるのだと。
首筋に触れる何かをようやく意識する。
分からない。何も分からないが……これは十中八九刃物だろう。
理解した瞬間、どっと汗が噴き出した。
心臓が張り裂けそうなほど激しく脈打ち、呼吸が乱れる。すぐ隣に死がある。
暗闇の中、男性というかたちで。ナイフというかたちで。
あまりにも無造作に、冷たい死を突き付けられていた。
「計画が少しばかり変わっちまったが、まぁいい。悪いがあんたにゃ、地獄の果てまで付き合ってもらうぜ」
気配なく荷台に潜んでいた男性は、ナナセの間の悪さを嘲笑う。
頭は働かないが、他者を殺すことに何の罪悪感も抱いていないことだけは分かった。
御者も共犯だろうか。ナナセもだが、王族の命が脅かされる可能性はあるのか。王宮内部に共犯は?
疑問が次々頭をめぐるが、今はどうすることもできない。
ただ男性の命令に従い、沈黙を守る。
子ども達が騒がないのも幸いだった。
恐ろしいだろうに、同じ年頃の者達と比べても断然胆が据わっている。
喉元にナイフを突き付けられたまま、気詰まりな時間が過ぎた。
馬車が停車して、御者と兵士が親しげに笑い合う声が聞こえてくる。
元々王宮を出入りしていた人物のようだ。
兵士と顔見知りで、通行証も所持している。だからこそ、あっさりと検問を通過してしまった。
せめて荷物をあらためてくれればとため息が出そうになるが、それも当然だった。王宮に入る際に一度チェックしているのだから、帰りは警戒も緩む。まさか幌馬車に王族が乗っているとは思うまい。
リリスターシェ達は、こっそりと王宮を抜け出すつもりだった。それを逆手にとられたかたちだ。
王宮を離れた頃、再び馬車が停まった。
御者の男が幌を上げ、荷台に上がり込んでくる。荷台に潜んでいた男に悪態をつきながら、ナナセ達をきっちり拘束した。
抵抗を防ぐため、その間もナナセはナイフを突き付けられたままだった。
麻縄で両手と両足首を縛り上げられると、男とナイフがようやく離れていく。
「はぁ、窮屈で死にそうだったぜ」
垢じみた服を着た男は、ひどく鋭い目付きをしていた。蛇のように温度のない目で見据えられただけで、萎縮してしまいそうだ。
「この辺りに民家はないから、助けを求められると思うなよ。まぁ、騒いだって殺すだけだけどな」
頭を小突かれた拍子に帽子が外れた。
流れ落ちた髪を、男が乱暴に鷲掴む。
強引に顎を上げさせられ、間近から顔を覗き込まれた。
「へぇ、この国じゃ珍しい色味だな。これならそこそこの値段で売れるんじゃねえの」
恐ろしくて恐ろしくて、声にならない悲鳴が喉をすり抜ける。直視さえできず必死に目を逸らした。
ナナセが怯える姿を鼻で笑うと、男は興味を失った様子で顎を離した。
男が御者席に回ったので、再び馬車が動き出した時には荷台にナナセ達だけとなった。
幸い、猿ぐつわまではされていない。ナナセはそろりと口を開いた。
「……殿下方、大丈夫ですか?」
車輪の音に掻き消されそうな声音で問うと、腹部に何かがぶつかる。暗がりでよく分からないが、花のような香りと頬に触れる髪の感触でリリスターシェと分かった。
「ナナセ、あなたこそ大丈夫? あんな乱暴なことをされて恐ろしかったでしょう」
「……王女殿下」
逆に気遣われ、ナナセは戸惑った。
そして唐突に気付く。
泣きわめいてもおかしくない年齢の彼女達が騒がないのは、暴力的な言葉で脅されたからだと思っていた。
けれど、そうじゃない。
リリスターシェ達は、守ろうとしてくれているのだ。男達に最も存在を軽んじられている、ナナセを。
それは、王族として教育を受けてきたゆえ。人の上に立つために培われた、当たり前の使命感なのかもしれない。
それでもナナセは恥ずかしくなった。
自分のことしか考えていなかった。彼らを最優先で守ることを、ナナセこそが考えねばならなかったのに。
王族だからというだけでなく、何よりずっと年下の子どもなのだ。
守りたい、と強く思った。
こぶしを強く握り締め、震えを無理やり押さえ付ける。瞳はもう揺るがない。
「ご心配くださりありがとうございます、殿下。不測の事態ですが、あなた方だけでさらわれなかったことは不幸中の幸いでした。私が必ずお守りいたします。必ず――全員で助かりましょう」
ナナセはリリスターシェのか細く小さな手を、しっかりと握った。
二人は無言で目を合わせ、発見してしまった責任を押し付け合う。そしてどちらが注意に行くかを。
とはいえ、彼らと少なからず面識があるのはナナセの方だ。勝負はあっさりと決着し、ため息をついて歩き出した。
「あと少しで終わるし、こっちの仕事は心配しないで。タオルも洗って返すわ」
「タオルは別にいいけど、侍女長への業務報告だけお願い。あと、王女殿下方を見つけたこともね」
侍女長エビータのリリスターシェへの愛情は深い。今頃必死で捜しているだろう。
了承代わりに軽く手を振るエレミアと別れ、しばらくは三人の子ども達のあとをついていってみる。
城壁の外とを繋ぐ通用門が近付いてきたところで、木陰に停まった幌馬車が見えてきた。こそこそと忍び歩いていた彼らは、一直線にその馬車を目指している。
――さすが王族……幼いとはいえ、何て用意周到な……。
ヴァンルートス失踪騒ぎも子どもとは思えぬ計画性と実行力が引き起こしたことだったが、呆れるやら感心するやら。
まさか荷運び用の幌馬車に王族が乗っているとは思うまい。
本当によく練られた計画だ。
ナナセは城壁を越える前にと、彼らを呼び止めた。
「何をしていらっしゃるのですか?」
幌馬車に乗り込もうとしていた三つの背中が、ギクリと強ばった。
ぎこちなく振り返る彼らに、ナナセはことさらニッコリ微笑んだ。
「ナナセ……」
「奇遇でごさいますね、殿下方。どのようなご用事で、わざわざ王宮の片隅に?」
「その……」
「それに、そちらのお召しものはどうしたのですか? よくお似合いですが、まるで商家のお子さまのようではありませんか」
「うぅ……」
必死に言い繕おうとするリリスターシェの肩を、ヴァンルートスが叩いた。
「今日のところは潔く諦めよう。ナナセ殿のことだから、既に陛下方に連絡しているかもしれない」
「けれどわたくし、あなたに王都の素晴らしさを知ってほしくて……」
「いいんだ。今度はこっそり抜け出すのではなく、正々堂々と陛下方にお願いしよう。その時は君も手伝ってくれるかな、リリィ?」
「ヴァン……もちろんよ」
一体何を見せられているのだろう。
手を握り合う二人は天使のように麗しいが、完全な悪者扱いに心が挫けそうだ。
無我の境地になっていたナナセは、背後から近付く気配に気付かなかった。
突然背中を強く押されたかと思えば、馬車の荷台に中に転がり込んでしまう。
「いったぁ……」
強かに打った膝を撫でながら振り向くと、ベルトラートが得意げに笑っていた。
いたずらが成功したと言わんばかりに、とびきりの笑顔だ。
どうやらリリスターシェ達に気を取られている内に、背後をとられていたらしい。
「なっ……!」
木板の床にへたり込んでいたナナセが立ち上がろうとした瞬間、視界が暗転した。
素早く荷台に乗り込んだ子ども達が、幌をかけたのだ。
ベルトラートが御者席に向けて命令する。
「出せ!」
「ですが……」
「いいから、早く!」
困惑する御者だったが、ゆっくりと馬車が動き出したということは従ったのだろう。相手はこの国の王子なので当然といえる。
とはいえ、ナナセは慌てていなかった。
通用門には必ず兵士が立っている。そこで荷をあらためるはずだし、最悪ナナセが大声を上げさえすれば計画は終了だ。
戻ったら侍女長にこってり絞られてもらおう。そんなことを考える余裕すらあった。首筋に、鋭く冷たい何かが触れるまでは。
「――声を出すな」
低い声だった。王子達ではあり得ない、成人した男性の鋭い声。
何が起きたのか分からなかった。
それはリリスターシェ達も同様のようで、困惑の気配が伝わってくる。
再び暗闇に、男性の声が響いた。
「ガキ共も、一切口を利くんじゃねぇぞ。何か一言でも喋ったり動いたりした瞬間、この女を殺す。その次はお前らだ。さて、助けが入るまでに何人生き残れるかな?」
薄気味の悪い、笑い混じりの脅迫。それだけにどう出るか判断がつかない。
失踪騒ぎの時、陰謀だの誘拐だのという意見が出ていたことを、ナナセはどこかで軽視していた。
死を遠く感じるほど安全な現代を生きていたから、子どもがいなくなっただけで大騒ぎする者達を滑稽に思う部分もあったのだ。
全然分かっていなかったから。
ここは異世界。
日本にいた時と同じ価値観でいれば、足をすくわれることがあるのだと。
首筋に触れる何かをようやく意識する。
分からない。何も分からないが……これは十中八九刃物だろう。
理解した瞬間、どっと汗が噴き出した。
心臓が張り裂けそうなほど激しく脈打ち、呼吸が乱れる。すぐ隣に死がある。
暗闇の中、男性というかたちで。ナイフというかたちで。
あまりにも無造作に、冷たい死を突き付けられていた。
「計画が少しばかり変わっちまったが、まぁいい。悪いがあんたにゃ、地獄の果てまで付き合ってもらうぜ」
気配なく荷台に潜んでいた男性は、ナナセの間の悪さを嘲笑う。
頭は働かないが、他者を殺すことに何の罪悪感も抱いていないことだけは分かった。
御者も共犯だろうか。ナナセもだが、王族の命が脅かされる可能性はあるのか。王宮内部に共犯は?
疑問が次々頭をめぐるが、今はどうすることもできない。
ただ男性の命令に従い、沈黙を守る。
子ども達が騒がないのも幸いだった。
恐ろしいだろうに、同じ年頃の者達と比べても断然胆が据わっている。
喉元にナイフを突き付けられたまま、気詰まりな時間が過ぎた。
馬車が停車して、御者と兵士が親しげに笑い合う声が聞こえてくる。
元々王宮を出入りしていた人物のようだ。
兵士と顔見知りで、通行証も所持している。だからこそ、あっさりと検問を通過してしまった。
せめて荷物をあらためてくれればとため息が出そうになるが、それも当然だった。王宮に入る際に一度チェックしているのだから、帰りは警戒も緩む。まさか幌馬車に王族が乗っているとは思うまい。
リリスターシェ達は、こっそりと王宮を抜け出すつもりだった。それを逆手にとられたかたちだ。
王宮を離れた頃、再び馬車が停まった。
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抵抗を防ぐため、その間もナナセはナイフを突き付けられたままだった。
麻縄で両手と両足首を縛り上げられると、男とナイフがようやく離れていく。
「はぁ、窮屈で死にそうだったぜ」
垢じみた服を着た男は、ひどく鋭い目付きをしていた。蛇のように温度のない目で見据えられただけで、萎縮してしまいそうだ。
「この辺りに民家はないから、助けを求められると思うなよ。まぁ、騒いだって殺すだけだけどな」
頭を小突かれた拍子に帽子が外れた。
流れ落ちた髪を、男が乱暴に鷲掴む。
強引に顎を上げさせられ、間近から顔を覗き込まれた。
「へぇ、この国じゃ珍しい色味だな。これならそこそこの値段で売れるんじゃねえの」
恐ろしくて恐ろしくて、声にならない悲鳴が喉をすり抜ける。直視さえできず必死に目を逸らした。
ナナセが怯える姿を鼻で笑うと、男は興味を失った様子で顎を離した。
男が御者席に回ったので、再び馬車が動き出した時には荷台にナナセ達だけとなった。
幸い、猿ぐつわまではされていない。ナナセはそろりと口を開いた。
「……殿下方、大丈夫ですか?」
車輪の音に掻き消されそうな声音で問うと、腹部に何かがぶつかる。暗がりでよく分からないが、花のような香りと頬に触れる髪の感触でリリスターシェと分かった。
「ナナセ、あなたこそ大丈夫? あんな乱暴なことをされて恐ろしかったでしょう」
「……王女殿下」
逆に気遣われ、ナナセは戸惑った。
そして唐突に気付く。
泣きわめいてもおかしくない年齢の彼女達が騒がないのは、暴力的な言葉で脅されたからだと思っていた。
けれど、そうじゃない。
リリスターシェ達は、守ろうとしてくれているのだ。男達に最も存在を軽んじられている、ナナセを。
それは、王族として教育を受けてきたゆえ。人の上に立つために培われた、当たり前の使命感なのかもしれない。
それでもナナセは恥ずかしくなった。
自分のことしか考えていなかった。彼らを最優先で守ることを、ナナセこそが考えねばならなかったのに。
王族だからというだけでなく、何よりずっと年下の子どもなのだ。
守りたい、と強く思った。
こぶしを強く握り締め、震えを無理やり押さえ付ける。瞳はもう揺るがない。
「ご心配くださりありがとうございます、殿下。不測の事態ですが、あなた方だけでさらわれなかったことは不幸中の幸いでした。私が必ずお守りいたします。必ず――全員で助かりましょう」
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